第46－4話 夏至祭りの奇跡 初めてのキス
ライオネル殿下は震える手でそれを受け取り、私の目の前で飲み干した。
夏至祭りの夜、空には奇跡のような光景が広がっていた。人々は夜空を仰ぎ見ながら、心から驚きと感動を味わっていた。流星が夜空を彩り、星座の中で輝くかけらとなって流れ落ちていったのよ。
ライオネル殿下がエリクサーを飲んだ瞬間、旅立つ前と変わらぬ澄んだ眼差しで、私を見つめた。
「ただいま、ソフィ」
それはまるで光が突如として戻り、彼の瞳に再び輝きを取り戻したかのようだった。その眼差しは驚きと喜びに満ち、かつての記憶が戻ったことに対する感謝と、失われた時間への惜しみが宿っていた。同時に、彼の顔には自信と確信が宿り、再び自分自身であることを確認した幸福感が溢れ出ていた。
「お帰りなさいませ、ライオネル様」
ライオネル殿下が両腕を広げた瞬間、私は彼の腕に飛び込んだ。彼の温かい腕に包まれ、彼の胸に頭を預けると、私の心は喜びと幸せで満たされた。
ライオネル殿下は優しく私を抱きしめ、私の髪を撫でながら、私を思い出したことへの感謝の言葉を囁いた。そして同時に、自分が帰国時にとった行動も思い出したようで、しきりに私に謝罪の言葉を口にしていた。
グレイトニッキーは満足気に頷き、私達に祝福の言葉をかけながら、人混みに消えていった。まさに今宵の彼は天使よ。私達に奇跡をもたらし、完璧な愛をまた取り戻させてくれたのだから。
花火の後の夏至祭りの会場では、リュートやフルート、リコーダーなどを使った音楽が演奏された。曲に合わせたダンサーやパントマイムアーティストなども参加して大いに盛り上がった。
私たちは親密に肩を寄せ合い、夏至祭り会場で舞うダンサーに注目した。私達はお互いに感想を交換しあった。ダンスの美しさや技術の高さについて語り合い、互いに感銘を受けた瞬間を共有する。会話は軽快で笑いが絶えず、お互いを楽しませるためにユーモアを交えながら進んでいった。
私とライオネル殿下の手が自然に絡み合う。手をつなぐだけでなく、優しく握り合ったり、指同士を絡めたりして、お互いの存在を確かめ合うたびに、見つめ合いその気持ちを確かめ合った。その触れ合いには温かさと愛情が満ちており、私たちの絆が再びよみがえったことを感じさせた。
私たちが笑うタイミングも完璧で、一方が冗談を言ったりおかしな仕草を見せたりすると、もう一方は大きな笑い声を上げて応える。その笑いは心地よく、私とライオネル殿下は、幸せの絶頂にいたのよ。
「ソフィ、この夏至祭りの夜は、特別な夜になりましたね。君と共に過ごせること、それだけで私にとっては幸せなことです」ライオネル殿下は囁くようにおっしゃった。
私は彼の言葉に微笑み、心が通じ合っている喜びを感じていた。そして、ライオネル殿下がゆっくりと私に顔を近づけてきたとき、私の心臓はさらに激しく鼓動した。ライオネル殿下の唇が私の唇に触れる瞬間、私の体は震えたわ。初めてのキスは柔らかく、優しく、愛に満ちていた。
私はキスの余韻に浸りながら、夏至祭りの夜の最も美しいこの瞬間を心に刻みつけた。ライオネル殿下との初めてのキスは、私にとって永遠に忘れられない思い出となったのだった。
