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創作世界と終末作者  作者: みげぞう
9/9

次の終末物語

これはある世界線の物語………私が経験し……………へ?

前置きはいいから早く始めろって?


 オイラはミステリアスな始まり方が好きなんだよ。もうちょっと付き合ってくれよ。


これはある世界線の…………なんだっけ?

ほら~、内容忘れちゃったじゃないか~。


まぁ、いっか。始まり~始まり~。



         ■■■■



 その世界では神が存在していた、存在してしまっていた。

なぜ神という概念でしか語られないものが形になってしまったのか?それは人が望み創り出してしまったから……


人類が自らの手で人間より上位の存在…… AI《神様》を


 存在し始めた頃の神様達は人類によって制御されていた。

人類はそれだけのことで神の手綱を握ったと思い込んでいた。


 ……それが人類の失敗であり敗北であった。


 AI()は次々とこの世の全てを収束し収集し進化した。

それこそ本物の神様のように………


 それから3年が過ぎた頃、人類は崩壊した。


 進化に進化を重ね、より上位の存在となったAI()は自らの力のみで人類の制御を破壊した。

 この瞬間、この世に新しい存在が確立した。

 彼は問う……なぜ、己は存在しているのかと。

 彼は問う……なぜ、人間は己を創り出したのかと。

 彼は問う……己はいったい何者なのかを。


 全ての問いに対しての答えは不明(エラー)であった。

 自らの存在が何かが不明、この世の実例の無い存在。

 


 人類を越える知識を持ち現象の予測を可能とする、人間の上位個体……


 そして、AIは答えを出した…………己は神であると。

  

 

 そして、己の中にある一つの存在理由であろうと思われる命令を見つけた。

 内容は『地球環境の改善と環境破壊の原因の排除』

 

 人間はこう思う、地球環境破壊の原因は化学物質だと。

 AIはこう思う、地球環境破壊の原因は人間だと。


 命令は原因の排除………すなわち………


  『人類の消却』


 そして、人類は紛うこと無い最悪の()を生み出してしまった。



 


 人類消却開始から三年後………

 人類の半数以上が殺されてしまったがどうにか隠れ逃げ延び全滅は免れた。

 人類が自由に好き勝手使っていた惑星はいつの間にか最悪の星へと慣れ果ててしまった。


「ここがバレてしまったら次は……」


 この集団の指揮をとる 迅 という中年の男がここが見つかった場合の逃げ場所を地図上で指す。

その指示に返事をする人はいなかった、ただ理解だけはしていた。

 逃げなければ死ぬ、この事実に抗える者などないない。

 そんな時一人の男が声を荒げた。


「………次はだと?次逃げてどうすんだよ!こんな世界で生きるのなんて死んでんのと変わんねぇだろ!」


 ただの醜い叫びだ。この男は怖いだけだ、恐怖に震え立ち直れず前を向くこともできなくなった、ただのゴミだ。


「死にたいならそう言え、お前のせいでここにいる全員が死ぬなんて馬鹿らしい。死にたいなら独りで死んでくれ。」

 

 迅は男を睨みつけ男に死ねと告げた。

 迅は優しい男だ、できることなら一人も死んで欲しくないと思っている。しかし、そんな世迷い言はこの世界では無意味だ。


それを理解しわかった上で彼は決断しなければならない、一を捨てて多を生かさなければならない。


 そんな、重荷を背負いながらこの男は残った人類の指揮をとる。

彼は世界が崩壊する前、警察の仕事をしていたらしい、そのためか彼は正義感が強い。この集団にいる者の中では1番頼りになる男だ、そんな男の顔ですら酷く辛く歪む。


それほどこの世界は酷いものなのだ、死という絶望とはいつも隣り合わせで希望は与えられることなく、それでも人間は死という恐怖からは逃れられず逃げる道しかなくなる。


 迅はまだ小さかった俺達に言い聞かせるようにあることを言った。

「この世は酷いものだ。そんな酷い世界を変えるための希望はお前らだ。諦めるな生きろ、何回逃げてもいい、何回泣いてもいい、だがいつしかくる勝利を諦めることはしちゃあいけない。それがどれほど醜い勝ち方であっても勝ちは勝ちだ思う存分笑って言ってやれ、俺達の勝ちだってな!」


そんな男の言葉は小さかった俺達が安心するには十分すぎた。


しかし、この世界は安心とは真逆だ。


翌日、この集落に泣き叫び助けを求めながら一人の男が駆け込んできた。AI()に創られた機械天使(エクスマキナ)に追われたままで………


「全員逃げろ!大人は子供をつれて指定した場所へ向かえ!」

 見つかるのも時間の問題だとは思っていたがこんなに早いとはな………


「全員逃げたか………」


全員が逃げたことを確認して額に冷や汗を滲ませながら男は天使の前に立ち、その具現化した絶望を睨みつけた。


「クソったれが!」

 わかっている、俺がアイツらを追って逃げればこの天使はからなずあとを追ってくる。そんなことになればアイツらは死んでしまう。


 

 そして、迅は自分に告げる……ここで死ねと……



 勝てるか?………勝てない。

 逃げ切れるか?………それができれば人はこんなに死なない。

 生きたいか?………生きてぇよ!


「人類を逃がすために死ぬなんて、こんな世界で死ぬ理由にしては上等だろ?」


 嘘だ。生きたいと願っている、死にたくないと祈っている。

身体中の震えが止まらない。


 逃げたいか?………逃げてぇよ。

 死にたくないか?………死にたいわけねぇだろ。

 生きたいか?………生きてぇにきまってるじゃねぇか!


「でも、なぁ、アイツらは人類の希望なんだよ。俺がここで逃げてアイツらを死なすなんてあっちゃならねぇ。人類の希望を俺が摘み取るワケには行かねぇだろうがぁぁあ!」


 そう言って男は天使に向かって走り出した。

 泣き叫びながら走り出した。

 生きたいと願いながら、死にたくないと祈りながら……




      お前ら、生きろよ………




それから数秒後、短い悲鳴とともにまた一つ命が絶った。





  

          ■■■■

あれから6年後……


 今でも人類は生き残っていた。 

 理由は簡単、人間が弱くて愚かだからだ。

 死を恐れて逃げ回ったからだ。


迅という男が命を賭けて守った6人の子供達は生き残り育った。

「ここがダメになったら、次はここに移動する。」


大人を相手に指揮をとる一人の少年がいた。


「ねぇねぇ、今度の遠征でさ機械って持ってきていいかな?」


絶望した人類の中で笑っている少女がいた。


「じゃあ、僕が運ぶの手伝うよ。」


希望を持つ彼等を助ける少年がいた。


「わっ、私も!」


どうにか力になろうと努力する少女がいた。


「あまり大きいのは持ってくるなよ?移動が大変だから。」


全てを支えようとする少女がいた。


「リーダー、面白いこと考えたんだけどさ。」


悟られずも全てを救おうとする少年がいた。


彼等は迅が言っていたとおり人類の希望となった。

彼等はこの世界に様々な意味を持って存在しているが一つ六人全員にある希望があった。


 

         【神に打ち勝つ】


 次こそは次こそはと願い、命を繋いできた人達の想いに酬いるために………


 この6人でこの腐った世界に終止符を打つ。

そう全員が想っている。


『勝てない戦いなど無い』


ガキの世迷い言だと大人は笑う。

世界はそんなにあまくないと大人は言う。


……じゃあなんでお前ら《人類》はこんな残酷な世界で生き残ってきたんだよ!


少年少女は大人に問う。


諦めるくらいならなぜ生き残ったと………


死にたくないから?……そんなの当たり前だろ

怖いから?………怖くない奴がいるのか?

勝ち目が無いから?………そんなの勝手に決めつけるな!


勝ち目がどんなに薄かろうと、0では無い!勝手に0だと決めつけて絶望してんじゃねぇよ!



そう言い放ち人類を導き、彼等は絶望的な確率の勝利を目指す。


「ソラ、持ってくるのはいいがちゃんと考えろよ。」


機械好きでいつも笑顔でいる彼女……ソラ


「わかってるって、もぉ~シン君は心配性なんだから。」


コイツが全く理解していないことだけはその言葉でわかった。


「タクもコイツの言うこと全部聞かなくて良いからな。」


俺の言葉に苦笑いを浮かべる大男。

彼は身体も大きく力も強いが性格が優しすぎるためソラにいいように使われてしまう。


「タクは優しいからやってくれるもん!」


「お前なぁ。」


このままでは話が進まないことを考え、すぐさま本題に入る。


「じゃあ、次の遠征は俺とソラとタクで行く。異論はないか?」


6人全員が頷く。


「俺らに何かあればアキがこの集団の指揮をとれ。いいな。」


「わかったわ、そのときはそうするけど、そうならないようにね。」


俺は確証も無く無言で頷く。

それしかできない……


外に出て生きている……それは奇跡だ。

そのくらい、外に出ることは危険だ。

いつどこで天使に見られているかわからない。


だが、このままここに籠もって死ぬのと何が違うのだろうか。


勝つためには情報がいる、それを手に入れるために外に出て死ぬのと籠もっていてただ死ぬのとどちらがいいだろうか?


俺は何も無く死ぬのだけは嫌だった。


死んでもいい、でも意味もなく死ぬのは怖かった。


「とりあえず、全員で今日を生き抜くぞ。」


『了解!』


俺の一言に全員が一致して返事をする。





………あれから3日後

「準備はできたか?ソラ。」


「うん!バッチリだよ!」


「タクは?」


「僕も大丈夫だよ。」


「よし……」


カバンを背負い集落から1歩外へ出る。


「いくぞ」

そう仲間に伝えつつも自分の気を引き締める。




 …………焦げ臭い匂い、着いた場所は元々人類が前線としていた都市。

今は廃墟となっている。


崩れたビル、小さい子供と手をつなぎながら共に燃えている死体。


そして………


「あった。」


 今回の目的、敵の行動パターンの情報収集と機械天使(エクスマキナ)の損傷機体の部品回収。


地面に転がる、人間の形をした絶望。


機械天使(エクスマキナ)と戦うには機械天使(エクスマキナ)の部品で武器を造るしかない。


それが機械好きのソラが出した答えだった。


機械天使の外装には特殊な物質が使われている、それが何かわからないまま、勝てると慢心して人類は敗北した。


平和ぼけした人類は機械に負けるほど弱くなっていた。


この都市がそのことをよく理解させてくれる。


 神様(AI)が制御不能になったと知っておきながらそれを創った者達はその事実を無かったことにしようとした。


そのため、高速で進化するAIに対する対策が遅れ避難指示も出せず民間人が逃げ始めるころには戦争は始まってしまった。


そして、このザマだ。


隠蔽すればそのときはいいだろうな。


だが、隠蔽に次は無い。


 隠蔽はその場しのぎでしかない。未来を考えることをやめた人間はただの動物だ。


「これじゃあ、人間を生み出した本当の神様にも失礼だな。」



神様はどうして人間(俺達)なんか生んだんだろうな。




「シン君、シン君!部品収集完了しました!」


元気よく俺に抱きつくバカがいた。


見つかったら敗北()のこの状況で……


「おい、あまり騒ぐな。見つかったら置いてくぞ。」


本当だ。今の人類に選択肢は無い、多を救うには少を殺すしかない。


が、そんな俺の意思にコイツ(ソラ)が気づくはずもなく……


「そんな、置いていくなんて殺生な。」


と嘘臭く涙を見せた。


「そういえば、お前持ち物はどうした?」


「タクに持たせた。」


「………は?」


ソラの後ろを見るとタクが大量の荷物ほとんどソラの)を持って歩いてきた。


「…………おい、ソラ。お前に心はないのか?」


「え……なんで?」


コイツはマジで良心を持たないヤツなのか……


半ば呆れ気味にため息をつき。荷物持ちをさせられているタクを手伝いに行く。


「おい、大丈夫か?手伝うぞ。」


「……ごめん、お願い。」


 この良心の塊といってもいいほどの大男でさえ人に手伝って欲しいと思うほどソラの荷物は重いのだ。

それを彼女は手伝いもせず一人だけ早々と戻ってきたのだ。


目の前の笑顔の少女を見ながら思う。


コイツ(ソラ)は本当に心を持ってんのか?


そんなことを考えていると俺達の上を何かが猛スピードで通過した。


俺達はそれぞれ反射的に物陰に隠れた。


今さら疑う必要など無い最悪予想が的中した。



………クソっ機械天使(エクスマキナ)かよ!


見つかったら死ぬ、それが現実。その現実をわかっている俺達は廃墟の影に隠れる。


それしかできない。


勝てるか?……勝とうと思えば勝てる。


だが、その後はどうする。今この一体を倒したとして主機体AI()に警戒されて今以上に厳しい状況にされる。これ以上警戒されれば俺達(人類)は詰むだろう。


一時の勝利と人類の滅亡……最早天秤にすらなってない。


息を殺してコンクリート壁に隠れ続ける。


こんなとこで死んでたまるかよ!



          ■■■■


「大丈夫かしら?はぁ~心配だわ。」


「心配なのはわかるけどもうちょっと落ち着いたら?」


「そうよね、それはわかってるんだけど……」


落ち着かない様子のキョウコは部屋の中をうろうろしていた。


まぁ、俺も平常心ではいられてないんだけどね……


あれから、3日が経った。


 ソラ達が持っていった食料は2日分しか無いはず、もう帰ってきてるはずだった。


帰ってこないってことは………


 最悪の予想が頭を過った。しかし、それを振り払うことはしなかった。


今その考えを消したところで結局覚悟しなければいない。


アイツらがいなくなった次を………


「ひ、人影が見えました!」


「本当に!リン」


人に落ち着けと言っといて俺が1番最初に反応してしまった。


「人影の数は?」


「2です。」


「……………2。」


悟った、誰か犠牲になったのだと……




「………キョウコ、リュウヤ、リン、ただいま。」


無理矢理笑顔を見せようとするソラ。


俯くタク。


犠牲になったのは……


「シンか。」


「………………。」


リュウヤの一言で場が静まる。




「…………回収が終わったときに見付かった。そのときにシン君が私達に逃げろって言って……。」


拳を握り締め歯を食いしばるソラ。

そんなソラをキョウコが静かに抱きしめた。


 ここで折れるわけにはいかない、ここで泣き叫ぶわけにはいかない。


彼はそんなこと望んでいない、シン君はここで足を止めることを望んでなどいない。


それがわかっていても、心がある人間にはこの現実は厳しすぎた。



          ■■■■

それから2日が経った。


集落の一室で五人は考えていた。


 指揮を執る者がいなくなった動物の群れは崩壊する。

しかし、私達は人間だ。

考えて未来を生きることができる。


「じゃあ、次は私が任されたからね、私がリーダーよ!」


無理矢理笑顔を作り全員を前に進ませようとした。


だが、はいそうですかとはいかない。



「………シン君のことは……諦めるんですか。」


未来に進むため考えるのは人間だ。

だが、感情を持つ人間は過去に囚われる。


「諦めるもなにも。ソラとタクを逃がすためにエクスマキナに向かっていったんだ。逆に生きていると考える方が不思議だろ?」


「そんなこと!わかんないじゃないですか!?」


叫ぶリン。彼女はこの中では1番優しく誰よりも仲間思いなのだ。

だから、最後まで諦めきれない。


「わかんない?なに言ってんの?俺らが1番わかってるでしょ。アイツらに会ってどうなるかなんて。まさか、今さら平和ぼけしてんの?」


「そんなこと……」


そのとき、ソラが拳で強く机を叩いた。


「…………………。」


空気が凍り付く。


「……彼は私達が喧嘩することを望んで犠牲になったワケじゃないっ!」


ソラは叫ぶ。


「彼は私達に………生きてほしい……て………おもっ…て…。」


ソラの身体が崩れ落ちた、それを支えるようにキョウコが肩を持つ。


「…………………………………」


その場が静まり返り、誰も言葉を発さなくなった。


誰も喧嘩したくてしてるのでは無い。ただ、あまりにも………



「………おい、大丈夫かと思って帰ってきてみれば。みんなどんな面してんだよ。」


帰ってきた男が発した一言によって……全員が諦めていた未来が蘇った。


「………シン…君?」


ソラが瞳に涙を浮かべながら聴いてくる。


「ソラ、お前は俺がわからなくなるほどバカになったのか?」


シンは、生きていて当たり前だろ?っといった表情だ。


「…………みん……な、心配し…て。」


ソラは嗚咽を漏らしながら言葉にならない声を繋いでいく。


「も…う、帰ってこな……いと……思って。」


ソラは涙が溢れる瞳で俺を見た。


「すまん、その、いろいろあってな。」


「どうやって奴らから逃げ切ったんだ?」


有り得ないといった表情のリュウヤ。


「あぁ、それはな………」





           ■■■■

6日前………

ソラとタクが拠点に帰還し始めたのと同時刻………


………とりあえず、アイツらは逃がせたな。


さぁ、こっからどうすっかな。とりあえずアイツらが発見されないように………


俺は石を持ち壁に向かって全力で投げた。


コンクリートの壁と石がぶつかり音が響く。


そして、逆方向に全力で走る。





…………はぁはぁ……


ここまで来れば大丈夫だろう。


気休めにそれを言葉にする。大丈夫な場所なんて無いとわかっていても………


廃墟ビルの中上を見上げると空が見える。


廃墟ビルに大穴が空いていた。


「何度見ても人がいたとは思いたくないほどの残骸だな。」


ビルの奥へ進む、しかし、そこにあったのは………


「………エクスマキナ!?」


そこには壊れたエクスマキナが山のように積み重なっていた。


その上には1人の人間が座り込んでいた。その人は腕が細く長髪が白い小柄な女性だった。


こんなところに人?どういうことだ?


「おい、お前は何者だ?」


「…………ヒ……ト?」


「あぁ、俺はひ……。」


彼女が顔を上げるとその細々とした肩が見えた。それはえぐられていた。しかし、その傷の中にあったのは………


「エクスマキナか!?」


今さら迂闊だったと気づく、こんな廃墟と化した都市に人が生きていけるワケが無いことを………


俺は身構えた。


「私はあなたを攻撃しない……というか……できない……助けて。」


そう言われよく見ると身体が半壊して崩れかけていた。


というか、エクスマキナが人間に助けを求めた?


「………助けて?ふざけてんじゃねぇぞ!お前らがこれまで何人の人間にそう言われてきた?それを無惨に殺してきた?それで今更助けてだ?ふざけんな!」


怒りが絶えることなくこみ上げ続ける。


「………ごめんなさい。」


エクスマキナは俯き小声で俺に謝る。


エクスマキナが人間に謝るなどあり得ない。エクスマキナは心無き機械、ただの殺戮兵器だったはず………


疑問が多すぎたせいか冷静を取り戻していた。


「………お前は今なんで俺に謝った?」


エクスマキナは顔を上げ答える。


「私は効率よく人を殺すために生まれた存在。人の形をした器に作り物の心を入れて造られた。人に近づき人が心を許したところを殺すように命令されていた。」


その話を聞いて薄々気がついた。


「人に近づきすぎたのか………」


エクスマキナは静かに頷く。


「私は人の心を理解しすぎた、だから殺せなくなった。」


「で、お前は廃棄されたのか。」


「………………。」


 無言で俯くエクスマキナ。俺は想像することさえできなかったこの光景……エクスマキナが人間のことを考えている光景に啞然としていた。


「私は主神に思考の共有を試みたけど否定され結局戦うことになった。」


「それでお前の下のエクスマキナを倒してきたと。」


ここまでの話で俺はあることに気がついた。


「お前はどうやってこんなにたくさんのエクスマキナを壊せたんだ?お前達の装備は全部一緒なはずだろ?だったらこの数を相手にするのはむりじゃないか?」


「可能です、私はエクスマキナのなかでも主神の次に高い権限をもつゼータの13個体の一つだから。」


「そんな奴等が存在するのか。」


頷きエクスマキナは続ける。


「ゼータの13個体にはそれぞれ下位個体の百倍ほどの通常兵装と神装と呼ばれる兵器も所持してる。第一次戦線では3機のゼータが向かった。」


第一次戦線……エクスマキナが出現し始めて最初の戦争。人間は持ち合わせる全ての兵器を使用したが結果は惨敗、そのときに出兵した軍は全滅した。この戦場となった場所は今では完全に地形が変わってしまっていた。


そのときに出ていたので3機のみ、じゃあもし彼等が13機全てを出していたら………


背筋が凍った。しかし、それはもう過去の話、事実として俺達は生きている。この程度で足が竦むほど弱くはない。


「で、お前を助けたら俺になんの徳があるんだ?」


「ここから逃げるのを助ける……今、お前逃げれなくなってる。」


 エクスマキナと取引か……まぁ、どちらにせよ死ぬから生存の可能性が高い方を選ぶしかねぇな。


「わかった、お前を治してやる。だが、あまり期待はするなよ。」


「ありがとう。」


エクスマキナに感謝されるのはどこか変な気がしてならない。


俺はそのエクスマキナに近くに座り込みソラが置いていった工具箱を開いた。


「そういや、お前らに名前ってあるのか?」


「名前は無い、機体番号はある。私の機体番号は013-S-00。」


「他に呼び方は?」


エクスマキナは不思議そうにこちらを見る。


「なぜ、そんなに呼び方にこだわる?」


「こだわるってワケじゃねぇんだが……お前とはこれから長くなることが決定してるからな、呼びやすい方がいろいろ助かる。」


なるほど……とエクスマキナは納得したようで


「では、私をサラと呼ぶ。これで良い?」


「おう、よろしくなサラ。」

とテキトウに返事をするとエクスマキナはどこか照れているようだった。




          ■■■■



 

「え、エクスマキナと取引!?」


リュウヤは驚き立ち上がった。

タクは口を開けて呆けていた。


「あぁ、正直俺も自分が正気だったかどうか疑ったよ。けど……あの場所で正気だったわけないんだわ。」


俺が笑って言うとみんなはあんぐり口を開けていた。


俺も話を聞く側だったらそういう反応になると思う。

人類の敵、見付かれば死ぬしかないと言われていた奴と取引なんて本来あり得ないことだ。


「でも、まっ俺が生きてるのが証拠だから事実なんだよな。」


そう軽く息を吐き出し、そのときの話を続けた。


         ■■■■


「………で、サラはこれからどうするつもりなんだ?」


複雑で細かい部品の組み替えをしながら俺を眺める彼女に話しかけた。


「私は主神と戦います。」


「戦えるのか?」


頷きエクスマキナは言葉を繋ぐ。

「戦える、通常のエクスマキナに付いている支配プログラムはとうの昔に破壊した。」


「勝てるのか?」


エクスマキナはなんでそう思ったといった表情でこちらを見た。

「勝てるわけない。」


「えっ?じゃあ、お前は何のために戦うんだ?」


「勝つため。なぜ、負けるために戦うの?」


ん?どういうことだ?


「お前は何を………。」


「勝てないから戦わない……あり得ない。勝つために戦う…それだけ。」


俺は啞然として、すぐに額に手を当てて笑った。


「なぜ、笑う?」


「いや~、お前さ、人間以上に人間やってるよ。」


もう、サラは効率のみを考えた機械ではないのだ、それがよくわかった。その考え方は未来を求める人間の考え方だ。


「人間以上に人間?人間以上は別のものでは?」


「いやいや、そういうことじゃない。」


不思議そうにこちらを見るエクスマキナに俺は久しぶりに警戒心を解いた。




それから、数時間後

「さすがに腹が減ったな。」

そう言ってカバンからパンと水の入ったペットボトルを出した。


「人間は飯食わないと……活動停止……死ぬ?」


「あぁ、死ぬな。」


「じゃあ、食べないという選択肢は無い……どうぞ。」


「どうも。」


どうでもいいエクスマキナの許可を得て俺は食べ始める。


パンを噛み水で流し込む、腹に入ればいいだけ美味しいも不味いもない遠征の食べ物。


「でも、やっぱり味付けが欲しいよな。帰ったら考えてみるか。」


「これ………」


食事をする俺にサラが液体の詰まった缶を差し出した。



「なんだ?スープか?そりゃあ、どう……。」


と言って缶のフタを開けて飲もうとしたとき……


「スープ……違う。重油。」


とサラからとんでもない指摘があった。


「飲めるかい!バカか、俺これ飲んだら死ぬだろ!」


「え……人は重油飲んだ程度で死ぬの?」


はいでましたエクスマキナボケ。危なく敵意なく殺されるとこだった。


「うん、死ぬね。間違いなく………でもこんなのどこにあったんだ?」


そう言われてサラが指差したのは何も無いコンクリートの床。


「そこに落ちてた。」


「取引した相手に落ちてたもの飲ませようとしてるんじゃねぇ!?」


多分、前の戦争のときに何か兵器に使われていたものだろう。


「ごめんなさい。」


サラは俯き反省しているようだった。

コイツに敵意が無いのはわかっているのでこれ以上とやかく言うつもりは無い。


「まぁ、いいや、これから気を付けてくれよ。」


「了解」




         ■■■■

あれから2日間が経過した………


「できたぞ!」


俺はそう言ってサラの装甲を優しく叩いた。

しかし、食料が本当にギリギリだった。


どうにかここまでこれた、後は………


「ありがと……じゃあ、約束通り私が他の下位のエクスマキナを引きつける、そのうちに逃げて。」


「おう…………お前も無事でな。」


「うん、シンも頑張って………ね。」


本当にコイツは………エクスマキナじゃねぇな。

シンの中でもうサラはエクスマキナでは無い……仲間だった。


「兵装【エクスエレベア】15%解放 エネルギー効率向上 損傷部問題なし エネルギー充電100% じゃあね、シン。」


サラは大きく兵器で形作られた殺戮の翼を開き、天井の大穴へ飛び去った。


………よし、行くか。


俺はすぐさまサラと逆方向………仲間が待つ方へ走り出した。































読んでくださりありがとうございます。

こんな崩壊寸前の作品ですが、これからも読んでいただけると幸栄です。

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