新たな人?生
光が収まった。
湖と森が広がっている。
広がっているというより視野がおかしい。
上下左右背後全てが見えている。
あと、やたらと視界が低い。
体は…動く。 動くが手足の感覚が無い。
だが、動ける。
とりあえず、湖で自分の姿を見てみよう。
岸になんか汚いグミみたいなのがいるな。
ノロノロと湖に近づいて水面に映る姿を見て愕然とした。
「!!」
俺もかよって叫ぼうとしたが声が出ない。
というより同胞だったのか。俺はグミ、お前もグミ。
発声すらできない汚いグミと化して呆然としていると、突然頭の中?にあの神の声が響いた。
「うぃ〜。言い忘れてたけどさぁ、スキルレベルはスキルを使えば上がったりするよ〜。あとレベルは戦ったりしたら上がるからね〜。あ、色々やるとスキルも手に入るから〜。じゃ〜ね〜。」
もうキャンセルも出来なさそうだしどうにか生きていく事にしよう。
とりあえず、鑑定スキルが有るらしいから自分を鑑定してみるか。
鑑定
種族:スライム(特殊個体)
名前:グミ
レベル:1
体力:20
魔力:20
物理攻撃:10
物理耐性:10
魔法攻撃:15
魔法耐性:15
速度:10
スキル 鑑定
間違いなく弱いんだろうな。
というか、名前がグミになってる。
それは置いといて、鑑定って結構色々出るんだな。とりあえず近くのモノを鑑定してみよう。
まずはこの湖から。場所位分かんだろ。
鑑定
みず
いやいや(みず)って…。
じゃあこの木は?
鑑定
き
ウン。ひらがなで、き。何だこれ?
近くに同じスライムも居るし、俺自身を鑑定したら色々出たし、コイツなら何か分かるかも。
鑑定
いきもの?
自分以外はまともに鑑定出来ない上に疑問形。
そういえばスライムって何食うんだ?
腹が減る気はしない。そもそも腹が無い。
でもこのいきもの?って鑑定結果の同胞のスライムは、体の1部が伸びて、そこから水やら砂利やらをまとめて吸って取り込んで体内で溶かしている。
何でも捕食するんだろうか。
しばらくこの同胞を観察しているとおそらく後方から声と足音がした。
人間が2人こっちに向かってくる。
1人は革の鎧を着て腰に剣を装備した若い男だ。
もう1人は黒っぽい鉄?の鎧に身の丈程の剣を装備したゴリッゴリの大男だ。
2人の会話が聞こえてくる。
「へぇ~、ここがスライムレイクですか。本当にスライムしか居ないんですね。ところで、スライムって全部こんな汚い色してるんですか?」
「あぁ〜、なんでか知らねぇけどよ、このきったねぇ色のスライムってこの湖の辺りにしか居ねぇんだ。それより、さっさと薬草集めちまえよ。」
マジか…。この世界のスライム全てがこんな汚い色してるんじゃなくてここだけかよ…。
それはそうとこいつら鑑定してみるか。まずは若い男から鑑定しよう。
鑑定
いきもの
クッソ…。
大男は?
鑑定
妨害
妨害?そんなん有りかよ。
大男が怪訝そうな顔でこっちを見ている。
狩られる?