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左横田さんの後を追いかけろ!

最寄駅で上司と降りる。

これで第一段階は完了。後はどうやってこのお荷物を交番まで届けるか。

さすがに何も言わずに送り届けるのも変だしな。

上司は動かずに人任せなのだが鼻は利くから危機を察知して逃げてしまう。

そう言う悪い癖があるので交番に誘導するのは至難の業。

警戒されて逃げられでもしたら厄介。交番に逃げ込むなら願ってもないが。

目的地でもない駅前交番にでも逃げ込んだら最悪。慎重に慎重に。

やはり彼女の話で盛り上がるしかないか。


何を勘違いしたのか上司はすっかりお見合いの件だと思っている。

「実は彼女が居なくなったんです」

正直に白状するしかない。恥ずかしいが協力が必要不可欠。

「ああ知ってるよ。何て言えばいいか。慰めの言葉もない」

なぜか気を掛ける優しい上司。気味が悪い。

まるで罪悪感に苛まれてるかのよう。

あれ待てよ…… なぜこの男は失踪したことを知ってる?

誰にも話してないぞ。漏れるはずがない。

失踪したのは今月でそんなに経っていない。どう知り得たと言うのか?

まさか彼女の失踪に何らかの関わりがあるのか? もしそうなら何て大胆な人。

俺が気づかないとでも思ったのだろうか?

疑惑の目を向ける。


「おいおい睨むなよ。だってお前別れたと言ったじゃないか。覚えてないのか? 

お酒の席だったからな無理もないか」

「嘘? だって…… これはどう言うこと? 」

「さあな。振られたんだろ。現実を受け止めろよな。みっともない」

何て酷いことを言うんだこの人は。もはや歩く気力もない。

「大丈夫かよ。ほら行くぞ! あの時みたいに顔面蒼白じゃないか」

そうやって笑う。

だが俺は本当にこの人に話したのだろうか?

信じられない。でも失踪したのはついこの間で飲み会も今月はまだ。


「それはいつですか? 失踪したのは今月ですよ」

「ははは…… 何を言ってやがる。もう新しい女を作って速攻で別れたのか? 」

「それは…… 」

「違うだろ? だからこそお前に社内モニターを勧めたんだろうが」

「恐らく…… はい…… 」

これはどう言うことだ? 俺をからかって遊んでるとは思えないしな。

「ほらどこだ。迷ったんだろ? だったらあの女性に聞いてみようぜ」


目の前を歩く女性。それは間違いない。

俺の目の前に度々現れてトラブルを起こす最悪なトナラ―。

確か名前は左横田さん。俺をストーカーだと決めつける恐ろしい人だ。

ここで会うのは何かの偶然ではなく引き寄せられたのだろう。


「済みません。ちょっとお尋ねします」

マイおしぼりで汗を拭く綺麗好きな上司。

これくらい清潔だと嫌われなくて済むんだろうな。

もうそろそろ夏だしな。俺も見習わなくては。

なるべく汗を掻かないようにし不快な臭いを発しないように香水もつけて。

一日三回はシャワーを浴びなくては。たぶん無理だろうな。


「ちょっとその人はまずいですよ。会ったことあるでしょう? 」

必死に止めるが聞きやしない。

「うるさいぞ! 俺はこの人に聞いてるんだ。それで店はどこだ? 」

「店と言うか…… 交番と言うか…… 」

「はあ? はっきりしろよな! おしぼり投げるぞ! 」

上司は投げる振りをする。そして代われと命令。


「きゃああ! ストーカー変態! 」

うわダメだ。気づかれた。いつもこれだからな。

「ちょっと待って! 」

誤解されたままでは俺はストーカー確定してしまう。

「お前ストーカーだったのか? 」

上司の冷たい視線。

違いますよ。あなたがすべての元凶でしょう。

そのおしぼりをどうする気ですか? 

そう言えたらどれだけいいか。だが言えない。刃向かってはいけないのだ。

「どうやら案内してくれるそうですよ」

左横田さんの後を追いかける。


左横田さんは向きを変えるとすぐの十字路を左に折れる。

そして一直線に交番へ。

うん案内ご苦労様。でも俺はストーカーじゃないけどね。

それだけは信じて欲しい。


「おいどうする? 交番に駆け込んだぞ」

「いいんです。我々もここですから」

「はあ? 何を言ってやがる? ああそうか。お前迷ったな」

そう言って間抜けな上司はのこのこ着いて来る。

これで機密文書を取り戻せるぞ。

そして首にならずに済む。


「済みません。例の件で来ました」

目的を伝え中へ入る。


                 続く

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