楽しく生きる
「お邪魔しました。」
頭を下げるメイに叔父さんはニコニコしながら「また来てね、いつでも歓迎だから。」と手を振っている。
叔父さんに背を向け歩き出す。
空は黒色、ビルは白色
……俺が見ていた世界の全てが白黒に戻ってしまった。
歩く足を止めたい、前に見た白黒の世界と今の世界、違いは黒の濃さ、今の黒は濃く何もかも呑み込もうとしていた。
「創馬君?どうしたの?」
メイが声を心配そうに声をかけてきた。
メイを見た、やはりと思う、彼女だけは色がある。
白でも黒でも無いハッキリとした輝きを持ちその色は世界に存在していた。
その色すら黒に呑み込まれてしまうかもしれない恐怖がこみ上げてくる。
そして、彼は決意する。
「どうしたの?」
こっちを向いたまま動かない創馬に声をかけます。反応は無し……
私は彼の体を揺らします。
「おーい!」
やっと気がついたようでハッとした彼と目が合います。
自分が振り向かせたクセに鼓動が早まりドキドキします。
……私はバカみたいに彼のことが好きですね…
「あぁ、すまん、ちょっと考えごとしてた。」
考えごとが気になりますがここでツッコんでしまうとしつこいと思われるかもしれない。
「へぇ~、そうなんだ、どんなこと考えてたの?」
……私のバカ……
聴きたいことがあると聴いてしまうんです。
無言になる創馬、不安になる私。
まだ、一分も経ってないのに長く感じてしまう。
……うぅ、しつこいと思われたかな……
「そ、創馬君……?」
「あぁ、今日の昼飯どうするかを考えてたんだ。」
なんだ、そんなことか…
「はぁ……」
そして、また、私達は歩き始めます。
何でこんな日常会話で私はこんなに緊張しているんでしょうか……
「なにか、食べたいものあるか?」
「わ、私はハンバーグかな」
私の返答に彼は「ハンバーグか…」と悩んでいます。
たぶん彼は昼からハンバーグなど食べないと思います、だけど、急に食べたいもの聴かれて大好物しか頭に浮かびませんでした。
もうちょっと女の子っぽいものがよかったでしょうか、昼からハンバーグなど女子としてはありえないことなのでは!?
そういえば、この間、友達がパンケーキを食べに行ったとかなんとか……
思考が混乱しています。
グルグルです。
「あ、あの……」
「じゃあ、食べに行くか。」
訂正する前に昼ご飯が決定しました。
数十分後………
「はんはーく、おいひいですへ。」
私は大きな口でハンバーグを頬張っております。
美味しいんですもんしょうがありません。
「食ってから話せ。」
彼は注文パスタを食べ終え食後のコーヒーを飲んでいます。
……食べてるもの逆ではないでしょうか………
なんか、今日の創馬は妙に優しいような………
「ねぇねぇ、昨日なにかあったの?」
「なんでだ?」
「いや、だって、様子おかしいから……」
いつもとは何か違うような。
「いや、何も無いぞ。」
「本当に?」
私は彼の顔を見つめます、そうすると彼は顔を赤らめて気恥ずかしそうにします。そんな小さなことが私にとっては幸せです。
少し笑い、今日のこれからを話します、なんたって日曜日ですから!一日中遊べるんですよ!自由ですよ!
「これから、どうするの?」
「本当に俺でいいのか?」
「どうして?」
「どうしてって、女友達とかの方が楽じゃないのかと思ってな。」
確かにそっちの方が楽ですよ、でも幸せ度が違います!全然違います!
段違いです!
「私は創馬君の方がいいんだよ!」
「そ、そうか……」
勢いよく言います。言っておきます、これは紛れもない本心なので。
「どっか、行きたいとこあるのか?」
アイスコーヒーを片手に彼は言います。
「ほうはへ~ほうひほうは」
「……すまん。」
急に話を振られたものですから口にハンバーグが入っていました。
それを飲み込み
「買い物に行きませんか?」
提案してみます、そうすると彼は頷きながら「そうするか。」と賛成してくれました。そして、私は急ぎ残りのハンバーグを口に詰め込み席を立ちます。
「お前は小学生かよ……」
と女子としては結構キツメの指摘をいただいたので座り直し飲み込んでから立ちあがりました。
しょうがないじゃないですか!
早く行きたいんですもん!
「買い物っていったって何を買うんだ?」
「ん……、本とか食器とか……夕飯とか?」
「すごいなお前、さっきあれだけ食べといてもう夕飯の話をするか。」
「昼ご飯と夕ご飯は別腹ですよ。」
「………その言葉使い方間違ってんぞ。」
う~ん、でもあまり買いたいものって無いんですよね。買い物に創馬と来たかっただけですし、目的は概ね達成できています。
鼻歌を歌いながら歩きます。
楽しくてしょうがありません。
「とりあえず、先に食器を買いに行こう!」
………
楽しい時間はあっという間で、すぐに辺りは暗くなってしまう、それでも私は今がいつまでも続くように祈ります。
いつまでも続くようにと、それでもやはり終わりは来るんです。
……買い物が終わった帰り道
「おい、買いすぎじゃないか?」
彼は両手に荷物を持ち不満げに言います。
「いいんだよ、全部必要なんだから。」
「そうか?」
彼は疑いの眼差しで両手に持った荷物を見ます。
そうです、嘘ですとも。
彼との買い物が楽しくてついいらないものまで買ってしまいました。
節約せねば!
まぁ、今日ぐらい良いでしょう!
夕暮れの中、隣り合わせに揺らめく二つの影。
楽しくも寂しい帰り道、今日が名残惜しいですが、私には明日も彼がいるので大丈夫です。
そして、少女は明日を望む。
連続投稿としてはラストです。
これからは2週間1話ずつ投稿です。
変わらず誤字脱字すみません、ご報告お願いします。
読んでくださった方に最大級の感謝を




