誕生日
今回は内容薄めです。すみません.....,
「ただいま。」
私はドアを開け、父が迎えに来てくれるのを待った。
父は必ずと言っていいほど、私を玄関で出迎えてくれるから、私も多少父が来るのが遅れても、来てくれるまで待つ。
少し後にこちらに向かってくる足音が聞こえた。
ゆっくりとした足取りで階段を登る音だ。
足音が止まれば、私の目の前には父の姿が。
「こんな早朝に摘んでこなくてもいいんだけどね。本当、働き者だね。」
そう言って少し微笑んだ。
でもそれを言えば父だって、昨夜遅くまで仕事をしていたんだから休んでほしい。
「これからどうする?もう一回寝るかい?」
私は首を横に振ろうと思ったが、自分が予想以上に眠気があることに気づいたので横に振ろうとした首を一度止めて、縦に振り直した。
父に洗浄魔法をかけてもらって、自分が着ていたパジャマをまた着る。
洗浄魔法は生活魔法の一瞬だ。この魔法ができる者は水の適性があると言われているけど、それは迷信で、できてもできなくても、適性に影響はない。
でも、この迷信を信じるとしたら、私は水の適性はあるのだろう。
私はもうすぐ7歳。
7歳になれば、何が出来て何が出来ないのか、教会で適性が分かる。
それと同時に、魔法の勉強や使用も解禁なのだ。
期待に胸を膨らませて私はベットに潜り込んだ。
今日は疲れた。
私はベットに入ってわずか10秒で寝るという大技を成功させた。
翌日。
私は教会の前に立っていた。
あれ、私の誕生日はもう少し先。具体的には3ヶ月後なのに。
なんでこんな日に教会に来たんだ?
首を傾げながら隣にいる父の方を見る。
すると父は、少し困った顔をして、申し訳なさそうに謝罪した。
「やっぱり、僕が言っていたことをちゃんと聞いていなかったんだね。」
父は少し呆れたような、困ったような顔をした。
でも失礼な。私はちゃんと聞いていたよ。でも私の誕生日はもう少し先だからこそ、父の方を見ただけなんだよ。
「うーん、何か勘違いをしているようだからもう一回説明すると、この国は7歳になったら男女共に教会で検査を受けるんだ。誰であろうとね。」
それはわかっている。
だからなぜ、今日なのだという話なのだ。
「父、私の誕生日はもう少し先。」
「そうだね。誕生日自体はもう少し先だけど、この国では皆同じ時期に教会で適性を見るんだ。」
え?
それは初耳だ。
「だから今日に備えて皆、準備をしているんだ。」
そう言われて、周りに目を向けてみる。
周りに目を向けてみると、女の子はワンピース。男の子は長袖長ズボンと、しっかりとした格好が多い。
そう言う私も、父に無理やり着せられた可愛らしいワンピースだ。
膝丈くらいまでで、歩きにくくはないのに、どうにも居心地が悪い。
靴も白に緑と、可愛らしく、爽やかなサンダルだ。しかしこれはワンピースと違い、少しヒールがあるからか、歩きにくい。
なるほど、確かに言われてみればいつもより人も多いし、子供も多いし、とても華やかだ。
自分が場違いなように思えて、少し気後れしてしまう。
父は、そんな私の様子を見て何かを察したのか、安心させるように微笑んだあと、髪飾りを渡してきた。
「これはお母さんの形見だよ。」
そう言っていかにも高そうな髪飾りを渡してきた。
私は手に取ったあとの髪飾り自体にあるずっしりとした重さに、形見という大事にしなくてはいけない大切なものという別種の重さも同時に加わって、体に今までにないくらいの緊張が迸った。