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第30話 一件落着? それぞれの者達の末路

 お父様達は渋々とそれにサインをした。




「ソフィがいなくなったら、ブリス侯爵家には誰が嫁げば良いの? お金の返済を迫られるわ」




 お母様が愚痴をこぼす。




「クランシー様はココと結婚なされば良いのですわ。そういえば、クランシー様は『なんでも私のことを聞くように躾けてもらえる修道院が良いと思う』と、おっしゃっていましたね。私はそのためにゴッサム修道院に送られたのですもの」




「まぁ、それならうってつけの修道院がありますよ。そこでココを厳しく躾けてもらうと良いでしょう。ソフィから、ココとブリス侯爵子息はとても仲が良いと聞いていますからね。二人を結婚させなさい」




 ボナデア伯母様が楽しそうな口調で、そうおっしゃった。非常識な二人のようなのでぴったりですわ、と最後に付け加える。




「え? 嫌です。厳しい修道院なんて行きたくないわ。私はクランシー様とは楽しく遊ぶだけの関係で、スカイラー様の妻にでもなろうと思っていたんだから」




 なんとなくわかっていた。お兄様に婚約者がいないのも、おそらくそれが理由だ。ココはお兄様の妻になり、クランシー様の愛人でいようと考えていたのだ。それを両親やバークレー夫妻も認めていたことが想像できた。もちろん、私はクランシー様のお飾りの妻で、機嫌の悪い時のサンドバックを務めるのだとも。




「ココをそのような場所に行かせるのは反対です」




 お兄様はいつものようにココを庇おうとしたし、私の元両親もバークレー男爵夫妻も猛反対だった。私の時には皆笑顔で大賛成だったことを思い出す。




 やはり、縁を切って良かった。身内でありながら、他人よりも冷たい冷淡さを見せていた人達だから。




「あら、あなた達はココの心配より自分の心配をなさい。まず、ジョハンナとヴィッキーの私に対する暴言は許しませんよ。子供が生めない、誘拐犯、そのような言葉を私に投げつけておいて、ただですむと思っているのですか?」




「メドフォード国の王族に対する不敬罪もあるぞ。関係のない者は黙っているように申したな? ここから立ち去るようにも命令したな? 数え上げればきりがない。加えて、あの文書を破く行為も『公的文書毀損罪』と同義に扱う。その罪に応じて裁判を開かせよう。この者達を捉え王城内の牢獄に連行せよ!」




 アルフォンソ国王陛下が王家の騎士達に命令をした。王族の方々皆がその言葉には深く頷いていた。




 ようやく、お母様達は自分達が、とんでもないことをしでかしたと理解したようだ。必死になって許しを請うけれど、誰もその声には耳を傾けない。





「ソフィ、お母様が悪かったわ。決してココを優先していたわけではないのよ。あなたを本当に大事に思っていたのよぉーー。お母様を助けてちょうだい。あなたならできるでしょう?」




「あなたはもう私のお母様ではありません」




「ソフィーー。姉妹のように育った私を見捨てるの? 助けてよーー」




「ココは私が修道院に送られた時になんて言ったか忘れていますよね? とても嬉しそうに笑って喜んでいました」




 私は元家族達を助けたいとは思わない。どこか二度と私の目の触れないところで、生きていてほしいだけなのよ。




「あの者達は裁判でどのようになりますか? 極刑とまではいかないですよね? あれでも両親だった者達なので、命だけは助けてあげてください」




「死刑はメドフォード国では廃止になっているので、あの者達の命は奪わないですよ。『名誉侮辱法』 と『礼儀と品位の維持法』あたりの法律に抵触するということで、相当な罰金が科されます」




 カーマイン王太子殿下が穏やかな笑みを浮かべ、私に安心するようにおっしゃった。




「あら。鞭の一回や二回はそこに組み込まれていますわよね? 私達王族に帰れ、とおっしゃったのですよ」




 ミラ王女殿下がぷくっと可愛い頬を膨らませた。




「クランシーという男も許せないですね。ブリス侯爵家も」




 ライオネル殿下は美しい顔に不快な表情を浮かべた。




「裁判で莫大な罰金を科し、シップトン王国に送りつけてやりましょう。その際、シップトン国王にも正式に抗議の書状を添えますわ。『メドフォード王国の王族に冒涜的な行為を働く者に対して、爵位を保持させ続けるのは、如何なものでしょうか? 考え直すことが肝要ですわ』とね」




 カサンドラ王妃殿下のお言葉で、王家の騎士達に引きずられていく者達が一斉にわめきだした。




「お許しくださいぃーー。お願いします。私達が悪うございました。お願いします。お願いしますぅーー。ジップトン国王はお怒りになると、貴族でも容赦なく奴隷の身分に落とすのですーー」




 特にお父様とバークレー男爵は激しい抵抗を試みたが、最終的には騎士の一人によって捕まえられ、みぞおちに拳を受けて気絶し、連行されていったのだった。






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◆この異世界でのメドフォード王国の法律





※「名誉侮辱法」: 名誉侮辱法は、他人の名誉を傷つける発言や中傷に対して罰金を科す法律です。




※「礼儀と品位の維持法」: 礼儀と品位の維持法は、社会的な礼儀を欠いた言動に対して罰金を科す法律です。



数多くの小説の中から拙作をお読みいただきありがとうございます。

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※誤字報告をいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 大暴れしてた頃のマリエッタも名誉侮辱法でかなり罰金取られたのかなと少し気になりました 公の場で侮辱して周りから疎ましく思われてたんだし誰かしらが訴えててもおかしくないような…結局泣き寝…
[一言]  面白かったので、イッキ読みしました。  結末がまだなので、もう少し読みたいですね。
[良い点] 辻褄も合いますし文章も読みやすくて良いです。 [気になる点] 物語が間延びしてしまってる気がします。 展開が見えるのでもう少しコンパクトにまとめて緊張感を維持した方が面白く感じそう。 […
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