Forgive 1
Cieloと申します。最後までお付き合いしていただければ幸いです。何卒暖かい目で観覧お願いします。
ピッ ピッ ピッ ピッ
真っ白な世界の中、私は機械的な電子音と共に目覚めた。
「何、ここ..。私夢でも見てるの?」
どこまでも果てしなく続く白と電子音。どこを見ても人一人、いやほこり一つだって見つからない。電子音の発信源さえもわからない。そんな中私はただ唖然として立ち尽くしていた。
どれくらいその場所に立ち尽くしていただろうか。ふと一筋の黒と白の渦が現れその中から突如一つのビー玉のようなものが足元に転がってきた。
「綺麗...。」
私は今自分がおかれている状況を忘れその綺麗な玉を手に取った。そのくらいその玉には何か、人を魅了するものがあった。透明な玉の中に赤の線が一筋入っている。この何もない場所に突如現れた自分以外のモノに私は安心感を覚え思わずそれを手のひらで包み込んだ。
包みこまれた瞬間、唐突に玉は赤色に輝き始めやがて目をつぶってしまうほどの光を放った。
「っ...!?」
驚きのあまりその玉から目を背け投げ出してしまった。
パリンッ
繊細なモノが割れる音がした。そして、重い、先ほどとは違う音がした。
「ん...。」
少し低い、男の人のような声がした。目を開けるとそこには眼鏡をかけ、制服を着た高校生くらいの男子が倒れていた。
懐かしく感じるその人の姿を見て私は思わずその人にかけよった。
「あっ、あの。大丈夫ですか?」
近くにしゃがみ目をのぞきこむ。その人と目が合うその瞬間、
「いたっ」
その瞳の奥に光る赤い線に魅入ると同時に頭痛を感じ頭を抱える。
目を閉じたその瞬間、隣からも痛みを訴える声がした。
目を開こうとしたその瞬間、私の脳にある光景が写りこんできた。ぼやけていてよく分からないが、何か光るものを持った誰かが迫ってくる。そして悲鳴を上げる私。その光景に恐怖を感じる。するとその光景は突然消えた。
目を開けると男子も不思議そうな顔をして目を開けたり開いたりしてこちらを見ていた。
聞きたいことがありすぎて、言葉が出ない。
「えっと...。ここどこなんでしょうか?」
私が黙り込んでしまうと男子のほうから声をかけてきた。
「それが、私にもわからなくて。私もさっき気がついたばかりなんです。」
男子のやわらかい雰囲気に安心感を感じ微笑むと相手も微笑みかえしてくる。笑うと整った顔がくしゃっとなってとても愛嬌があるなー、なんて平和なことを考えていると突然、先ほど見た赤の光と先ほどとは違う、白の光の渦が男子の後ろで巻き起こる。
恐怖を感じ無意識に男子の手を握ってしまう。とまどいを見せた男子だったがすぐにその表情はかき消された。
複数の玉が地面に転がる。
私達二人はただ、お互いの手を握り合ったままそこに硬直していた。