第20話 特別室でのお茶会 / 寄付したドレス
ジョディ様とアーリン様は、私のおかげでエレガントローズ学院に留まることができ、それを感謝していた。
「ソフィ様は私達の恩人です。もし、ここを去ることになったら、そのまま社交界にもいられなくなるところでした」
「そうです。多分、まともな方とは結婚できませんでした」
二人から私はとても感謝された。貴族令嬢の評判は非常に重要で、彼女たちが上位貴族を怒らせたり、学院で不適切な行動をした場合、その不祥事は彼女たちの評判に大きな傷をつけることになる。
彼女達は今、私の部屋にいる。特別室にはあれから二組ほど招いており、今回で三組目だった。一回に招く人数は三人まで、順番はくじ引きで決めた。
おもてなしに出したお茶はダージリンティー。香り豊かで華やかな味わいの紅茶は、ビニ公爵家ご用達の茶葉だ。
ティーカップは上品な淡いローズピンクの磁器製で、繊細な模様やゴールドのトリムが施され、持ち手は優美に湾曲していた。カップ自体が小ぶりで、とても上品だった。
ティーカップに合わせた磁器のティーソーサーがセットになっており、お茶の滴りを受け止めてくれる。ソーサーも同じデザインで、ゴールドの縁取りが美しい。
お菓子の取り皿も磁器製で、ティーカップと調和したデザインだった。淡いピンクやホワイトの色合いに、花の模様やヴィンテージ調のデコレーションが施されている。プレートの直径は小さめで、一口サイズのお菓子を載せるのにちょうど良いサイズだった。
高級感のあるシルバーのフォークの柄には、細かい装飾が施され華やかさを引き立てていた。これらの食器は、ビニ公爵家の洗練された趣味と贅沢な趣向を反映し、お茶会の雰囲気を一層豪華にした。
本日のお菓子は、ストロベリーチョコレートガナッシュタルトで、ニッキーさんが作った。ニッキーさんはビニ公爵家の副シェフで、私が在籍する2年間だけ、エレガントローズ学院のシェフ長として派遣されている。でも、彼の本当の職業は錬金術師なんだそう。彼はなにを作っても最高の味が出せる。
タルト生地はバターの香りが広がる、サクサクとした食感を持ち金色に輝いていた。まるで、宝石のように輝く外観を見るだけで贅沢な気分になる。全体は艶やかなチョコレートガナッシュで覆われていた。
それは濃厚でクリーミー、そして滑らか。口溶けが良く、チョコレートの風味が豊かだった。甘さと苦味が絶妙に組み合わさり、贅沢な味わいを生み出す。
中には、たくさんの新鮮なストロベリーが美しく並べられており、鮮やかな赤色が目を引く。それぞれのストロベリーは甘酸っぱくジューシーで、ほどよい酸味がチョコレートと絶妙に調和していたのだった。
特別室のリビングエリアで、二人とも初めは緊張していたけれど、お菓子を一緒に食べているうちに、なんとなく打ち解けてくるから不思議だ。美味しい物にはやはり人間関係を円滑にする大きな魅力があるんだと思う。
他愛もないお話をするなかで、やはり必ず話題にあがるのは、例のバッグの話だ。
「お二人が作成したバックはとても素晴らしかったわ」
私はできあがったバッグを改めてしげしげと見つめた。それは私のドレスだった生地なのだけれど、ローズピンクのシルクが光り輝き、柔らかい感触だった。バッグ全体には繊細なレースが飾られ、花々や葉の美しい模様がシルクと調和していた。
開け閉め部分は丁寧に縫製されたファスナーがつけられている。繊細なレースとシルクのリボンを編み合わせて作られた持ち手もとても綺麗だった。高級感と実用性を兼ね備えたバックは、これからどんどん活躍してくれることだろう。
※ジョディ視点
ソフィ様はご自分がお持ちのドレスの一部を、エレガントローズ学院に寄付してくださった。とても高価な生地で作られた贅沢なドレスばかりよ。
私のような男爵家の娘にはとても手の届かないものだ。私は早速、そのなかの一着をお借りすることにした。私が選んだのはオレンジ色のドレスだ。
それはオレンジ色のシルク生地で作られ、美しいグラデーションになっていた。ドレスの胸元は深いV字のネックラインだった。そこには美しいレースとビーズの飾りが施され、女性らしい魅力を引き立てていた。
シルクの生地は滑らかで触り心地が良く、光の加減によって微妙に色調が変わるのが特徴で、まるで日の光を受けたオレンジの花びらのようだった。肩から優雅に流れる袖と、程よく絞られたウエストは、私の体にぴったりとフィットしている。ドレスの裾は広がり、豪華なフリルと刺繍が施され、踊るたびに美しい動きを見せた。
このドレスを身にまとうことで、私はまるで夢の中にいるような気分になった。そして、この素晴らしいドレスを着るチャンスをくださったソフィ様への感謝の気持ちは、私の心に永遠に刻まれることになった。
だって、年頃の私にとって素敵なドレスを着る経験をもらえたことは、とてもありがたいことだったから。
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