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変なスライムの物語  作者: フラフラ
変なスライム、冒険者になる。
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狂気のトレーニング法

魔王がおでんを食い終わって、プリンに手を伸ばしている。メイドがずっと横で立ってんのによく平気で飯食えるよな。横にずっと誰か立ってたら普通にウザくね?

「魔法も体の使い方も理解したようじゃな。あとは、鍛錬を重ね、強くなればよかろう。」「具体的にどうすんのさ?棒振ってりゃいいの?」「いや、お主の種族の場合、疲労や苦痛というものがそもそも無いのでな、もっと良い鍛錬法がある。」スライムの特性を活かしたトレーニング法か…。「具体的には?」「そうじゃな、物理を中心に上げたいのならば、お主が産まれたあの湖で水を吸い続けつつ、自分を殴りながら走り回ると良い。」「おまえ狂ってんの?」奇行もいいところじゃねぇか。「真面目な話じゃぞ。人間も似たようなやり方をしようとはするがな、とてもじゃないが、周りの目に耐えられん。あ、魔法を上げたいなら、弓なりに魔法を放ってそこに突っ込め。」そんな鍛錬法有りかよ。周りの目…。イカれたトレーニングを勧められて呆れていたが、よく考えたらコレが一番効率良くね?これなら最強のスライムになれるんじゃないのか?いずれあのゴリラをボコれるのではないか?そう考えたらワクワクしてきた。

「あ、鍛錬中は、自分の鑑定だけはずっとしておくのじゃぞ。うっかり自分を殴り殺さない為に必要じゃからな。」「自分を死ぬまで殴るとか馬鹿じゃねぇの?」そんなヘマするかよ、普通はヤバいって思って止め…あっ。

「さっき言ったであろう。」魔王は呆れている。

そうだ、さっき魔王が言ってたじゃん。スルーしてたけど、コイツの言う事って滅茶苦茶重要なんだった。

「お、そうじゃ。コレはお主が持っておけ。」そう言って変なカードを渡してきた。「なにこれ?」「お主のギルドカード。」「あっ。」完全に忘れてた。この体になってから、すごくいい加減な性格になってる気がする。元からマメな方ではなかったけどな。ついでだし、魔王に聞いてみようか。

「なんかさぁ、スライムになってから色々と変なんだけど。」「そうじゃろうな、転生して別の種族に変わったのじゃ。ただでさえ、転移させられただけでも思考が変わったりするからの。」初耳なんですけど。「具体的には?」「元の世界に帰りたいという気が無くなったり、生き物を殺すことに抵抗が無くなったりじゃな。」しっかり自分の国作ってる奴もいたみたいだし、そういうもんなのかな?。「お主、転生前の自分の姿や、親族の顔を思い出せるか?」「なんだよいきなり。当たり前だろ?何十年と見た顔…あれ?」自分の姿が思い出せない。ボヤけた形しか思い浮かばないぞ。親の顔も思い出せないし、転生前に何の仕事をしてたのかも思い出せない。あれ?俺の名前は?歳いくつだっけ?

「ちょっ、転生したのは確かなんだけど何も思い出せない…。お前、俺の名前知ってる?」「知るわけがないだろう。」「まあいいか。」「ほらの。」何かよくわからんがまあいいか、としか思わなくなった。これが転移や転生した奴に起きる現象なのか。

「もう元の世界は戻れんじゃろう。スライムになっておるしな。この世界で好きに生きて行けと神に言われたなら、そうすれば良い。気に入らないなら、神を殺しに行けば良かろう。少なくとも、気分は晴れる。」

サラッと気に入らないなら神を殺せば?とか言われたんだけど…。そうなると、やっぱり強くなるしかないな。神が何処に住んでるか知らないけど、この魔王なら知ってるだろう。最悪、勝てなくても神の家?に火を付けたり、白アリをバラ撒いたり、ミントとか植えたりして逃げ回ればいいか。

「神ってどこ住み?」「神界じゃ。お主、最初に連れてこられたであろう?」そういえばそうだったわ。「神界ってどうやって行くの?俺、住所知らないんだけど。」「ある程度強くなった時、その気が有るのなら妾が連れて行ってやろう。」ご褒美の旅行みたいな感覚で言ってんなコイツ。てか、普通に神界行けるとかヤバいな。「なんで神界とか普通にいけんの?」「神を殺したからじゃ。」「えっ。」

このロリババア、神殺してるよ。神って死ぬの?そう思っていると、突然、執事が棍棒を持って入ってきた。えっ、何してんのこいつ?頭大丈夫?

「失礼いたします、ご主人様。これがよろしいかと。」「うむ、そうじゃな。ほれ、これをお主にくれてやる。さっさと鍛錬してくるが良い。」俺は棍棒を手に入れた。鑑定してみよう。


鑑定

クロの棍棒

魔界樹の芯材でできている。

破壊不能。


とりあえず、丈夫なことはわかった。これで頭を殴りながら走り回れば強くなれるんだな?頭ってか体だけど。他にすることもないし、鍛えるか。

「魔界樹って何?これくれんの?」「うむ、もう1本あるからの。励めよ。」「ハゲはギルマスだろ?」「さっさといけ。」「ウッス。」

魔王の家を出て、俺は湖に向かうことにした。門までの道中、ギルドの前に屯している冒険者達がこっちを見ている。コンビニで屯してるガキ共かよ。服装はファンタジーだけど。そんなに警戒してはいないようだが、ヒソヒソと話してる。なんかムカつくな。「何見てんだよ。」「喋った…。」「アレ、ギルマスが言ってたスライムじゃない?」「ハゲの事ハゲって言ったらしいぞ。」「あの残念エルフの事もキャベツ呼ばわりらしいぞ。」「なんでキャベツ?」「さあ?」ハゲはハゲって呼ばれてるし、キャベツは残念エルフってよばれてるのか。そういえば、ハゲはどう呼ばれてるか知らないが、キャベツは俺の鑑定では残念エルフだったもんな。向こうからゴリラと農民が歩いてくる。ゴリラが話しかけてきた。「おっ、グミじゃねぇか。何処行くんだ?」「湖、お前らが俺を拉致したとこ。」「そうか、何しに行くか知らねぇけど、がんばれよ。」「うっせーゴリラ。いつかボコってやる。」「ハハハ!やれるもんならな!いつでもいいぜ!」農民も話しかけてきた。「じゃあな。スライム。」「死ね!クソ農民!」「ひどい…。」農民はショックを受けた。

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