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打つんかい!

現在十兵衛の住まう池に向かう車中でニュースを聞きながら目的地に向かっている。


【緊急速報ニュース】

『本日東ヨーロッパ、ルーマニアに有る人口3万人程の小さな街がレッサードラゴンに襲われました。ルーマニア軍による航空爆撃はレッサードラゴンを制圧、近代兵器が伝説の生物に対抗しうる歴史的な瞬間となりました』



「ドラゴンて…ここ数百年で竜を倒せる様になったんかいな、お前ら人間はホンマ怖いな」


「しかもな、この兵器はまだまだ序の口で」


「あー知っとる。ネットで歴史勉強したからわかっとる。原爆やろ?」



全く持ってこのカッパは頭がいい。博識で歴史の証人でもあるコイツの話は本当に面白いし。



「お前みたいな話の分かるやつって結構いたりするの?」


「ん〜どーやろな、会話は出来るけど話が通じるとなると少ないかもな。そもそも人間がワイらを敵視と言うか…いやちゃうな、陰陽師の奴らだけか」



「十兵衛殿、もしかして【妖怪】という区別をしだしたのは彼ら陰陽師ですか?」


「せや、ほんでワイらが嫌う臭いとかワイらの勾玉を使って怪しげな術を使ったり嫌な奴らやでホンマ」


十兵衛の言う勾玉とはラチナム、つまり魔石の事だ。当時の陰陽師はそうやって中央政権に取り入った様だ。


「アンナ、お前もアイツら(陰陽師)みたいにすぐ見た目で判断するのはアカンでホンマに」


「はい、仰る通りで…」


「オヤッさんを見習って精進せぇよ」


「はい、肝に銘じておきます…」


耳が痛い…コイツの言う事はいちいち筋が通ってて反論出来ない。まさかカッパに説教される日が来るとは思わなかったよ。



———嵐山の奥———

前回と同じ所に車を置いてなるべく隠れながら池に近づく。その宇宙人が現れる時は必ず手順を踏んでいるらしい。


「で、その時機械に乗って水の中から出てきてあっちのデカい船に繋いで半日動かんのや」


「え?デカい船?それが陸にあるのか?」


「あぁ、こっちや」



現場に着くと騒然とした。竹藪を数十メートル薙ぎ倒し何とか不時着したであろう事が見てとれる。宇宙船は思ったより小さくこじんまりとした一軒家位の大きさだった。表面は水銀の様に何とも滑らかな金属で覆われていた。博士が興奮気味にあれこれ調べながら現場検証を終え推理に入る。


「ふむふむ…なるほどですな。恐らく池を狙って着水予定だったのがズレた感じですね。で、彼らは恐らく水性生物で陸に上がれないから何かに乗って池まで行ったと。しかし機械の活動エネルギーが無くなるのでこの船から充電しているって所ですかね」


なるほど、辻褄が合う。十兵衛の話によると宇宙人は2匹だけらしく、決まって夕方に動き出すらしい。真っ向勝負より取り敢えず様子を見てから考えようと言うことになった。博士は宇宙船の中を見たそうにしていたが何かのセンサーが働いてバレると厄介なのでグッと我慢していたが、ぶっちゃけ俺もかなり我慢している。


辺りが暗くなり始めた時にそれは現れた。


サバァ  スーーーーー


音も無く浮かながら進むそれは軽自動車より少し小さい位のカブトガニ?みたいなデザインの乗り物だった。見ようによってはステルス爆撃機にも見えるしエイっぽくも見える。宇宙人の技術らしく浮いているのは驚いた。



サバァ  ザッザッザッ


もう1匹が現れたが、こちらは似た様なデザインに足が4本あった。コンセプトが違うのかあっちは滑らかな感じだがこっちはゴツゴツトゲトゲしている。


十兵衛の言う通り宇宙船の方に向かって進み何本かケーブルを繋いでその場に停止した。そして今から真夜中過ぎまで動かないらしい。



「さて、どうする博士?」

「恐らく充電ケーブルとは別に操縦席に繋いでいるあの青いケーブル、多分生命維持装置的な役割に見えます。アレを狙いましょう」


操縦席は透明のガラスに覆われていて、そこには恐らく池の水が入っている。お世辞にも池の水は綺麗とは言えず少し茶色く濁っていた。それを青いケーブルでマリンブルーの液体と入れ替えている様だ。


「まだ充電し始めなので恐らくあの機械は電池切れ寸前です。やるなら今ですな」


「どーする?」


「毒を流し込みましょう、ケーブルが切れ無ければ針で流し込むか。見た感じは切れそうですが」


それはいいけど一つ疑問がある。

「宇宙人に効く毒ってあるの?」


「水性生物で池の水でギリ生きていける生物なら我々と対して変わらないと見ました、なのでコレをこうして…それとコレを」


博士はリュックから取り出したガソリン、除草剤、パイプフィニッシュをそれぞれ混ぜない様に三本の注射器に入れ1人1本ずつ手渡す。


「せーので半分ぶち込んで下さい、残り半分はもう1匹に」


エグいな…確かに体内に入ったら猛毒だな。しかも混ぜたら危険のヤツだし。


宇宙人から見えない様に宇宙船の後ろに周りそーっと近づきケーブルまでアッサリたどり着いた。ケーブルは柔らかく簡単に針が通った。せーので半分注入すると宇宙人がソッコーで苦しみ出したのが分かる。音はしないが身体が深海魚みたいにキラキラ虹色に光っていた。次第に光は弱々しくなりやがてタコ宇宙人は紫色になって動かなくなった。


もう1匹の方を向くと目が合ったのが分かった。さっきとは違う感じの色がキラキラ光っている。多分コイツらは音じゃ無く色で会話をするんだと何故か理解出来た。その目はまるで命乞いをしている様に見えた。


注射器を持つ手が止まる。


「なぁ…この宇宙人さ、話してみればわか」

「アホンダラ!」


パシッ!  ブッチューーー!!


十兵衛が俺から注射器を取り上げてブッ刺した。

「んなもん見た目で分かるやろ!コイツら絶対敵や!」


「おまっ!?!? 今日車の中で『見た目で判断するのはアカンで!』とか偉そうに説教垂れてたクセに!」


「確かにw 十兵衛殿ウケるw」



取り敢えず宇宙人討伐完了

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