表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/59

お爺さんとの齟齬

一人目。

「まあ良かろう。それで儂に何が聴きたい? 」

一通り疑ったとこで飽きたのか態度を軟化させる。ようやく機嫌が直ったらしい。

しかしまだ完全には信用されてない。様子見と言ったところ。


疑いの目で見る困ったお爺さん。

警察だと信用されずに説得も効果なし。

やはり一人で来たのがまずかったかな。怪しいもんな。

警察も例に漏れず人手不足。しかも最近はもっとひどく人手不足に拍車が掛かる。

交番に一名いるだけでもありがたいと思って欲しい。

もっと田舎に行けばずっとパトロール中の札が掛けられてるところだって。


「分かりました。前置きはなしで。失踪届を出された方があなた方が怪しいと。

ですから念のためにとお話を伺いにきた次第です。

何かお知りのことがあればお聞かせください」

警察も辛い。どちらの肩入れも出来ない。今ある事実にのみ目を向けるしかない。

もしこれが隣人トラブルであるならばその元を断つ必要がある。

ただ警察が介入すれば余計に拗れる事態に陥ることも。

だから事件に発展するまで手が出せない。

しかし今回は失踪事件なので警察が介入可能。


「儂は詳しくない。儂では力にはなれそうにない」

「でしたらぜひご協力ください」

「気の済むまで勝手にやってくれ」

意外にも素直に応じる。

もう諦めたのか? 潔白だから?


お爺さんに付き添ってもらって部屋を見て回る。

「もうよろしいですかな? 何なら犬小屋も見ますか? 」

何年も放置されたボロボロの犬小屋。そこに愛犬の名前が。

お爺さんとこの家の歴史を感じさせる。

もちろん中には何もありはしないだろう。

閉じ込めるには目立ちすぎるしな。


「分かりました。こちらにはいらっしゃらないようですね」

これで捜索してることになるだろう。

失踪事件で警察が動かないと分かれば地域の信頼を失ってしまう。

そうなってはますます捜査に非協力的になる。

市民と警察は手を取り合って事件解決に取り組んでいくのが理想であり目標。


「警察も暇ですな。訳の分からない話を真に受けて」

お爺さんはここぞとばかりに嫌味を言う。

「ははは…… ではこの方との関係は? 」

昨日しつこく粘っていた男の写真を見せてみる。一種の賭けだ。

「ああこの人か…… 警察も関わらない方がいいよ。

まったく何を考えてるんだろうなあいつは? 」

なぜかイラついてる様子。

「しつこいんだから。勝手に人の家に遊びに来て。

断るのもなんだから優しくしてやったら馴れ馴れしく近づいて来る」

もはや憎しみが見え隠れするほど。男はなぜこんなにも嫌われている?

どうも男の話す内容とこのご老人の話が一致しない。


「実はその方の彼女さんが失踪したそうなんです。心当たりはありませんか? 」

まだ結婚もしておらず今月から同棲を始めると言っていた。

そう言う意味ではめでたい祝福されるべき二人。

だがなぜか突然その一方の彼女が失踪する事件が発生。

不可解な事案なのは間違いない。


「ははは…… あんたはからかわれてるんだよ」

お爺さんは否定的だ。何を根拠にそのようなことを?

「ですが失踪したのは間違いないと。からかいますかね? 」

「失礼だがその女性を見た覚えは? 」

「それは一度もありません」

「だったらどうして失踪したと言える? 」

「はあどうもよく分かりませんが…… 」

「儂は毎日のように来られてノイローゼ気味なんだ。

平穏な日常を取り戻したい」

「あまり上手く行ってないと? 」

「どうしてこうなってしまったのかの。出会った時は好青年だと思ったのに」


「分かりました。それで彼女が失踪した心当たりありますか? 」

「心当たりって…… ああ喧嘩してたよ。随分激しく。これはもうダメだなと」

「それはいつですか? 」 

「先月にショッピングモールでな」

「ショッピングモールと言うのは隣の駅の? 」

どちらの駅からも直線距離は同じぐらいだが無料の送迎バスは隣駅からのみ。

多くの買い物客が訪れると言う大型ショッピングモール。

水が無料だから助かるんだよな。

私もちょくちょく寄らせてもらっている。一度に何でも揃うから便利でいい。

すぐに時間が経つのが玉に瑕ではあるが。


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ