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ゾンビワクチン  作者: カルぼなぁら
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プロローグ 「想像の世界線」

 時は平成。

 場所は兵庫のとある小さな塾。

 そこでは1人の生徒に1人の先生が授業をしていた。

「先生!現在分詞と過去分詞がわかんないです〜!!」


「おっけ、んじゃまずは分詞について説明するわ。

 分詞は動詞をing形、これが現在分詞「〜している」、または〜ed、seenなどの、過去分詞「〜される、ら

 れる」に変えて、形容詞のように使う。


「まずは、この問題を解いてみようか」

 

 2、3枚程のA4プリントを机の上に広げ、少年の前に置いた。


 ちょうどその時。


 ピーポー、ピーポー。


 救急車の音が遠巻きに聞こえてくる。


 少年が壁の下にあるステンドグラス越しに見える救急車の光を目で追う。


「最近は、めっちゃ救急車通るんよな〜。」


「なんでなんですか?」


「新型コロナのワクチン接種が始めってからかな。

 副反応が出て救急搬送されたり、っていう人が多いみたい。


 ネットでも、若い子の髪の毛が抜けたり、全身にえっぐいほどの蕁麻疹ができたりって、結構すごい副反応

 があるってTwitterとかにのってんで。」


「え、怖ぁ………」


「そーやんな、だから先生もワクチンは打ちたいけど打つなら国産のがいいんよなぁ〜。

 外国のはアメリカ人みたいなでっか〜い人を基本にしてるから、量が多くて日本人とかの小さい体、しかも

 子供が打ったから副反応が強く出る、なんてことも言われてんねんな。」


「確かに…。僕もアレルギー持ちなんでワクチンは進んで打ちたいとは思わないっすね…。」


「そーやねん、先生も肌弱いし食物アレルギーとかもあるから、打つのは怖いんよね〜。」


「そうっすね、どうせなら国産のワクチンを打ちたいものです…」


「よなぁ…。

 ファイ○ーのはコロナの遺伝子型を覚えさせて、それだけを排除するっていうプログラムやねん。

 んけど、これやったら自分の遺伝子でもコロナと似てる型やったら、コロナと間違えて攻撃しちゃうん

 よ。


 でも、最近開発された日本産のやつは、従来のインフルエンザワクチンみたいな感じやから、できればそれ

 を打ちたいんよ。」


「あ〜。

 あの、ちょっとだけウイルス入れるやつですか?」


「そうそう!

 それやったら、特定のウイルスだけを排除する仕組みやから、安心、安全よ。」



 ピーポー、ピーポー。


 また、救急車の音。


「やけに多いですね…。」


「ウ〜ン…。

 この頻度で病人出るなんて、今までやったら考えられへんからな…。

 

 ちょっと政府も世界のトップも、どうかしてると思うけどな。」


「ですね。

 新種のものっていうのは何がおこるかわからないから、怖いんすよね〜。」


「それよな〜。 

 新しいものっていうのは予測ができひんから、今後どう変異するか怖くてしゃーないわ…。」


「あ〜。

 言ってみれば、バイオハザードみたいな感じっすね。

 コロナのワクチンとかコロナ自体が変異してゾンビウイルスみたいになる、なんて世界が変わってしまった

 らこんな平和なことも言えないっすけどね。」


「あ〜。

 そんなことを考えたら、今の子って賢いんやな。

 大統領とか首相とかは「若者の摂取率が上がりません!」っなんて言ってるけど、俺には若者は一概にワク

 チンをしたくない、って考えるのを辞めてる人が全員とは思えんのよな。


 そういうこととか、副反応とかいうことをしっかり考えて行動してるように見える。」


「ですね……、でも、僕は漫画とかアニメとかばっか見てるんで、そういう異世界系のことに依存しちゃって

 るから、現実ではあり得ないことを考えちゃうんですよ〜。」


「いや、でも人間が考え、想定することを超えてくるんが新しいことやから、案外そういうこともあり得なく

 ないような気がするけどなぁ…。」


「ま、そうっすね。

 もしそうなったら、コロナのワクチンとかコロナにかかって死ぬより、そういうゾンビとかが蔓延る世界で

 精一杯足掻いてから死にたいっすね。

 

 そしたら悔いも未練もない。」


「あ〜、確かに、みんなが死ぬってわかってる状況で死ぬのは怖くないもな〜。

 今の状況は科学者とか医者とかだけしか打開できんけど、そんな世界になったら自分だけしか信じれんし、

 自分だけが頼りやからな〜。」


「はい〜。

 ちょっと、異世界ものが好きな僕からしたら楽しそうっすけどね w 」


「確かに、ちょっと先生もそういう世界は憧れちゃう所あるかも…。」


「んま、今の状況を乗り切るまでみんながもう一踏ん張りしなきゃ、っすね。」


「やな。」


 キーンコーンカーンコーン。

 授業の時間がちょうど終わった。


「よし、じゃあ今日は現在分詞と過去分詞のプリントを宿題にしとくから、今週の金曜、それ持ってきて

 ね〜。」


「わかりましたー。


 んじゃ先生、さようなら〜!」


「はーい、バイバ〜イ!

 気をつけて帰れよ〜!」


「分かってますよ〜!」


 その少年は扉を開け、自分の家へと帰っていった。


 

 

 この2人は思いもしなかった。

 話したことが現実になるなんて。


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