死んだ男の秘密
このクソスライム、さっきから動かねぇな。
ま、話す事も無ぇし、放っておくか。
それより、この世界に来て初めてダンジョンってのに入ったけど、ザコしかいねぇな。
下に行っても所詮はオーガだろ?あんなザコ、大した事無ぇだろ。
このグースカ寝てる人間共も大した事ねぇ。
黒いオーガなら何匹か殺してるし、オレ1人でも最下層まで行けんだろ。
それよりも、問題はこのクソスライムだ。
馬鹿ってより、イカれてるって言ったほうが正しい。
本当に元人間か?
オレが言えた事じゃねぇけどよ…話を聞く限り、ここまでイカれた奴は見た事無ぇ。
あのクソガキなら何か知ってるか?
そういや、このクソスライムがあのクソガキと話してたみてぇだし、オレも出来るんじゃねぇか?
(妾に何か用?)
「ンだよ、話せんじゃねぇか。」「なんだよ。」
一々反応されんのも面倒だな、とりあえず誤魔化しとくか。
「何でもねぇよ。」「つまんない。」「ア"ァ"!?」「たたかないでね。」
コイツ、舐めた口利く割にすぐビビんだよな。
(口に出さずとも、頭の中で思うだけでよい。)
(ハァ?先に言えよクソガキ!)
(それで、妾に何か用?)
(ハァ…。このスライムよ、マジで元人間か?頭イカれ過ぎてんぞ?)
(お主の言う通り元人間じゃぞ、ただ…。)
(ンだよ?)
(お主、この事を絶対に誰にも話さんと誓えるか?)
(ンだよ、ソレ。)
(誓えるか?答えよ。)
(トーンがマジだな…わかったよ。ンで?何なんだ?)
(あの者は元人間じゃが、簡単に言うと壊れておる。)
(ハァ?まぁ頭オカシイのは確かだけどよ…。)
(転生すると、思考等が変わるというのは、お主も神から聞いたであろう?)
(ソレが?)
(お主は自分の名前と顔、家族の名前と顔、転生前の事をハッキリと覚えているじゃろ?)
(当たり前だろ?)
(あの者は、役目の違う神が転生させた。その所為で、自分が何者かというのを殆ど理解出来ぬのじゃ。)
(ハァ?)
(精神と肉体がチグハグで、最早元人間とは呼べん。姿形が魔物であっても、人間を人間たらしめるのは心、つまり精神や魂じゃな。アレの心は壊れておる。この者はおかしな事を平気でするじゃろ?そして、悪びれる気も更々無い。そもそも悪い事と理解出来んのじゃ。)
(でもコイツ、話は出来んぞ?)
(それは、人であった頃の名残りの様な物じゃな。)
(ンで、それを誰にも教えるなってのは何でだよ?)
(あの者がそれを知ると、心を失い、ただの化け物になってしまうからの。理由も無く転生されられたのじゃ、せめて好きなように暮らさせてやらねば可哀想ではないか?)
(そんな理由かよ…。ま、テメェらしいっちゃらしいか。
(もう良いか?少し遅くなったが、妾は夕食の時間じゃ。今日は芋と鯖の味噌煮とわらび餅じゃ。わらび餅は黒蜜ときな粉をたっぷりじゃぞ。羨ましいか?)
(別に?オレ魚嫌いだし。そもそもこの体じゃ食えねぇし、もう何か食いたいとも思わねぇよ。)
(なんじゃ、つまらん…。むむむ…羨ましいと言えっ!)
「知るかよ!」「なんだよ。」「ア"ァ"!?」「たたかないで。」
つい声が出ちまった。
「うるさいわね!静かにしてよ!」
アリスってガキも起きちまったか。ウゼェ…。
「寝てろ!クソガキ!」「そうだそうだ。」「何よ!」「ア"ァ"!?」「やめて。」
(ふふふ、ではの。さらばじゃ。)




