特殊個体VS特殊個体
ゲイリーのパーティーから抜けた俺は、単独でダンジョンに挑む事にした。
門番にカードを渡すと、他の冒険者と揉めないようにと言われた。他の冒険者が先に入ってるのかな?
そういえば、ゲイリー達と入った時は他の冒険者に会わなかったな。なんで?
俺から喧嘩ふっかける様な事は無いと思うけど、一応「わかった。」とだけ言っておいた。
門番にカードを返されたので、早速1階に挑戦だ。ゴブリンだけだし余裕だろ。
階段を下りて暫く進むと、ゴブリンが何匹か出てきた。やあ、小さいおっさん達。死ね。
そうだ、毎回棍棒で殴ってるだけだし、今回は魔法を使ってみることにしよう。
風を刃にするアレを使った。ウインドカッターってやつだ。とりあえずいっぱい出しておこう。
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン。
ゴブリンが細切れになって死んだ。グロっ。
肉と宝石を落としたけど、前回肉を食ってみてクッソ不味かったから宝石だけを取ることにした。これいくらになんの?
暫くゴブリンを倒しながら進むと、なんか外国のパジャマ姿のやつがよく被ってる帽子?の赤いやつを被って、でっかい鎌を持ったゴブリンが遠くの方に居た。
なにあれ?物騒なサンタクロース?鑑定しよ。
鑑定
種族:ゴブリン(特殊個体)
名前:なし
年齢:214
性別:男
レベル:99
体力:999
魔力:823
物理攻撃:999
物理耐性:999
魔法攻撃:648
魔法耐性:999
速度:999
あれ?ステータスってもしかして普通は3桁でカンスト?レベルは99でカンストかな?
つよそう。あ、こっちに気付いた。
「ゲギャギャギャギャ!!」
何笑ってんだ帽子のおっさん。殺すぞ。
そう思うや否や、物凄い速度で走って来て斬りつけてきた。
あっぶねぇ。狂ってんのコイツ?
間一髪で避けたけど、コイツヤバくない?
とりあえず殴ろう。
俺は帽子ゴブリンの頭を殴る事にした。
普通に避けられた上に避けながら斬り付けられた。痛くないけど何回も食らうとヤバいのはなんとなくわかる。
こいつ速くない?魔法なら当たるかな?この世界の魔法ってちょっと追尾するっぽいし、いけるかな?
俺は火の魔法でゴブリンを焼く事にした。アレだ、ファイヤーボールってやつだ。ボッビッバッ。汚い三連発を食らえ。水魔法の方が良かったかな?
そんな事を思いながら火魔法を飛ばしてみたが、思ってたより速度が遅かったのでまた避けられた。なんだよ。
「グォー!ギャッ!ギャッ!ギャッ!」
帽子ゴブリンが鎌を振り回しながらポーズを取っている。何してんのこいつ?
しばらく変な動きをした後、また突っ込んできて、盛大に回転斬りをかましてきた。
お前どこぞの勇者みたいな動きしてんな。
お前オカリナとか持ってない?
そこからしばらくは、攻撃を避けたり避けられたりの繰り返しだった。
いい加減飽きてきた頃に、後ろから冒険者の3人組が来た。
「おい見ろ、レッドキャップがスライムと戦ってるぞ。」
「本当だ、どうする?」
「どっちもモンスターだし、残った方を狩れば良くね?」
「「賛成。」」
お前ら酷くない?てか、この帽子ゴブリンってレッドキャップって言うのか。まんまだな。
また暫く帽子ゴブリンと戦っていたけど、鬱陶しいなコイツ。
まだ1階だぞ?なんでこんな変なゴブリンと戦わなきゃいけないの?ちょこまか動き回って馬鹿でかい鎌振り回しやがって。ムカつく。
そうだ、コイツの武器取り込んでやろう。武器が無けりゃただの速いゴブリンだし余裕じゃね?俺天才。
俺はゴブリンの攻撃をわざと受けて、でっかい鎌を取り込んで固定した。
けっこうダメージ食らったけど、痛みを感じない体だし死んでないからオッケー。俺の勝ち。
「ギャッ!?グワワワワ!!ンギィーッ!」
帽子ゴブリンが焦って武器を引き剥がそうとして俺を踏みながら鎌を引っ張っている。ふまないで?
お?これこのまま取り込んだらボコれるんじゃね?勝ったな。
俺は鎌を剥がそうと踏ん張っている帽子ゴブリンの足を体の中に引きずり込んだ。いい感じ。
「グワッ!?ギャーーー!!グギョワワ!?ウグッウググググ…。」
すっごい焦ってるけど、お前もう終わりだからな?かわいそう。グギョワワって何?
そのまま帽子ゴブリンを取り込んでいって、頭だけ外に出して固定してしばらく頭を殴り続けた。
最初はギャーギャー叫んでいたけど、暫くすると動かなくなった。
死んだ?それとも死んだフリ?まあいいや、頭潰そう。頭を潰せば生き物は大抵死ぬ。これ常識。スライムに頭は無いけどな。
しばらく殴り続けていると、なんか色んな物が飛び散るようになってきた。きったねぇ。さすがに死んだよな?
ピクリとも動かなくなった帽子ゴブリンを体の外に出してみる事にした。
頭なくなってるじゃん。誰だよ、こんな事したの。俺か。かわいそう。
首無しゴブリンを地面に吐き出すと、ダンジョンの他のザコゴブリンが死んだ時と同じ様に溶けて無くなった。
死んだみたい。頭なくなってるし当たり前か。やったね。
溶けた跡を見ると、明らかにヤバい色をした液体が入ったガラス瓶が置いてある。沼の底かな?それともヘドロ?きったねぇ。
てかなにこれ?鑑定しよ。
鑑定
腐食の猛毒。
鋼鉄程度なら容易く溶かしてしまう劇薬。
触れると触れた個所から全身に耐え難い激痛が広がり、触れた個所から腐る様に溶けていく。
絶対に素手で扱ってはならない。
クッソヤバい毒だった。なんでこんなの持ってんの?怖っ。
ヤバいけど取り込んだら俺も使えるかな?たしかスライムは体液を毒や酸に変えて飛ばしたり出来るって魔王が言ってた様な…。とりあえず取り込んでみよう。体液を変えるってイマイチ分からんし、これ飲んでみたら出来るようになるかも。てか俺溶けないよね?まあいいか。
俺は猛毒を瓶ごと取り込んだ。
うわぁ…変な味…オ"エ"ッ!?にっが!!すっぱ!!くっさ!!!えっぐ!!!!!ゲロみたいな味!!!!!なんだよ!?こんなん飲むとか馬鹿か!?飲んだのは俺か。
あ…これ使えそう。
試しにダンジョンの壁に向かって飛ばしてみた。ビチュッ。きったねぇ音…。
汁が当たった壁がグジュグジュと音を立てて煙を上げながら溶けていく。グロっ。
どうやら使えるみたい。やったね。くっさ。
そういえば赤い帽子とでっかい鎌は溶けないみたいだな。とりあえず貰っておこう。
せっかくの戦利品だし装備してみるか。
俺は帽子を被って鎌を持った。
レッドキャップスライムの爆誕である。
う〜ん、帽子を被って鎌を持ったスライム…シュールだ。なにこれ?
いや、棍棒持ってるのも普通におかしいよな。
そうしていると
「チャーンス!やっちまえ!」
「でもコイツ、レッドキャップを倒したぞ?」
「所詮はスライムだろ?余裕余裕。」
「「それもそうか!」」
「「「うおぉー!」」」
とか言いながら冒険者達が襲いかかってきた。
こいつら馬鹿じゃねぇの?あと、やたらとハモるのは何?
このくっさい猛毒をぶっかけてもいいけど、一応揉めるなって言われてるしとりあえず話かけてみるか。
話を聞かなかったらこのくっさい猛毒をぶっかけてやろう。どうなるかたのしみ。
俺はとりあえず冒険者達に話しかけた。
「なにおまえら?」
「「「は?スライムが喋った?」」」
「ん?コイツが持ってるのってギルドカードじゃないか?」
「「本当だ。」」
「拾っただけじゃないのか?」
「「どうだろう…?」」
「どうする?」
「「う~ん…。」」
冒険者達の動きが止まったので、そのまま話をする事にした。つまんない。
「俺、冒険者だぞ?ホラ見ろよこれ、俺Dランクだぞ。てかお前ら何ランク?俺以下のランクなら焼きそばパンとコロッケパンとからあげとコーラ買ってこいよ。もちろんお前らの金でな。」
俺がギルドカードを見やすい位置まで触手を伸ばして見せると、冒険者がゆっくり近付いてきて俺のギルドカードを見ながら話合っていた。
「本当だ。ん?スライムの冒険者って、アレじゃないか?」
「「アレって?」」
「ノースフォートでゴブリンのイチモツ切って持って来たってやつ。」
「「あぁ〜、アレか。」」
「そういえば、別の街でアントラーラビットまみれでウロウロしてたって話も聞いたぞ。」
「「何だそれ?」」
「なんか、アントラーラビットを生け捕りにしてたらしいぞ?さっきのレッドキャップみたいに体に取り込んでたらしい。すっごいキモかったって聞いた。」
「「へぇ〜。」」
「なあ、焼きそばパンとかコロッケパンとかって何だ?」
「「お前知らねぇの?どっちも美味いぞ」」
「マジで!?あ、あとさ、からあげはわかるけどコーラって何だ?」
「「さあ?」」
「そういや、自称魔王の変な子供とよく一緒に居たらしいな。」
「「あぁ〜、あの変な子供か。」」
魔王が変な子供扱いされてるよ。てかこいつら、ハモり過ぎじゃね?
あと、焼きそばパンとコロッケパンとからあげはこの世界にあるのか。異世界人が結構来てるみたいだし、マヨネーズもありそうだな。異世界物あるあるのマヨネーズ。
なんでマヨネーズ?
でもコーラは無いみたい。なんで?
まあ何にせよ攻撃される事はなさそうだな。攻撃してくれても良かったんだけど?生き物相手にこの毒使ってみたいし。
とりあえずこいつらと話をしてみるかな。
あの意味不明なゴブリンみたいなのがまだ居るかもしれないし。
俺はやたらとハモる冒険者達と話をする事にした。




