エルフの能力
北の森まで来た。これから森の中のゴブリンを殲滅しないといけないんだって。たのしそう。
そういえば、キャベツも戦闘すんの?あいつどう見ても戦闘向きじゃないし、それはないか。キャベツに聞こ。
「おいキャベツ、お前も戦うの?」「そんな訳がないだろう?私は探すだけさ。まぁ、戦えない事もないがね。」「小太り棍棒オークなのに?」「くっ…!」キャベツ怒ってるよ。なにかあったのかな?そう思っていると、ゴリラが口を開いた。
「ローズが呼ばれたのはよ、エルフの能力がこの作戦にはうってつけだからだぜ。ま、コイツはかなり強い方だからよ、戦っても平気だろうけどな。」「はぇ〜。」そうなの?キャベツ臭い体臭で呼び寄せるのかな。エルフの能力って何?
「なんで?」「なんでって、この世界の常識だぜ?森でエルフと戦うなってヤツだ。もしかして、ソレも知らねぇのか?」「しらない。」そんなの知らないけど。そう思っていると、ヤバ嬢が話に入ってきた。
「グミちゃ〜ん、エルフってねぇ森の中なら何処へでも行けるのよぉ。何人かぁ、殺した事あるけどぉ、かくれんぼみたいでぇ、楽しかったぁ〜。」「かくれんぼ?」ますます意味がわからなくなったぞ。なんなの。
「かくれんぼ?なにそれ?てかお前、普通にエルフ殺してんの?ヤバくね?ヤバいヤツだったなお前…。」「アハハハ〜。」本当怖いこいつ。俺が引いていると、キャベツが落ち着いたみたい。
「本人の強さによるがね、エルフ族は少しの範囲なら森と同化できるのさ。森渡りという能力でね、コレがエルフと森で戦うなと言われている理由さ。」「はぇ~。」なんか森になれるみたい。不思議。
そう思っていると、キャベツが突然消えた。消えたと思ったら、道の傍から出てきた。「お前どっから湧いた?」「これが森渡りさ。驚いただろう?」「はぇ〜。」素直に驚いたな。これ、森なら無敵じゃん。あ、これ森じゃなきゃいいんじゃね?聞いてみよ。
「これさ、森消し飛ばしたりしたらどうなんの?使えなくなる?お前も死ぬ?」「そ、そんな事はないさ。」なんかキャベツ焦ってるよ。なんで?
そうしていると、俺が潰した集落まで来た。集落に案内すると、ゴブリンの死体を見た男連中が全員引いてる。ゴリラですらだ。なんで?
「うわ…エグいなお前…。こんな事する奴初めてだぜ…。」「俺もです…。」「俺も…。」「なんだよ。」そう言って男達を見ると、何故か股間を隠すような動きをする。おしっこしたいのかな?そう思っていると、ヤクザ女が気になったようだ。
「何?どうしたの?」ヤバ嬢がヤクザ女に説明する。「グミちゃんがねぇ、ここの集落を潰した時ねぇ、討伐した証にぃ、ゴブリンのオ◯ン◯ン切ってぇ、持って来たのぉ。」「ハッ!?オチッ…きったないわね!!馬鹿じゃないの!?」何キレてんだヤクザ女。知らなかったんだからいいだろ。キャベツとフワフワ女は無反応だ。なんだよ。
「とりあえず、ここを拠点にしようかね。死体は森に食べさせるが、構わないかい?」「いいけど、なにそれ?」
森に食べさせるって何?そう思っていると、突然木の根っこが地面から飛び出してゴブリンの死体を地中に引き摺り込んだ。お前がやったの?おいしい?俺も食べてみようかな。
「これがエルフの能力!?こんなの無敵じゃない!!」ヤクザ女がビビってるよ。酔ったお前の方が怖くね?
「似たような事は私にも出来るけど…ここまでの精度は無理…。このレベルの事が出来るって事は…ハイエルフ…?」フワフワ女がやっと魔法使いっぽい雰囲気出したよ。
「マトモにやり合えば、全員Aランクのパーティーでもボロ負けだな。」ゴリラがそう言った。そうなの?
「ああ、言ってなかったね。そうさ、私はハイエルフさ。」「でもお前、弓術低いじゃん。」「当たり前だろう?私は魔法使いさ。」「でもお前、棍棒100じゃん。」「あれはクロ殿の話を聞いて、私も試しただけさ。」そうだったのか。別に100にする必要なくね?
キャベツが意外と有能だった事がわかった。