その名はヴリル 二話
体力測定の続きです。
楽しんで頂ければ幸いです。
八月一日、午後三時。
屋外の競技場で残りの体力測定を行う為に集められた凰樹輝、荒城佳津美、桃山那絵海、智草千寿の四人。
そこには百メートル走用のコースと、走り幅跳びといった陸上競技の他に、パンチングマシーンの様な物と、シューティングターゲットの様な物が用意されていた。
「測定を始める前に少しだけ説明をさせて貰う。そこの椅子に腰を掛けて聞いてくれ」
「わかりました」
四人は素直に椅子に座り、ホワイトボードを持ち出した坂城の長い説明を覚悟した。
「まず、先ほど測定した氣だが、嘗て超能力者や魔法使い、預言者などと呼ばれていた歴史上の人物の多くはこの力を持っていたと予測されている。超常現象と呼ばれている物の幾つかは実際にリングを介したシールドなどの機能で説明がつくしな」
「質問ですが、シールド機能は誰にでも使えないんでしょうか?」
「全体の数から考えればAGEでもシールドを使える者は極少数だな。桃山君の魔弾もこれの応用で、小さな光の弾として生み出したシールドを目標に向かって飛ばす事が出来る筈だ。他にも、シールドの応用で物を少しだけ押し出す念動力といった力も確認されている。他にも氣によって様々な現象が起こる」
凰樹程ではないが、物理的に干渉出来るシールドをほんの少しだけ発動できる者も存在するが、動かせる距離もごくわずかで数ミリから一センチ程だ。
この時点でも凰樹が物理的に干渉するシールドを張れることを知る者は少ない、そしてそれを魔弾として飛ばして武器とする事を知る者はさらに少なかった。
「と、なると軽い予知的な力も氣の影響ですか?」
「その通り!! 預言者と呼ばれた者は無意識下、特に寝ている時や瞑想をしている最中に氣の影響を脳に受けやすく、そこでほんの少し先の未来や、氣の量やそれが影響した脳の部位によってはとてつもなく先の未来の事を知る事が出来たと予測される。霧養君の残像も氣で作り出したシールドの一種だが、幽霊などと呼ばれる物の中にはこれを誤認した物もあると予測できる。そして、氣の力はそれだけでは無く身体能力を高める事にも利用できる」
ホワイトボードに最初に人間の脳、睡眠、瞑想、夢、予知などと書き、続いて立ったままの人の絵をかいて、そこを丸で囲って氣→両手を上げた人の絵を隣に書き、そこにパワーUPと大きく書き足した。
更に【走力UP?】、【打撃力UP?】、【耐久力UP?】、などと次々と書き足し、最終的に【無限大?】と書いて「何がどこまで能力が上がるかは、今後の研究次第だな」と締めくくった。
「俺が速く走れたりするのも?」
「ああ、典型的な例だな。火事場の馬鹿力などと呼ばれている現象も、緊急時に無意識的に全身に氣を纏い、通常ではありえない力を発揮したと考えられている。だから今回の実験はリングを外して測定する。リングには生命力だけでなく、氣でもシールドを張る事が出来る為、外した方が正確な数値になるからだ」
凰樹達四人はリングに複雑な操作を行い、一時的に機能を停止させて用意されていた個人名の書かれた箱に収めた。
リングは完全防水ではあるが入浴時に外す者もおり、一応取り外しが出来る様に出来てはいるのだが特殊な操作が必要で、それを面倒がってそのまま入浴する者も多い。
◇◇◇
「では、百メートル走から始めるか。まずは準備運動を念入りに行い、それからだが……」
準備運度を終え、凰樹を除く女性三人がスタートラインに立ち、合図と共に一斉に駆け出した。
一番最初にゴールテープを切った荒城が十六秒一、智草が十七秒十六、桃山は少し遅れて二十一秒六という記録となり、荒城が平均より少し早いが、それでも普通の一般人に比べて早すぎるという事も無かった。
「まあ、こんな物かの。生命力を利用できるリングがあれば少しは変わったんだろうが……」
「はぁ、はぁ……、は…走らせといて……、そ…その言い草……」
息を切らせならが、桃山が坂城に文句を言っていたが、坂城は初めから取り合うつもりも無く、ごく普通の記録を面白くも無さげに見つめていた。
「桃山さんはもう歳ですから、あまり無理をさせない方が……」
「ま・だ・っ、二十六よ!!」
今年二十二歳の智草は先に息を整えて、桃山をからかったりしていた。
二人は仲が悪い訳では無く、以前中型GEや大型GEが出現した時に共闘した事もあり、その時からこんな感じでじゃれ合っていたりもしている。
「次は輝か、測定方法は変えたし、スピードガンも用意した」
ゴールテープは廃止し、代わりに赤外線の測定器がなどが幾つも設置された。
コース延長の直線上にある物は全て取り払われ、いちおう壁の前に衝撃吸収用のクッションなどが無数に積み重ねられている。
「それ、百メートル走に必要なんですか?」
「今に分かる。よし、はじめてくれ」
凰樹がスタートラインに立ち、W・T・Fに攻撃を仕掛けた時の様に全身に氣を纏い、精神を集中して合図を待った。
「位置について……よーい、スタート!!」
合図の他にライト方式のスターターも用意されていた、それを見てスタートを切った凰樹は僅か一秒後にゴールを通り抜け、目の前に特殊なシールドを展開して強引に止まった。
もしそのまま自然に止まるのを待っていれば、おそらく衝撃吸収用のクッションが用意されていた壁に激突していただろう。
「一秒ジャスト、およそ時速三百六十キロか……」
「リングが無くても、変わりませんのね」
表示された〇一.〇〇という数字を見て、坂城と荒城は特に驚きもせずにそう口にしていた。
「いや、二人とも反応おかしいから。世界新なんて数字じゃないでしょ?」
「そう…ですね。あの人は本当に人間なんですか?」
走り出す前から凰樹は全身が輝いて見える位に氣を身に纏っていた。
W・T・Fとの戦闘で更に氣を身に纏う経験を無意識に積んでいた為に、現在の凰樹はほんの少し氣を意識するだけで以前の数倍の速度で走れるようになっている。
また、風などの摩擦や空気中の物資との接触などでダメージを受けないように、氣を使って無意識に全身を覆うシールドを展開しており、あのまま壁に激突していても凰樹自身は無傷だっただろう。
「随分早く走れるようになってたんだな。これなら特殊スキル持ちのGEとの戦いが楽になりそうだ」
「一言目がそれですか……」
「まあ、輝さんですから」
あくまでも基準が対GE戦な凰樹は、世界新記録などに興味は無かった。
この後、走り幅跳びは百メートル走の基準を考慮して着地用の砂場が狭いという理由で中止され、打撃力測定と、特殊トイガンを使用したシューティングターゲットのみ行われる事になった。
「輝、ひとつ質問があるんだが、お前、リング無しでもシールドを張れるか?」
「はい、リングを使う方が楽ですが、こんな感じで……」
凰樹は目の前に円形の小さなシールドを出して見せた。
坂城はそのシールドを興味深そうに見つめていた。
「リングに内蔵されている生命力用特殊回路無しでもシールドまで使えるとは……、ひょっとすると……」
「……んっ」
張られたシールドに興味深そうな視線を送る坂城に何か言いたげな雰囲気をしていた荒城の口を、桃山と智草が先手を打ち両手でふさいでいた。
「いずれにせよ、この後の打撃力測定とシューティングターゲットで明らかになるだろう」
「いつでも実験可能です」
待機していたスタッフが、両方の測定をいつでも始められると知らせに来た。
まあ、この期に及んで準備が出来ていませんなどといえば、ここから無事に出られる保証が無いわけだが……。
◇◇◇
「それでは、いきま~す!! くったばれ○○!!」
打撃力測定のターゲットを殴りつける時に桃山が叫んでいた言葉は明らかに『くたばれ坂城』と聞こえた気がするが、誰もそこには突っ込まなかった。
パスっという音が聞こえ、打撃力五十四という数値が表示された。
「五十四と……」
坂城は面白くも無さげな表情で、表示された数値を呟いていた。
「何か他にもう一言位無いの?」
「あるぞ、魔弾を使う時の要領で、拳に力を乗せてもう一度挑戦して貰えるか?」
「魔弾? ああ、さっき言ってた身体強化の話ね。分かったわ、……それっ!!」
今度は五十二という数値が表示され、氣を身に纏う事に慣れていなければ、魔弾使いでも肉体強化が出来ないという結果が出ていた。
「すみません……」
「いや、これも貴重なデータだ。桃山君ですらこれなら、一般AGEが何の変化も無かった事が異常ではないと証明される」
「嫌な……証明のされ方ね」
続いて智草が打撃力測定ターゲットの前に立ち、気合の入った声を発しながらターゲットを拳で撃ち抜いた。
「えいっ!!」
「ほう、助走も無しで百二十か……」
「高いんですか?」
「男性並みだな。まあ、刀で戦うのと拳で殴るのは違うからこんな物だろう」
智草はその一回で終了し、続いて荒城が打撃力測定ターゲットの前に移動した。
「っ!!」
以前男勝りな格好をしていた時の事を思い出し、ターゲットにあの時頭にきた男たちの顔を思い浮かべ、小さな声と共に思いっ切り打ち抜いてターゲットが派手に倒れた時の【ドゴッ】っという音を響かせていた。
「百八十っと……」
「あ…輝さん、これは何かの間違いですの、決して私はこのような……」
低い記録が出るよりはいいと思ったが、荒城自身もまさかここまで高い数値が出るとは思ってもいなかった。
しかし、坂城は嬉しそうな表情で荒城の背中を上機嫌にバンバンと叩いていた。
「少しではあるが、氣が身体強化を起こしているようだな。ほんの少しでこの威力、データとしては非常に貴重だ」
「今のでですの?」
「ああ、身体にごく微量ではあるが氣が纏われている事も確認された。このデータが必要だったんだ」
坂城は周りにいたスタッフに命じて先程荒城がターゲットに立った後からの映像などを全てデータとして残し、別ファイルへと移動させていた。
「さて、最後は輝だが……。まあよいか、壊してもいいから思いっ切り頼むぞ。おい、観測用カメラだけ残して全員退避しろ、測定器の後ろにいる奴も全員だ!!」
坂城の指示通り、打撃力測定装置の周りには無数のカメラだけ残され、スタッフは全員数メートル離れた場所まで避難させられていた。
万が一のことを考え、機械の後ろにいた者や、整備をしていた者も全員遠ざけれられ、壁までの間に何もない様に確認されている。
「……分かりました、思いっ切りやります」
凰樹は打撃力測定ターゲットとの距離を、軽く測り軽く身体を捻って拳に力を集中させた。
明らかに氣と分かる光が拳全体に集まり、拳自体が輝いていたが全員その様子を声も出さずに見守っていた。
「破ぁっ!!」
僅かに捻りながら打撃力測定ターゲットに叩きつけられた拳から光の粒子を纏った螺旋の衝撃波が放たれ、打撃力測定ターゲットを中心とした直径一メートル程のエリアが壁際までの距離で綺麗に抉り取られ、剥き出しになったコードは時折バチバチと音をたてて漏電していた。
奇跡的に次に実験を予定していたシューティングターゲットには破損が無く、周りのスタッフにも、いつの間にか距離を取っていた坂城達にも怪我などの被害は無かった。
「まあ、こうなる予感はしてましたよね」
「拳が光ってた時点で止めるべきだったんじゃない?」
「いや、まあ少し予想外だが、氣による走力の上昇を考えればこの位は起こるだろうと覚悟はしていた。数値は測定不能だが……」
放たれた光の粒子を纏った破壊の螺旋。
光の粒子は氣そのもので、特殊小太刀をハーフトリガー状態で使っていた時に発生していた物と同じだった。
あの映像を見ていた坂城が発見した物がまさにこれであり、その威力を調べる為にはこの位の被害は致し方ないと考えていた。
本来は剣や槍に神力を纏わせ、捻りながら神力と共に光の螺旋を放つ技で、神穿波と呼ばれている技。
無意識ではあったが、凰樹は拳でそれと同様の技を放っていた。
「輝、拳や手に違和感はないか?」
「はい、傷ひとつありません」
「既に危険が迫った時に無意識下でシールドを展開する域まで達していたか。あれ程の力を使えば普通、拳はおろか身体の方にも甚大な影響が出る。不意打ちで銃弾を食らっても無傷だろうな……」
別口で用意していたカメラには、全身に氣の薄い膜の様な物が確認され、それが衝撃による怪我などを防いでいる事がわかる。
この実験では物理的手段で凰樹を無効化する事が不可能という事実が突き止められていた。
「以前の輝さんはここまで異常じゃありませんの。これには何か原因が?」
「色々考えられるが、今日のデータと過去のデータを照合してからの結論だな」
「好き放題言われている気がするな……」
化け物扱いされていないだけで感謝して欲しい所だが、智草と桃山の二人は既に視線を逸らしている……。
狙っていた物を観測できた坂城は満足そうだったが、打撃力測定ターゲットを担当していたスタッフは全員頭を抱えていた。
◇◇◇
「さて、最後になるが、シューティングターゲットを行う。用意してあった特殊トイガンで十メートルほど先のターゲットを撃つだけの簡単な物だ」
「特殊トイガンは各自の物を?」
「いや、今回はデータ取りの為に同じ物を使う。そこのM4A1だ」
凰樹に渡したのと同じ新型ブラックボックス内蔵型の特殊トイガンが其処には用意されていた。
正確には特殊小太刀も含めて何かあった時の為の予備を幾つも用意してあった。
「使い慣れてない銃ですと……あれ、これ中々使いやすいです」
「小型で一番使いやすいんじゃないのか?」
「好き嫌いもありますし、人それぞれですよ」
今までと同じ様に、最初にシューティングターゲットを行ったのは桃山で、チャージボタン無しで5発、チャージボタンを1秒程押してセミモードで一発の射撃を行った。
チャージボタンを押していたにも拘らず、内蔵されていた特殊BB弾は殆ど発光せず、十メートル先のターゲットに当たっても、普通に跳ね返るだけだ。
「一秒もチャージして、あれなのか?」
「まあ、普通だとあんな物だろう。少しは期待したんだがな……」
坂城は呟きながら桃山を下がらせ、続いて智草が同じ様にシューティングターゲットの前に立った。
普段智草は、接近戦に移行して特殊大太刀使う前は凰樹と同じ様にM4A1を使って戦っている。
小型で取り回しが効く銃といえばそこまで選択肢が無く、特殊マチェット系などを使う者であれば攻撃力なども考えもM4A1を使うのが一番だった。
「チャージ機能はあまり使っていませんが……。あれ? こんなに違う物でしょうか?」
チャージ後に撃ち出された弾は薄らと輝き、ターゲットに命中後に少しだけ爆発した。
粉々になった特殊弾の欠片を見て、凰樹だけはそれがなんだったのかに気が付いた。
「あの感じ、使われているのは高純度の特殊弾だ。まさか……」
「一発五万の最高純度弾だな。MAXを調べなければ意味は無いだろう?」
坂城は特殊トイガンのマガジンに一発五万円する最高純度の特殊BB弾を装填していた。
六十八発入るマガジンにフル装填してあり、これだけで三百四十万ほどの値段になる。
「やはり……、うちの部隊でもそろそろこの弾が欲しいんですが」
「ふむ、輝の部隊なら問題無い、むしろ使わせない方に問題があるな。俺の方から対GE民間防衛組織へ手配しておこう。輝の部隊の発注分は防衛軍の方で都合を付ける」
「ありがとうございます」
「アンタら金銭感覚狂ってるからね!!」
「潤沢な予算がある部隊って凄いですね……」
一発五万円の最高純度弾を普段使いしようとする坂城と凰樹の会話を聞き、桃山と智草に好き勝手な事を言われていた。
続いてシューティングターゲットを行ったのは荒城で、チャージ前から智草以上の威力を発揮しており桃山達を驚かせている。
「やはり威力が段違いだな。では、チャージ機能を試してくれ」
「分かりました……、それっ!!」
特殊弾の融解は始まっていなかったが、最高純度の特殊弾は完全に光に包まれており、ターゲット着弾と同時に派手に爆発を起こしてターゲットを大きく変形させていた。
「最高純度の特殊弾だとやはり威力が違うな」
「うむ、送られてきたデータよりおおよそだが十倍近い威力があるな。あのターゲットもかなり丈夫に作っていたんだが……」
所々破損し、既に原形を保っていないターゲット。
もしそれが人であれば、大怪我は撒逃れないだろう。
「…………いけるか? いやギリギリの可能性も……」
荒城の結果を踏まえ、シューティングターゲットを新しいものに取り換えた坂城は、凰樹とターゲットを何度か見比べながら、そんな言葉を漏らしていた。
「なんかさ、結果が見えてるわよね」
「それを今、頭の中で計算しているんだと思いますよ」
坂城もシューティングターゲットが破壊されるのは既に想定の範囲内だが、もし仮にチャージさせた場合、どの辺りまで破壊されるかを考えていた。
「うむ。とりあえずチャージ無しなら大丈夫だろう。よし、みんな反対側の壁まで下がってくれ」
「大丈夫の意味とは……」
荒城たちだけでなく、坂城まで反対側の壁まで下がり、遠隔操作のカメラだけが凰樹の行動を見つめていた。
「チャージ機能はおそらく試せないだろうから、そのまま一発だけ撃ってくれ」
「分かりました……」
凰樹が身に纏う氣だけで十分にブラックボックスを作動させ、銃口から氣と一発五万円の最高純度の特殊弾が融合した光の弾が撃ち出され、ターゲットに到達と同時に直径三メートル程の大きな破壊球を生み出し、その内部にある物を完全に消滅させた。
チャージ機能無しでコレであるから、一発五万円の最高純度の特殊弾を使用してチャージ機能を使えばどうなるか、そこにる全員が理解していた。
「特殊トイガンが完全に兵器になっておるな。友軍を巻き込みかねん威力だ」
「今までは特殊BB弾が当たっても痛い程度で済んでいましたが、今度は死活問題ですわね」
「射線上に人がいない事位は確認した方がよさそうだな。まあ、元々銃とはそういうものだが……」
実弾であれば当たり前の知識だが、対GE戦闘に慣れた者であれば、割と射線上に人が居る場合でも平気で引き金を引く。
対GE用の装備は丈夫な為に当てて怪我をさせた方がGEに襲われるよりマシだからだが、今度からランカーズのメンバーは全員、フレンドリーファイヤーに気を付けて作戦を考える必要があった。
「チャージ機能は……」
「大型GEでも一撃だろうて。もっともチャージ機能無しでも大型GE程度は一撃の可能性は高いがな。ここで測定するのは無理だ」
「程度って……」
大型GEはAGEだけでなく防衛軍でも割と驚異の対象であるが、装備の悪いAGEであれば、中型GEですらいまだに驚異の対象である場合も多い。
それを程度と表現する坂城は異常だが、おそらく小型GEでも処理するかの様にあっさりと大型GEを倒す凰樹達ランカーズのメンバーの姿が、桃山たちには容易に想像できた。
「旧世代のトップランカーは、そろそろ引退かしら」
「新しい時代が来てるのは間違いないですね」
旧世代のトップランカーの桃山と智草は、聞こえてくる新しい時代の足音を感じ、寂しそうにそんな事を呟いていた。
ランカーズだけでなく、凰樹の環状石破壊後からひと月以上特殊マチェット系を諦めずに使い続けていた一部のAGE達は、無意識下にではあるが少しずつ氣の扱いが出来るようになっている。
勿論、ランカーズのメンバー達と比べればささやかなレベルではあるが、確かに人類を此処まで追い詰めた環状石やGEに対する反撃の狼煙は昇りはじめていた……。
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