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友達になりました!


「ふはぁ……楽しかったぁ……。誰かとこんなに遊んだの初めてだ……」


「ぼ、僕もこんなに走ったのは久しぶりです……。最近はずっとエステルさんに運んで貰ってたので……。はふぅ……」


「はっはっは! 二人とも、本当によく遊んだものだ。しかしミセリアの疫病神の力も、抑えてくれれば効果範囲はユレルミの貧乏神と同じくらいなのだなっ!」


 燃え盛る焚き火を中心として、私達はバラエーナの父上と母上が用意してくれた焼き魚を口に運んでいた。


 ユレルミとミセリアはそれぞれ私達とは離れた位置にぽつんと座っている。

 だがそれでもこの二人にとって、これが〝誰かと一緒にする食事〟であることに変わりはないのだろう。


「でもさ、最初はちょっと恥ずかしかったけど、すっぽんぽんで走り回るのって凄く楽しいし、気持ちいいんだな! オレ、このままユレルミと一緒にすっぽんぽんのままでもいいかも!」


「そうなんですっ。実は僕も最初は恥ずかしかったんですけど……なんだか段々癖になってくると言うか……えへへ」


「ぶふォッ!? や、やっぱりそうだったのかっ!? 最初に会ったときからユレルミの反応がどうも変態っぽいと思っていたのだっ!」


「あ、その……もし良かったら、一度エステルさんも僕と一緒にすっぽんぽんになってみませんか……? 僕……エステルさんとなら……」


「ふぉおおおっ!? は……えっ!? わ、私も!? ユレルミと一緒に!? す、すっぽんぽ……ッッ!? そ……そんなことしたら……既に真実を知った私は、一体どうなってしまうというのだ……!? おぎゃ!?」


「キャーーーーッ! ユレルミ君だいたーん!? ど、どうするの? エステルはオッケーしちゃうのっ!?」


「テメェなに変な想像してやがる変態女ッッ!? この俺様の目が黒いうちはユレルミたんと妙な真似は絶対にさせねぇぞゴルァ!?」


 結局、ユレルミとミセリアはあれから日が沈むまでずっと遊び続けた。

 無論、すっぽんぽんで。


 最終的には私やジロー、バラエーナも混ざって鬼ごっこやかくれんぼなどをしたのだが……ぶっちゃけユレルミとミセリアに追いかけ回されるのは本当に大変だった。


 もし追いつかれれば、あっという間にすっぽんぽんになったり足を滑らせて砂浜に顔面ダイブの憂き目に遭う。正に命がけの遊びである。


 そして……そうして私達と遊んでいるときのミセリアは、本当に楽しそうだった。

 しかし――。


「でもよ……本当にこいつと友達になるつもりなのか? 俺もユレルミたんの決めたことに口出ししたくはねぇんだけど……」


「えー? いいんじゃないの? だってユレルミ君もすっごく楽しそうだったし、最後には私達も一緒に鬼ごっこしたじゃん?」


「けどよ!?」


「わ、悪かったよ……。まさか、神のスキルを持ってもない奴らまでオレと遊んでくれるなんて思ってなくて……」


「うっ……! 素直に謝ってんじゃねぇ! べ……別にお前とダチになるのが嫌だってわけじゃねぇんだ! そういうんじゃなくてだな……!」


「ミセリアさんはオータムに攻め込んで、そのまま他の国も不幸で一杯にするって言ってましたよね……? 僕たちがミセリアさんの友達になっても、やっぱりそれは変わりませんか?」


「……お前達がスプリングにいたのは知ってる。オータムから逃げた奴らを貧乏神が止めたって聞いたから、オレもユレルミを探しに飛んできたんだ」


「なるほど……たしかにあれだけ派手なことをすれば、今まで誰にも知られていなかったユレルミの存在が大陸中に知れ渡っても無理はないな……」


「正直さ……オレも貧乏神と会ってどうするとかそういうの、なんにも考えてなくてさ……。けどユレルミが友達になってくれるって言って、アンタ達も一緒に遊んでくれて……むちゃくちゃ楽しかったし、嬉しかったよ……」


 ミセリアはバツが悪そうに俯く。

 その様子は、どこにでもいる普通の少年そのものだ。


 一緒に遊んでみて私にも分かったが、ユレルミと友達になりたいというミセリアの言葉に嘘はなかった。だが、それだけに……。


「けど……やっぱりオレは、今までオレを散々酷い目に遭わせてきた〝幸せな奴ら〟を許せない……。不幸な目に遭ったこともないような奴らを、オレと同じ目に遭わせてやりたいんだよ……っ!」


「テメェ……! やっぱり……!」


「待てジロー! ミセリアの話はまだ終わっていないっ」


「でも……。アンタ達と遊んで、すごく楽しくて……ユレルミが〝もう自分は幸せだ〟って言ってた理由がちょっとだけ分かったよ……。世の中には、悪い奴らばっかりじゃない……オレがそうじゃなかっただけで、もしかしたらオレと友達になってくれる奴も、どこかにいたのかもしれないって……」


「それなら、もう戦争なんて……!」


「ダメだ……。だって、今のオレは〝ウィンターの希望〟だから……。オレと同じ、〝生まれたときから不幸に塗れた〟ウィンターの奴らにとって……オレだけが最後の希望なんだ……」


 そう言って顔を上げるミセリア。


 その彼の表情は、最初に現れたときのトゲトゲしい物とも、私達と遊んでいるときの無邪気な物とも違う。どこか大人びた、強い意志を宿す表情だった――。



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