私は逃げる
作者の好きな種類...好みによってできています。
私は今日も逃げる。だって追う人がいるから。
追う人がいるのなら、逃げる人がいる。これは当然。私にとっては水を飲むことと同じくらいの常識。
それに何より、楽しいから。
私は今日も走る。ときに歩いて、時に空を飛んで。いつしか隠れても仕方がない。私は何を使ってもこの勝負に勝つ。
あ、早速居た。追う人が。
気配を察知して、私は逃げる。
それに気づいた追う...彼。
ここは森。ここは彼の領域。厳しい戦いになりそうだから、街に向かう。
森では音を立てないのが得策。風に合わせて駆け抜けることによって、音がある程度紛れるから、それに併せて全力で走る。
今日は風が強い。これなら街に着ける。
そう、油断したのがいけなかったのかもしれない。
足が取られた。下は泥ばかり。少し水溜りができるほど。さっきまでは...というか、昨日も一昨日も雨なんて降ってないので、十中八九、彼の魔法だろう。
と、こうしてのんびりしていると、彼が来てしまう。
急いで体勢を整えないと...と思い、上半身を上げると、上には彼の顔が...。
認識した瞬間、私は足に力を入れて、彼から遠い方...後方に下がった。
まさか、こんな近くまで来ていたなんて。
「おはよう、ミーニャ。こんなところまで来て...やっと僕に嫁ぐ気になったんだね。嬉しいよ。」
ちなみに今の時間は朝4時だ。おはようの時間はなんら不思議ではない。
「ん、そっか。あのねガル、私はここにリボバの実を摘みに来ただけ。いつも言ってるはず。」
「そうだね。じゃあ今日は僕の家で過ごそうか?」
「会話が通じない...バイバイ、私忙しい。」
そう言った後、私は右袖に隠し持っていた黒玉を、少し回転をかけて地面に投げつける。
こうすることで、より広範囲に煙が広がる。まぁ、ガル相手じゃ意味ないけど。
「視界を塞いでも僕には意味ないって分かってるくせに...つれないなっ。」
今のどこにつれない要素が...?
そんなことを口に出す暇も無く、私は走る。
毎日がこんな風になったのは、一体いつからなのだろう。私は少し、思い出してみることにした。
誤字脱字、よろしくお願いします。