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ほら、もうすぐ始まるよ。」


私が母の形見と格闘していると、父から声がかかった。


何が、と、聞く間もなく、どこからか大きな声が響きだした。



「皆の者、今日は厳粛なる日。落ち着き、節度を持つことで、神は授けてくださる。」


その言葉で、辺りは急に静かになった。



「それでは、教会の中へ。」


そう言って、教会の扉が開かれる。


厳粛な、と言っておきながら、意外とフリーで歩かせるんだなと思った。


教会の人は基本的に優しいから、皆の者、なんて呼ばない。

こういうときだけ雰囲気を出すなんて、さすがプロだ、尊敬する。


まぁひとえに教会の人全員が優しいわけじゃないが。

例えば今私の方をガン見している綺麗めなオニーサン...とかね。


まぁ、今日は父もいるし、大丈夫だろう。そう言って父の方をみると、父は何かを呟いていた。


「今年は確か、第2王子もいるはずなんだが.....。」


独り言なのか、誰の耳にも届くはずのなかった呟きは、私の耳にバッチリと届いた。


父の顔を思わずガン見してから、冷静な思考に戻った。

大丈夫、悪いのは父ではない。

父はタイミングが悪いだけ。

そう必至に言い訳するも、やはり父を恨みがましく思ってしまう。



正直、聞きたくなかった。


だが、今の時点で来てないってことは、来ない可能性もあるということ。

ポジティブな思考に切り替え、王子のことなど忘れようとしたときに、一度は閉じた教会の扉がもう一度開いた。


私はそのときに残念ながら、誰が来たか分かってしまった。



「遅れてしまって申し訳ありません、皆様。」



金髪碧眼、優雅な仕草と物腰で立っていたその人は、私ですら名前は知っている。プレーン王国第2王子、ベルフェミーユ・トルテ・プレーン殿下だった。



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