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造物主は止まらないっ

 俺、鈴木コータは、何も見えない真っ白な空間を突き進んでいく。


 エルザが背後で叫んでいたが、聞こえないフリをする。


「ちょっと待ってよ!! どこ行くの!!」


 もう嫌だ。こんな所さっさと出てってやる。スライムの方が可愛げがある! 何がこの世界の造物主デミウルゴスだ! まだ無機物の方が役に立つ。


 ここは創造の部屋。果てしなく真っ白な世界が広がっている。


 後にいるのは世界の創造主(自称)のエルザ=リララ=フォルシェン。顔や容姿は恐ろしく可愛い。細い糸のような金髪のツーサイドアップで、ゴシックロリータで身を固めている。まるでアホみたいなコスプレをしている。しかし、それが似合っている。イラッとくる。


 それに、中身が駄目だ。引きこもりすぎて腐っている。人としておかしい。俺の世界もこんな奴が創っているのだろうかと思うとゾッとする


「着いてくんな! このまま行けるとこまで行って、野垂れ死んでやる!」

「ちょっと!!? あんた何言ってんの? せっかく私の手伝いをさせてあげてるって言うのに?」

「手伝いだ-!? 別に俺は願ってもねえよ!! 早く俺を元の世界に戻しやがれー!」

「嫌よ!! 本当に暇で暇でしょうがないんだから、この空間、何もないのよ? ずーっと山つくったり、魔物つくったり! 地味な作業ばっかなんだもん」


 ずーっとこんな事を言っている。それが何日も何日も何日も何日も何日も続いて、俺は頭が割れそうだった。


 だったら、俺を帰さなくっていいのか。

 ここに閉じ込められて、どんだけ経ったと思っている。

 いちいち腹立つのは、あの世界の創造主とやらが、俺を帰せるのに帰そうとしないことだ。


 さっさと俺を帰せよ!

 パソコンを触らせろ! 気が狂いそうだ! 


「それは貴方が私からのメールをクリックしたからでしょう?」

「うるせえー! ああああああ」

「ほら、泣かないで! お待たせしました。やっと完成したのよ! コータを招待したのに、まだ出来てないなんて、私っておっちょこちょいね」

「なーにがおっちょこちょいだ! そのせいでここに三ヶ月もいるんだぞ! 三ヶ月! 最初はちょっとお茶を飲むだけって言いやがって。悪質なセールスマンの方がまだ優しいわ!!」


 ――完成した? 何が? 


 俺は全く話しを聞いていない。エルザに突っ込んだ後に、嫌なことを聞いてしまったと気付いてしまう。


「何を言っている?」

「へへへ、驚かせようと思ってずっと隠してたの!! ねぇ、見てよ、これ!!」


 世界の造物主デミウルゴス様はごそごそと、赤いボタンがついた謎の箱を取り出した。クイズの早押しで使うような禍々しい赤だった。俺には独裁スイッチにしか見えない。


 ずっと隠していた!? 驚かせようと!? へへへ!?


 嫌な予感がする。ここに来てから。この予感が外れたためしがない。


「――おい、お前何している!?」

「何って? ゲームスタートよ!! まだチェックはしてないけど、大丈夫でしょ!!」

「やめろおおーー!!」


 ポチッと押して、真っ白な世界から放り出された。


 それが俺と駄目な造物主デミウルゴスの地獄のような旅の始まりだった。


デミデミリスト①スイッチ君


エルザ「私が数百年かけて作ったゲームを開始するスイッチです!」

コータ「全ての元凶」


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