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#1 紅き月の夜に


「どういうことかね?フェルナンド卿。」


「どういうことかと申しますと…?」


湖畔に佇む洋館の一室に、二人の紳士の姿があった。フェルナンド卿と呼ばれたその男は、静かに落ち着いた声で質問の意味を聞き返す。


質問をした人物は髭を蓄え恰幅(かっぷく)のよい、いかにも偉そうな雰囲気を漂わせている。自分の質問に対して落ち着き払った態度が癪に触ったらしく、その表情は苛立ちを隠せない。男は苛立ちを語気に乗せ、再び質問をぶつけた。


「呆けているのか!?やっと成功した実験体に逃亡を許しておいて、なんだその態度は!!」


男は怒鳴り付けると目の前のテーブルを殴り付けた。衝撃でテーブルに乗っていたグラスのワインが揺らめいている。


「逃亡を許したのは閣下の部下でしょう。」


「なんだと!?」


「拘束具を脱がさなければ彼女の自我は封じられていたのです。本来、逃亡など出来ないのですよ。」


フェルナンドは怒鳴られることなど意に介さずと言わんばかりに窓から外を見上げる。


「大方、少女のような見た目に油断したのでしょうが、お陰で研究所は酷い損害です。暫く、研究の再開は難しいでしょう。


まぁ…。兵器としての実用性は証明されましたがね。」


薄ら笑いを浮かべながら皮肉を述べると、フェルナンドは部屋を後にした。


「おのれ、青二才が!少しばかり精霊学に長けているからと調子に乗りおって!!」


ガシャン!パリン!


その態度に益々苛立った髭の男は、とうとうテーブルの上の物を全て薙ぎ払ってしまった。


「とにかく…。アレが人の目に触れる前に何とか捕らえなくては…。」


テーブルからこぼれ落ちるワインの雫溜まりには、薄紅色に光る二つの月が映り込んでいた。


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