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変なスライムの物語  作者: フラフラ
変なスライム、現る。
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魔王と朝食

朝になった。今日、魔王の所に行くんだよな…。イモ好きの魔王に。キャベツはまだ寝ている。さっさと起きろ。「おーい!ローズ!来たぞー!」表でゴリラが呼んでいる。研究所じゃなく自宅に呼びに来たぞこのゴリラ。「んおっ?この声はクリスか…。朝から何の用だ?全く…。」エルフは寝ぼけている。表でドスッと鈍い音がして、家が揺れた。「うわっ、痛ぇなあ!クソ家!もう一回殴ったら丸ごとぶった斬るぞ!」うわ、家と喧嘩してるよあのゴリラ。「あぇっ!?マズイマズイマズイ!」エルフが、目を覚ましたようだ。ドタドタと足音を立てて慌てて玄関へ向かっていく。俺を置いていくな。「やめろ!お前が言うと冗談に聞こえん!」「おぉ、出てきた。スライムはどうした?」「今持ってくる!少し待ちたまえ!」すっかり目が覚めたようだ。「全く、脳筋ゴリラめ…。」エルフがブツブツ言いながらこっちに来た。そのまま縛られた俺を持って外に出ていこうとする。顔くらい洗えよ。俺の声が聞こえる訳もなく、そのまま外に出た。きったねぇ。

「おはようございます、ローズさん。」「ああ、おはよう。」居たのか、ヘタレ農民。

「んじゃ、早速クロの所に行くか。」「直接家に来るとはねぇ。研究所で待っていればいいだろう?」「お前、よく寝坊すんだろ。」「はぁ、人間は時間に厳しいねぇ。ま、仕方ない。直接行くとしようかね。」3人は歩き出した。

魔王か…どんな奴なんだろう?このエルフみたいにガッカリな魔王だったりすんのかな?。「あの、魔王って今何処にいるんですか?」農民が不安そうに聞いている。「アイツの行動は日によって大体決まってるからな、昨日は商業ギルドの食堂だったし、今日は冒険者ギルドの食堂に居るだろう。」普通にあちこちのギルドの食堂使ってんの?魔王が?。

エルフの家から昨日の研究所の前を通り過ぎ、冒険者ギルドに着いた。

扉を開けてすぐ左に曲がると、食堂があった。けっこう人がいてガヤガヤしている。食堂の長いテーブルの端に黒いローブ姿に骨?の首飾りをした少女が居た。ぱっつん黒髪ロングの頭から角が2本生えている。あ、このパターンは…。「お、居た居た。」「えっ、あれが魔王なんですか?角の生えた小さい女の子じゃないですか。」「見た目は子供だが、彼女は私より年上さ。」やっぱり魔王だった。「おぅ、クロ。ちょっといいか?」「モグモグ。ん、妾に何か用?。珍しいこともあるもんじゃな。朝飯は食べたか?まだなら食べてからで良いじゃろ。モグモグ。」芋と何かのステーキ食ってる。とりあえず、鑑定してみよう。

鑑定


む、乙女の秘密を覗こうとは、この助平め。尻を叩いてやろうか。むぅ、やはりもう一皿ずつ頼もうか。


は?何これ?鑑定不可なら分かるけど文句言ってくるんだけど…。あと、おかわりしようとしてる。

「おぉい!豆のスープ1つにラビットステーキ2 つ!あと芋を3つ!」ゴリラが厨房に向かって馬鹿みたいにデカい声で叫んだ。ビックリした…。「クリス!馬鹿みたいにデカい声出すんじゃないよ!ちょっと待ってな!」厨房から同じくらいデカい声でババアが叫んでる。お前も声でけぇよ。「女将、妾にもラビットステーキと芋を。」「あいよ!相変わらずよく食うね、クロちゃん!」やっぱりおかわりした。

「モグモグ。」「お前、本当ただの丸焼きのジャガイモとラビットステーキ好きだよな、金持ってんだからもっと高くて旨いもん食えんだろ?」金持ちなのか、羨ましい。「妾にとっては思い出の味でな。高いものも、まぁそれはそれで旨いのじゃが、なんだかんだで慣れ親しんだ味が一番じゃ。人間、そういうものじゃぞ。妾は人間ではないがな。」元は庶民?の魔王だったのかな?。しばらくすると、ステーキ3皿とスープとデカいジャガイモが4つ運ばれてきた。

「おう、来た来た。先に食っちまうか。嬢ちゃん、まとめて払うぜ。」「おや、私の分も払ってくれるのかね?」「妾の分もか?」「俺のもですか?」「気にすんなって、3人も4人も変わんねぇよ。ほらよ、釣りは嬢ちゃんが取っときな。」そう言うとウェイトレスの女に銀貨を1枚渡した。「あっ、ありがとうございます!」ウェイトレスは凄く嬉しそうだ。チップか何かなのかな?「気前の良い奴じゃな。遠慮なくいただこう。」「すまないね、いただくよ。」「ありがとうございます!いただきます!」

4人は黙々と飯を食べた。食いながら話すとかしないんだな。

食べ終わって食器が下げられた後、一息付いてから話が始まった。こんな所でするの?

「それで、妾に用というのは、そのスライムの事じゃな?」「あぁ、そうなのだよ。コレは名持ちの特殊個体なのは確かなのだ。だが、まだ何かあるのだよ。思念のようなものを時折まき散らすのだが、そうするとな、精霊がコレの周りに集るのだよ。」精霊?そんなのに集られてんの?「ホラ、今もさ。」「俺には何も見えねぇな。精霊が居るってのは知ってるけどよ。」「精霊が実在するのすら知りませんでしたよ。」どうやら人間達と俺には見えないらしい。魔王がこっちをジーっと見ている。なんだよ、幼女。泣かすぞ。(お主、聞こえているな?念話でお主と繋いだ。あと、見えていないだけで、本当に精霊が集っているぞ。そうだ、少しモゾモゾと動いてみよ。)なんか神が話しかけてきた時みたいな感覚で声が聞こえる。あれ念話だったのか。それに、俺の考えてる事も分かってる?モゾモゾって…。とりあえずモゾモゾしてみるか。

「なんだ?モゾモゾしだしたぞ?どうしたんだ?」「ん?妾が念話で話しかけた。聞こえているならモゾモゾしてみろってな。」「念話…マジか…。」「念話って何ですか?」

「んんん~!?貴女は念話が使えるのかね!?いや、それよりも…会話ができた!?コレは新たな発見じゃないかね!」興奮すんなよ、キャベツ。「ま、今の時代じゃ念話が使えるものは妾と妹たちや子孫以外では殆ど…キャベツ?」あ、やべ。この魔王、俺の心の声が聞こえてるんだった。「「ウグッ!!」」ゴリラとヘタレ農民がプルプルしている。

すごい顔でエルフが2人と俺を交互に睨んでいる。怖っ、棍棒エルフに撲殺される。

「口の悪い奴じゃな。」魔王は呆れた顔で俺を見てきた。

「と、とりあえず、長くなりそうなら、ここじゃ何だしよ、どこか別の場所で続きを話そうぜ?」「なら、ギルドの部屋を使えば良かろう。」「そ、そうですね…。」「ハイエルフは植物の香りがするというのを知らないのかね…。それを…。」「自分でもキャベツっぽいって思ってんじゃねぇか。」「…。」気まずい雰囲気の中、俺達は食堂を出て受付であのヤバい受付嬢に部屋の使用申請をしてから、部屋に向かった。

「魔王にぃ、ゴリラにぃ、農民にぃ、スライムにぃ、キャベツかぁ。キャベツぅ…?。」

結構ガヤガヤしてたのに、激ヤバ受付嬢め、聞こえてたのかよ。どんな耳してんだ。(あの鬼娘はとんでもない地獄耳じゃからな。だから特別職員なんじゃが。)まぁ、ステータスと称号からしてゴリラよりヤバそうだしな。特別職員って何だよ。

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