創り方
「明日を創る?」
「うん、創る。」高校で出会ったミトという少女、彼女は力を願い、そして、手に入れていた。
「ヒーローになりたい」というミトの気持ち、そんな真っ直ぐなミトに惹かれていく創馬。
他人を救うことの意味、わかりそうでわからないこと。
二人はそれぞれの意志で自らの在り方を探す。
惑いを隠せずにいる俺に工作を作る小学生のような返事をした。
当たり前だと無意識のうちに思っていたことを否定し、新しい事実と書き換えるのは難しい、だが………
「その言葉を全て受け入れるのは難しいけど、それでも、メイがそう言うなら信じる。」
「ふぇ!?」
まるで予想してなかったのか、彼女は変な声を出していた。
「てか、信用するしかないだろ。」
まずもって、このことにメイがわざわざ嘘つく理由が無い。
「なんで、信用するの?『明日を創る』なんて言われたら、普通の人なら私のこと頭がおかしいヤツだと思うはずだよ。」
だから、コイツはいつも一人でいるのか……確かにメイは人に隠すことなどできそうにない。
なぜ、コイツが慌てているのかわからないが……
「嘘なのか?」
「いや、本当だけど。」
「じゃあ、疑う必要ないだろ……もしかして、疑ってほしいと思ってるのか?」
そうだとしたら、結構ヤバい奴だ。
「いや、そんなことないけど……」
多分、メイはこれまでこのことを信用されたことがないのだろう。
だから、すぐに信じられて驚きを隠せないでいる。
「だって、どうやって創っているのかみてもないのに信じるなんて普通は言わない。」
「ちょっと待て、創るのって見れるのか?」
「うん、見れるよ、だから、創馬君に見てほしくて泊まってほしいって言ってるんだよ。」
なるほど、それであの提案か……
「わかった、それでいつ創るんだ?」
時計の針はそろそろ11時を回る。
「明日を創れる時間は決まってるんだよ。11時55分から0時00分までの五分間しか創れない。」
「明日は五分で創れるのか?」
「創れるよ。」
笑顔で「五分間クッキング~。」と言うメイ、コイツが創った明日で良く俺達は生きていたな、そう思う。
「じゃあ、それまでなにしよっか?」
まだ11時を回り始めたばかりの針、確かに暇だが、ゆっくり待っていればいいと思ったが、「そんなの面白くないじゃん。」と膨れっ面をされた。
「じゃあ、どうすんだよ。」
「う~ん、ゲームとか?」
そう言って取り出したのは俺も子供の頃にやりこんだ懐かしい対戦アクションゲームだった。
「暇つぶしにはちょうどいいでしょ。」
「あぁ、そうだな、じゃあ始めるか。」
そう言ってゲーム機本体の電源を付けてゲームをスタートさせると、メイが待ったをかけた。
「ただやるだけじゃ、つまんないよ。なにか賭けなきゃ。」
賭けるって、お前はどこのギャンブラーだよ、と当たり前のツッコミが浮かんだがあまり面白くないので言わなかった。
「じゃあ、負けた方が好きな人を言うで」
俺は負ける気がしなかった、こういう賭け事は大抵言いだしっぺが負けると決まっている。
そして、どちらかというとメイ自身が不利な賭けをもってきている。
「私は強いから負けないよ。」
ゲームのコントローラーを握りしめ前かがみになるメイは完全に勝負に熱くなっていた。
俺も仕方なくコントローラーを握る。メイが自分が言ったことに後悔する姿が面白そうなので少し本気を出すことにする、握る手に力が入る。
「なんで、勝てないの~!?」
一回勝負だったのだが結局五回勝負になっていた。
その原因は全てメイである、一回負けたあと三回勝負になり二回負けたあと五回勝負にされた。
結局俺の圧勝で終わった。
「あ~あ、負けちゃった。あっ、もうそろそろ55分だよ。」
「そうだな、で、さっきの罰ゲー……」
「あっ!準備しなきゃなぁ~」
コイツさっきの話を無しにしようとしてやがる。まぁ、いいか、とりあえず。
「で、どうやって創るんだ…」
55分を針が越えたとき、メイは電気を消した、そうすると無数の白く輝く星のようなものが線を描きながらメイの元へ集まった。それは壁を抜けて外から集まってるようだった。
「これは?」
「人が明日を望む気持ちだよ。」
明日を望む気持ち……それが形をもったもの。よく見るとパズルのピースの形をしていることに気づいた。
「パズルか…」
「正解、鋭いねぇ~。そう、私がするのはこのパズルを組み立てること。」
「組み立てるって言ったって、相当細かいぞこれ。」
今だに集まり終わる気配がないピース、時間は刻々と迫っていた、焦りを感じる。
「大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫だよ、間に合うから。」
「明日が創り終えられなかったらどうなる。」
「今日がもう一度くるだけ。」
今日がもう一度くる……考えてみたがそれだけはごめんだ。
「じゃあ、創るよ。」
集まり終わったピースが空中で輝きながら浮いている。
『神秘的』その言葉で表すにはことがあまる。
メイは手を合わせ祈る、そうするとピースは勝手に動き出し高速で球体の形のパズルへと変化する。
三十秒も経たないうちに球体型のパズルは完成した。しかし、よく見ると1ピース足りなかった。
「これ、1つ足りないぞ?」
「あぁ、それは……」
ポケットから欠けた1ピースを取り出した。
「これは私が創ったピース、明日がこなかったはずのあの子供の明日。」
それをはめ込むと球体のパズルは空中でくるくると回転し眩い光を放ちどこかへ消えていった。
俺が視線をおくるとメイは静かに頷いた。
「これで明日の完成だよ。」
世界は彼女の手のひらの中にあった。
誰にも信用されずとも明日を創る彼女の姿は俺には最早ヒーローにしか見えなかった……
そして、夜が明けた。
連続での投稿です。
誤字脱字はすみません、ご報告お願いします。
この作品を読んでくださった方に最大級の感謝を




