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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

麻薬ライター

作者: ゆでがま
掲載日:2026/10/04

これは

とある森のとある狩人から始まった話

その世界には魔物のような存在が居て

狩人はその魔物を狩って生計を立てていた

ある日

狩人は狩りの途中森の中で洞窟を見つけた

その洞窟の中は妙に明るく暖かい場所だった

狩人が周囲を警戒しながら洞窟の中を

進んで行くと

巨大で妖艶な赤い蝶が飛んでいた

その赤い蝶は鱗粉を撒き散らしながら

狩人に近付き鱗粉を浴びせた

狩人の浴びた鱗粉は変に温かく

気分が落ち着く…どころか…高揚し心地よい気分になった

狩人は思った

「この洞窟の中に巣食う

魔物の鱗粉は麻薬のような効果を持つ

これを売り込めばもっと金が入ってきて

家族にも楽をさせてやれる」

その事に気付いた狩人は鱗粉を採取する為

ある時は色んな場所に付着した粉を

またある時は蝶を狩り

鱗粉を集めに集めまくった

そうして狩人の集めた鱗粉には

紅鱗粉と名が付き薬として広く出回り始めた

だが

その鱗粉を用いて作った薬は

国で大きな問題を起こした為に禁じられ

売り込む事が出来なくなってしまった

狩人は酷く落ち込み昔のように狩りをするようになった

それでも甘い蜜を一度でも啜ってしまった彼は

また鱗粉に手を伸ばしてしまった

狩人は様々な研究をして

ある事に気付いた

この蝶の鱗粉は冷やすと液化し可燃性の油のような物になる

それとは別に鱗粉を燃やした煙からも

変わらず鱗粉を摂取した時の効果が出た

狩人は考えた

「これを使えば何か……

別の方法に役立てられないか…」

と

そこから半年後

狩人はある商品を完成させた

それが「鱗粉ライター」

鱗粉ライターでタバコに火をつければ

タバコにも効果が浸透し

鱗粉の効力を抑えつつ

それでもしっかり鱗粉の効力を味わえる

薬による服用が禁じられたのと

法的な量には届かぬようにギリギリを攻めた結果

特に禁じられずに

このライターは市場に出回った

それから

このライターが市場に出回り

暫くの年月が経った頃

とある大きな街である問題が起きた

ここからはその問題の発端となる話だ

とある大きな街で

とある男が居た

その男はこれまで酷く暗い人生を歩んできた

表では言えないような仕事を請け負い

やりたくもないような事を繰り返し

暮らしていた

そんな男も

鱗粉ライターを使って毎日を耐えていた

罪悪感が襲うような仕事

不快感や嫌悪感で吐くような仕事…

生きる為ならどんな事でもやった

「こんな事を俺はやりたくなかった」

っと何度も口にした

それでも仕事も生活も変わらない

それを唯一鱗粉ライターで付けたタバコで耐えていた

それでも男は耐えられなかった

それはどうしてか…

仕事で大きな失敗をしてしまった

様々な人たちが彼を責め

彼自身も自分を責めた

生活も余計に苦しくなっていった

そして……

いつの日にか

ライターの効力を感じ取れないぐらいに

なってしまった

半日に何10回もライターを用いたタバコを吸って

不満を抑えていた彼はその日から

吸っても吸っても

吸っても吸っても

全く何も感じ取れず不満や怒りが増幅された

どれだけ使ってもライターの効力とタバコの味を感じ取れず

手も震えだした

そしてある日…

ライターを手から滑らせてしまった

男は腕を火傷してしまったが

それ程酷い傷ではなかった

だけども

その出来事で男はある事に気付いた

このライターは

タバコを吸うよりも

自分を焼くほうが気持ちよくなれるんだって

そこからは酷かった

男は生きる為に使っていた物で

どんどん死んでいったんだから

自分で稼いだお金で自分の体を何度も焼いた

自分の食べ物を買う為のお金を

紅鱗粉のライターオイルを買う為に使い始めた

そして……

また…何も感じ取れなくなってしまった

もうその時には男には何も残されていなかった

男が気づいた時には

仕事も家もお金も無かった

残ったのはただただ身体を蝕む病気と

身体を覆うおびただしい

火傷の跡

彼は……自分を焼いたあの日から

既に運命が決まっていたのかもしれない

自分は何も出来ずただただ

自分の身体を傷付けて

死んでいくだけの人生だった…

それに気付いても何も思うことはない

まず気付くかすら怪しい状態になっていた

残った火傷と病気で彼はついに亡くなった

死因は焼死

男は最後にライターオイルを自分に掛けて

焼身自殺…

彼はその時紛れもなく

「人生で1番幸せな瞬間」と

感じてしまった

自らを包んでくれる暖かい抱擁のような感覚…

体の内側からも満たさられる多幸感…

その中で男は死んでいったという




それからその街では

火傷を付ける人が増え

子供でも自分に火傷を付ける事が

あったらしい

これが「麻薬ライター」と

呼ばれるようになったのは

もう遠い昔の話だ

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