必殺技
ギョロメと実戦形式で戦う事になった。
向こうは舐めプなんだけどな。当たり前か。
最初の一撃はなんでも受けてやるって言ったから、せっかくなので強烈な一撃をお見舞いしてやる事にした。
手軽さとは裏腹に、結構シャレにならない一撃だ。悲鳴位は上げてくれるといいけど…。
俺は自分がやり易い様にギョロメに指示をする事にした。
「ちょっと中腰になって腰を後ろに突き出す感じにしてくれる?」
「?これで良い?」
「いい感じ。」
ギョロメは少し疑問に思ったみたいだけど、俺に言われた通りの体勢になった。これから何をされるのかわかってないみたい。中腰になって腰を突き出している。馬鹿め。
あ、どうせなら後ろ向いてくれない?
まあいいか。とりあえず準備しよ。
俺は自分に物理攻撃の強化魔法をかけて
棍棒に炎を付与した後、背後に陣取って棍棒で狙いを定めた。
「背後からの攻撃?腎臓狙いかな?効果的だけど、君って結構卑怯な事をするんだね。」
ギョロメがなんか言ってるけど残念、腎臓狙いじゃないぞ。
まぁ、卑怯かつ最低最悪の攻撃だからもっとタチが悪いんだけどな。知る訳無いか。
無視してギョロメに重力魔法をかけると同時に、叫びながら狙った位置に棍棒を思いっ切り突き出した。
「死ねぇーーーッ!!」「えっ?」
何処を狙ったかって?
ケツ。
渾身の一撃も虚しく、ドスっと鈍い音がしただけだった。ビクともしない。ちょっとめり込んでるけど、こんなの誤差だな。
お前のケツ、鉄でできてんの?ドン引きなんだけど…。
ドン引きしていると、ギョロメがこっちを向いて「エッチ…。でも残念、もうちょっと前だね。もう1回する?あ、脱いだほうがいい?」と言ってズボンを脱ごうとした。
お前何言ってんの?燃えた棍棒でカンチョーだぞ?もうちょっと前ってお前…逆に聞くけど、良いの?頭大丈夫?なんか引くわ…。
「いや、いいっス…。」
「そう?じゃあ、始めるね〜。」
ギョロメがそう言った瞬間、壁までぶっ飛ばされた。何が起きたの?
てかお前、本当に手加減してる?何も見えなかったんだけど…。もしかして怒ってる?なんで?
壁にぶち当たりながら思っていると、いつの間にかかなり近くまで来て殴ろうとしている。
ねえ、本当に手加減してる?やっぱり怒ってるよな?なんで怒ってるの?やめて?
ギョロメがの拳がこっちに向かって来た瞬間、全ての動きがゆっくりになって、色んな事が頭の中に思い浮かんだ。これって走馬燈だよな…。
走馬燈の中に、すっごい気になってた筈なのに何故か忘れていた事が1つあった。
こんなの気になったら即実験してる筈だよな。なんでこれを忘れてたの?まあいいか。
これを試してみる価値は有りそうだな。
聞いてくれるかわからないけど、ちょっと待ってもらおう。
「あっ待って待って違うのやりたい!やめてやめてやめて!!うわぁ!殺されるーッ!!」
俺が叫ぶと、ギョロメが「もぅ、仕方ないなぁ。」と言って手を止めた。助かったみたい。やったね。
手を止めた後、「じゃあ、あそこで待ってるね。」と言って部屋の真ん中まで歩いて行った。なんでお前そんなに寛容なの?逆に怖いんだけど。なんかムカついてきた。
もう1回ケツに焼き棍棒ぶっ刺して…やっぱ止めとこ。またやったら絶対殺されるわ。
「それで、今度は何をするの?あ、服は全部脱いだほうがいい?」なんで脱ごうとするの?
「いや、いいっス。」
「そう?恥ずかしがり屋さんかな?」お前は恥ずかしがれ。
「そのまま部屋の真ん中に立っててくれる?」
「脱がなくていいの?」しつこくない?
「いや、いいッス…。」
「本当に?私、脱いだら結構「いいからそのまま立ってろって!」…もう。」つい声が出てしまった。
なんでちょっと機嫌悪そうになってんの?なんでそんなに脱ぎたがるんだ?お前痴女か?
ん?脱いだら結構…?ちょっと気になるな。
それはさておき、さっきの走馬燈のやつで思い出した事だけど、魔法って何故か身体から少し離れた所に出してから飛ばすよな?当たり前の様にやってたけど、アレってなんで?
石のトゲ?牙?とかは敵の足元に出したりするじゃん?他の魔法はなんでそれをしないの?
てか、石のトゲも手の辺りに出して飛ばしたりするよな?アレ、ストーンなんとか。ロックなんとかでもいいか。
これってつまり別に手元に出さなくても、魔法を任意の場所に出せるって事になるよな?
ならわざわざ手元に火やら水やらを出してから飛ばさなくても、そのまま相手の体内に直接魔法を出せば良くね?
火の魔法とか体内で出せば即死じゃね?
なんで忘れてたんだろ?こんなの不可避じゃん。必殺技か?
せっかく思い出したんだし、コイツで試そう。走馬燈を見たのはコイツのせいだし、いいよね?
「それで?今度は何をする気なの?またお尻を狙う?エッチ。」ちょっと黙っててくれない?
俺は無視してギョロメの体の中に全力の火魔法を出してみた。
ギョロメが目をカッと開いて「ヴッ!!」と言った途端に胴体がボコッと膨らんだ。成功したみたい。やったね。俺天才。俺最強。
そのまま爆散するかな?と思ったけど、口から大量の炎を吐くだけだった。お前の体どうなってんの?
なんかこれ、ドラゴンブレスみたいだな。かっこいい。俺にも出来る?いや死ぬか。
炎を吐き終わった後、ギョロメは暫く咳込んでいた。
咳をする度に、口から煤が大量に出ている。なんかギャグ漫画みたい。たのしい?俺はたのしい。
そう思っていると少し咳き込むのが治まってきた。回復早くない?普通死ぬぞ?
そう思っていると「ゲホッ!ゲホッ!君、ゲホッ!結構っゲッホ!えげッ!つない事ッゲホッ!考えゲッホ!るね。ゲホッ!ゲッホッ!ン"ン"ッ!っふぅ〜…。びっくりした〜。よくこんな事を思い付いたね。」とギョロメが言った。
俺すごい?すごいだろ?
「ざまあみろ、まいったか。」
俺が勝ち誇ってそう言うと、「じゃ、そろそろ始めようね〜。」と言ってギョロメが
ニコっと笑った。そういや、ちょっと距離が離れてるよな…なんか嫌な予感がする。
「あっ。」
俺が言うと、案の定ビームをぶっ放してきた。やっぱこうなるよな。
俺は必死で逃げ回った。
「ごめんなさい!」と「すいませんでした!」と「ゆるしてください!」を一生分言ったと思う。
誰か来るとも思えないけど「たすけてえぇえぇ~!!」とも叫んだな。
しかし助けは来なかった。かなしい。
ビームで追い回されながら謝り続けるのが1ヶ月位続いた。
終始微笑んでたけど、絶対怒ってたよな…。なんで?
ようやく許してくれた後、「ん~、久し振りに姉さんに会いに行こうかな。君はもう1人でも平気だよね?じゃ、私はここを出て行くからね。またね〜。」と言ってギョロメは転移魔法を使って消えた。唐突過ぎない?助かったから良いけどさ…。
てか、もう会いたくないんだけど?
なんであいつあんなに殺意高いの?俺何かした?カンチョーして腹の中爆破したな…。
ギョロメが消えた後、俺は気を取り直して再びダンジョンの踏破を目指す事にした。
そういや、訓練と合わせるとこの小部屋に2ヶ月位籠もってたな…。外はもう夏じゃね?とりあえず先に進もう。
9階のボス部屋は、色んなモンスターの上位種が居た。そういやそんな事言ってたな。あのイカれたヒトモドキは居ないみたい。なんで?
結構な数が居たけど、あのビーム地獄の後だし、ステータスカンストもしてるしで余裕だった。当たり前か。
宝箱の中身は、魔法の本だった。上位魔法の本らしい。なにそれ?
開いて見てみると、なんか魔法をいくつか組み合わせると雷魔法なんかの上位魔法になるみたいな事が書いてあった。呪文が書いてるとかじゃ無いんだな。
もう少し詳しく見てみると、俺が使えなかったり知らなかったりする魔法も、魔法の配分?を変えると作って使えるみたい。どういう事?ペネロペなら知ってる?
魔法の本を仕舞った後、俺は10階に進む事にした。
10階からオーガが出るんだっけ?オーガってどんな味?
俺は10階に進む事にした。




