夜空の涙
夜空は時々、悲しくなる
どうして、怖がられてしまうの?
どうして、指をさされてしまうの?
どうして、まぶしく照らされてしまうの?
夜空は、知っている
闇そのものだから
瞬く星々を背負っているから
昼間の明るさを持っていないから
夜空はたまに、泣く
こらえきれなくなった涙を、ポロリと一粒
不意に溢れ出した涙を、はらはらと
怖くなんてないのに
後ろばかり見ないで
明るさなんて求めてない
夜空の涙は、誰にも知られずに、じんわり大地に染み込んでいく
夜空の涙は、誰にも知らることなく、じんわり海に混じっていく
夜空は孤独に、涙を流す
夜空は人知れず、涙を流す
夜空を見上げて笑う人が、闇にまぎれていることに気づかずに
夜空を眺めてうっとりする人が、闇と馴染んでいることに気づかずに
夜空の下で踊り明かす人たちが、闇と戯れていることに気づかずに
夜空は何も知らずに……、涙を、流す