2話
彼女が出て行ってどれくらいだろう。いつの間にか日も沈み辺りも暗くなってきていた。あまりのショックから動けなかった俺だが
カチャ
という音に気づき後ろを振り向いてみると、なぜか給水棟の陰から親友である 赤木シンイチ が出てきた。
って何でここにいるの?俺がその疑問をぶつけようとすると
「何も言うな。全部俺が受け止めてやる。」
??なぜか熱く語りながら俺に近づいてくるシンイチの右手にはデジタルカメラが握られていた。
「お前、それは」
「分かってる、お前は悪くない。普段あんな態度をとられれば勘違いしないほうがおかしい。」
軽くスルーしていますが、早い話俺の告白を覗きに来ていたということなのね・・・確認の意味で
「なんでここにいんの?」と聞いても
「だいたい女なんて奴はさ・・」
と再び語りだそうとする親友の頭に、力いっぱいのゲンコツを食らわせた。
「痛ってなー。何すんだよ」
「お前が俺の話を聞かないからだ。何でここにいた。」
「いやー。お前ここ数日おかしかっただろう。告白の仕方とか聞いてきたりしてさー。だから俺にはビビッときたんだよ。お前は近いうちに告白するってね。」
確かに、クラスにいるモテ組の一人にはさりげなく聞いたことはあるが、この親友には聞いたことが無い・・・だってこいつ彼女いない歴=人生年齢だから・・
「それに山本のことも避けていただろう。だから山本に告白する。お前の性格から考えて場所は絶対屋上だと思い、張ってたんだよ。」
えっ?張ってたって
「お前いつからここにいんの?」
「うん。張り込み3日目。案外早くて助かったよ」
と満面の笑みで答えたが3日って・・・
「しかし俺は山本を見損なったぞ。振るのはいい、だがあの言い方はない。」
「お前聞いてたの?」
「もちろん、ビデオにも撮ったゾ」
バキッ。うん、いい回し蹴りがヒットしたね。
「腹がぁぁぁ、息が出来ないぃぃぃぃぃx」
俺の蹴りを鳩尾に食い地面に這いつくばっている親友を無視して、ビデオカメラからメモリーデータを抜いた。
「これは没収な」
俺はそう言いながらメモリーデータをポケットに入れた。
「でも、なんだ・・悪気があったわけじゃないからな・・お前らは絶対結婚すると思っていたし・・
結婚式でこれ流そうと思って・・」
とシンイチにしては珍しく、弱々しく話し始めた。
それは分かっている。コイツはは馬鹿だが、悪い奴ではない。
今回のことも俺のために・・とやったことだろう。こんな結果になるとは知らずに。だから
「ああ、分かってるよ。」と答え、わざと伸びをしながら
「ああーーーーっと。でもやっぱ辛いなーー。失恋は・・」
想定外ではない・・告白前に最悪な結果も考えていた・・しかし、やっぱり辛いものは辛い・・
「あれっ」気がつくと涙が出ていた。そんな俺を見たシンイチは
「ヒロユキ・・」とそれ以上は話しかけてはこなかった。
俺、高之宮 ヒロユキ(高1)生まれて初めての失恋だった。
前回から大分空いてしまいました。って私の話を待っていてくれる人なんていないですよね>< もしいてくれたら嬉しいです。
次回からすれ違って行く予定です