勇者の称号
この話で毎日更新はひとまず終わります。
楽しんで頂ければ幸いです。
六月二十九日、水曜日。
午前十時。
凰樹が果たした【学生AGEによる環状石の破壊と、支配地区の解放】と言う偉業で、様々な場所で働く人たちが突然湧いて出た膨大な仕事に困惑していた。
まず最優先されたのが守備隊や防衛軍による生存者の保護と探索。
これは石化した者が殆ど十年以内であった為、ビーコンの役目も果たす左手のリングの反応を頼りに様々な場所に車を走らせ、また車での侵入が困難な場合はヘリコプターまで投入し、エリア内を徹底的に探索し続けていた。
次に病院などの医療機関。
GEに襲われて石に変えられてはいなかったものの、生命力を極限まで失って昏睡状態にあった患者が全員突然生命力を完全回復させて意識を取り戻した。
対GE民間防衛組織などからの連絡で、環状石が破壊されたという原因が分かった為に大きな混乱には至らなかったが、病院によっては入院している患者が突然半分近く退院する羽目となりその対応には追われていた。
そして、役場などでは石化から元に戻った人たちの住宅問題や雇用問題、それに生活する為の当面の資金提供に家に戻れない人の為の仮設住宅の手配。
石化していた時間に起こった大きな事件や法律などの説明、仕事場に復帰できる者への復職手続きと学校に通うべき年齢の者への復学手続きなどは、石化が解除された他の地区で行われていた再生手続きのマニュアルの元に業務が行われていた。
全ての学校は翌週の月曜日まで休校とされ、凰樹達も部室横の駐車場に車を止めた後、祝勝会などは後日としてそれぞれの家へ戻り戦いの疲れを癒していた。
◇◇◇
「お父さん!!」
「……紫……、紫なのか? こんなに大きくなって、若い時の母さんそっくりだな」
「お母さんは、私が小さい時に亡くなっちゃったけど、私にはお父さんがいたから……、でも十年前、仕事場で……」
竹中の母親は元々体が弱く、患っていた病が悪化して紫が三歳の時に家族に見守られながら息を引き取った。
その後、父親は再婚する事も無く男手ひとつで愛娘である紫を育ててきた。
竹中の父親は水力発電のダムなどの管理をしていたのだが、上流にある川の状態を三人の同僚と確認に向かった時に運悪くGEに襲われて石の像へと変えられた。
近くにあった拠点晶が破壊された為に石化した状態で救出はされたのだが、その状態のまま十年近く保管される事となった。
「仕事にも復帰できそうだし、あの場所も安全区域になったから二度と石になんて変えられないさ」
「うん……、私達も頑張ったんだよ」
竹中だけでは無く微笑ましい親子の対面や親友、恋人との再会が様々な場所で行われ、奇跡ともいえる凰樹の偉業を人々は褒め称えていた。
◇◇◇
その日の内に隣接する安全区域から様々な物資が届けられ、GE撃退要員を残して可能な限りの守備隊や防衛軍の兵士が送り込まれて二日後にはリングの反応をすべて回収し終わり、大掛かりな捜索は終った。
復学問題や住宅問題などは再生マニュアル通りに進められ、環状石の破壊後の混乱は収まったかに見えた。
しかし、凰樹が環状石を破壊した為に、支配エリアにあった無数の拠点晶が力を失って砕け散っており、そこに残された高純度の魔滅晶を狙い多くの学生AGEが学校が休みなのを良い事に部隊総出で大規模な探索を行っていた。
環状石破壊により自壊した小型GEが残した低純度の魔滅晶などは無数に転がっており、今まで運営状態が悪かった部隊などはこの機会に掻き集められるだけの魔滅晶を掻き集め、大量のポイントを入手していた。
◇◇◇
七月一日、金曜日。
環状石の破壊に成功したその日、押し寄せるマスコミの取材陣などから凰樹を匿う為、凰樹達は対GE民間防衛組織に学生寮の自室とは別の高級ホテルに部屋を用意され、そこを拠点として対GE民間防衛組織からの要望書や防衛軍の兵器開発部門からの要請に応えていた。
リングに表示されている生命力は百のままだが専門医の診察で要休養と診断され、対GE民間防衛組織が用意したホテルの一室で半軟禁状態の生活をしていた。
連れて来られた当初は色々と不満を口にしていたが、用意されたルームサービスのメニューの中にステーキの四文字があった為にとりあえず文句を言うのはやめた。
凰樹は夕食の時にそれを頼み、成型肉や合成肉では無い本物のステーキを久しぶりに口にした。
「まさかこのご時世に本物のステーキが食える日が来るなんて………」
あまり食事にはこだわりを持たない凰樹だったが、肉汁の滴る分厚いステーキを食べて珍しくテンションを上げていた。
今の凰樹の懐具合であればこんなステーキなどいつでも食べる事が出来るが、残念ながら本物のステーキを出す事の出来る店の方が殆ど存在していなかった。
畜産産業がほぼ壊滅的なダメージを受けている昨今では焼肉定食と言いつつ羊肉や豚肉などを出す店も多く、こうかな牛肉を出せる店など一部の高級店だけで、普通の焼肉屋などでは牛肉であっても肉質の硬い廃用乳牛を出す店が殆どだ。
首都や大都市ではちゃんと食用として飼育した牛を出す店もあるが、地方では牛乳や乳製品などの生産の為に圧倒的な数が飼育されている乳牛がその役目を終えた後で食用の肉として売られるケースが多い。
別にそこまで味が悪い訳でも食べられない訳でもないのだが、流石に食用として専用に飼育された牛と比べるとかなり味は落ちる。
それに不満を感じる学生など、存在する事も殆どないが。
防衛軍の兵器開発部門からは、凰樹が使っていた特殊マチェットやM4A1カービンの提出要請が届いていたのだが、あの戦いで回路が焼ききれたのか、特殊マチェットはチャージ機能が使えなくなっていた。
「そんな感じで、負荷で何処が壊れたのか原因は不明ですが、もうチャージ機能も作動しませんし、このマチェットは完全におしゃかですよ?」
「特殊マチェット系武器での要石は今回が初めてだからな。壊れた箇所も含め今後のいい資料になりそうだ。それとM4A1カービンも状態を調べたいので映像データと一緒に急いでこちらに送って欲しい」
「それは構いませんが……。どの便で送りましょうか?」
「輸送用の箱は届いてるだろう? 近くの防衛軍にそれの回収依頼をしておく。二時間ほどでそちらに着くと思うので準備は急いでくれ」
電話口で何度もその事を伝えたが、「どんな状態でもいいから、使用していた武器一式を送って欲しい」と頼まれたために凰樹は向こうが用意した輸送用の箱にそれらを詰め込んで送る事にした。
「長年使ってた特殊マチェットともお別れだな。次からは新型の特殊小太刀を使うしかないか」
幾つかある武器のうち、凰樹が次に選んだのは新型の特殊小太刀だった。
特殊マチェットよりもチャージ能力が高く、使用する生命力も半分以下。
ここまで性能が良ければ先日の環状石の破壊に使えばよかったのだが、失敗の許されない戦いだった為に凰樹は能力が低くても信頼できる使い慣れた旧型の特殊マチェットを選んでいた。
◇◇◇
同じホテルの別室には神坂や窪内など他の隊員も強制的に泊められており、竹中の父親も下の方の階に宿泊させられていた。
ホテルに設置されているTVのスイッチを付けると、すべてのチャンネルが今回の凰樹の部隊による環状石の破壊の特別番組を放送しており、肝心の凰樹達から話を聞けない為に凰樹が以前所属していた部隊の隊長などがスタジオに呼ばれて様々な質問を浴びせられていた。
「え? それじゃあ凰樹君は、永遠見台高校で特別視されていた訳では無いんですか?」
「うちの高校に入学して来た時は既にセミランカーでしたが、他のAGE活動を行っている学生達と同じ扱いです。GE対策部の部員達も、別に余所余所しい態度で接していたとは思いませんし」
「入学時には拠点晶を既に幾つも破壊していましたよね? 環状石の破壊に成功するとか噂は…………」
札にコメンテーターとか書かれたタレントが担任の山形から少しでも自分たちの求める情報を引き出そうと、様々な方向から質問を浴びせていた。
彼らが引き出したい情報は【凰樹が入学時から英雄視されていた】や、【凰樹の爽やかな青年像】であったが、以前の雑誌のインタビューなどで答えた時の様に、本当にAGE活動以外では淡泊な凰樹のそんな情報を求める事自体が間違えである事に彼らは気が付いていない。
私物にも大してこだわりは無く、大切にしている物といえば子供の時から持っている母親の形見ともいえる約四センチほどの小さなキーホルダー位だが、その事を知る者は殆ど居なかった為に情報として流れる事は無かった。
だいたい入学して二ヶ月程度しか接していないうえに、HRの挨拶程度しか付き合いの無い担任の山形に詳しい話しを聞こうと言うのが無茶であって、詳しい話を聞こうとするなら昔所属していた守備隊の老AGEを連れてきた方がマシだっただろう。
「このチャンネルは山形先生か。さっきの番組のゲストは奈良崎隊長だったな……」
奈良崎に至っては四ヶ月前の作戦の事なども聞き出され、「それじゃあ、奈良崎君の時も環状石の破壊に成功していたかもしれませんね」と言う本人にとってはキツイ一言を、コメンテーターのタレントは笑いながら話していた。
四ヶ月前、いろいろ準備が不足していた為にあのまま環状石の内部に突入していても百足型門番GEに全滅させられていた事は、凰樹に詳しい話を聞いた奈良崎も十分に理解していた。
四ヶ月前は要石の破壊や百足型門番GE退治の要である、凰樹の生命力を突入前に消費していた事が致命的で他の隊員が幾ら元気でもその事に関しては何の役にも立たなかった。
「いや、あの時は無理だと思います。と言うより、凰樹の真似をして環状石を破壊しようとするのはやめた方が良いですね。環状石内部にいる門番GEに石に変えられるのが目に見えていますから……」
まるで誰でも環状石を破壊できるかのように話すタレントに対して、何年もAGEをしている者ならそんな凶行には及ぶまいが、凰樹に影響されて新しくAGEに登録して部隊を新設した者がそんな事を行わない様に奈良崎は一生懸命警鐘を鳴らしていた。
父親が行方不明、母親と姉はいまだに石化中であり、他に家族や親戚縁者も殆ど存在しない凰樹の話を聞こうとしたTV局は、担任の山形蒼子や前の部隊の隊長である奈良崎仁春などに声を掛けたようだ。
特殊マチェットの構造や環状石の情報が専門家とやらに説明されていたが、凰樹達から言わせれば失笑物の内容を元守備隊上がりのAGE相手に自慢げにしゃべっているのは滑稽としか言いようが無かった。
「ん? 三世代前の特殊マチェットの値段が……。ネットオークションで百倍以上の値で売られてる?」
あるTVで特集されていたのは、凰樹が使っていた三世代前の旧型特殊マチェットの値段についてだった。
元々人気が無く、そんなに生産されていなかった事もあり現存している特殊マチェットの数は精々百本程度の筈だ。それを求めて数千人のAGEと、コレクター的な人間などが一斉に手を伸ばし、転売して儲けようとしている者も含めてバカげた値段での攻防が開始されているという話だった。
特製マチェットの値段は鞘や握りの部分の加工次第で多少上下はしているが元々七千円から一万円ほど、それが数百万で出展され何百人もオークションに参加し激しい攻防を繰り広げていた。
「美品に限りか……。あの壊れた特製マチェットじゃ、欲しがる人はいないだろうな」
まあ、もし仮に凰樹が環状石破壊に成功した特製マチェットをオークションなんぞに出店しようものなら、天井知らずの値が付いただろう。
世界初の学生AGEによる環状石破壊成功時の特製マチェットのコレクターアイテムとしても価値があり、この数ヶ月後には中古の特製マチェットをそれらしく加工して出店する者まで現れている。
「いい加減ランキングの更新が終わったかな? ん? 来客?」
凰樹が環状石破壊やエリア解放などの特殊報酬の集計がそろそろ終わったか確認しようとした時、入り口のドアがノックされた。
対GE民間防衛組織の見張りがいる為、マスコミ関係者などは下の階でシャットアウトされていると言う話なので学校関係者か部隊の誰かだという事が予想された。
荷物の回収に来た防衛軍の隊員という可能性もあるが、それにしては時間が早すぎる。
「はーい。どなたですか?」
「あ…あの宮桜姫です。助けていただいたお礼を言いたくて……」
訪ねて来ていたのは少し前にGEに敗れて石に変わっていた、クラスメイトの宮桜姫香凛だ。
ドアを開けると制服ではなく、薄いピンク色を基調とした服を着た宮桜姫が立っていた。
「えっとお礼だっけ? アレは個人的な理由でやった事だし、特にお礼を言って貰わなくてもいいんだけど……」
「……、私を石化から助けてくれてありがとうございます。もし、凰樹君が助けてくれなかったら、一生あのまま、ううん、十年経っても元に戻れなくてあんな石の身体のままで人生を終える所でした」
そこまで言い、宮桜姫は少し恥ずかしそうに身体を小さく震わせ。
「あの……妹……、鈴音からあの事を聞いてますよね?」
と、頬を真っ赤に染めてその言葉を口にした。
あの事とは確認するまでも無く妹の鈴音が教室で盛大に暴露した、【凰樹の弁当を毎日作っている】と言う事と二人が付き合ってるという話の事だ。
当然凰樹と宮桜姫が付き合っているという事実は無く、弁当の一件も毎日妹の鈴音の分も含めて三つの弁当を作り、そしてそのうちのひとつを家で飼っている愛犬に愚痴を言いながら食べさせていたのだが、その事を知る者は殆どいない。
「あの事だったら気にしないで良いよ。妹さんがちょっとした勘違いをしていただけ……」
「あの!! 確かに鈴音は私の気持ちも知らずに勝手に私が凰樹君の事が好きだとか、毎日凰樹君の為にお弁当を作って持って来てるとか、凰樹君が載ってる雑誌を集めてるとか、部屋に何枚も写真を飾ってるとか、たまに写真に向かって話しかけてるとか、いろいろ話したかもしれませんが、別にそれは嘘じゃなくて………」
宮桜姫は表情をコロコロ変えながら少し早口で妹の鈴音が話した以上の内容を暴露し、傷口を広げている事に気が付いていなかった。
「えっと……、永遠見台高校で会う前に、宮桜姫さんと会った事は無いよね?」
「え? はい、永遠見台高校の入学式で出会ったのが最初ですよ」
「佳津美みたいに、昔ちょっとした事があって~って話なら分かるんだけど、宮桜姫さんがそこまでしてる事が理解できないから」
荒城佳津美は永遠見台高校に入学するかなり前に凰樹を出会っており、その事が切っ掛けでAGEとして活動する事となり、いまだにその腐れ縁が続いている。
「荒城さんもなんだ……、楠木さんに、竹中さん、もしかすると伊藤さんも?」
「え? 何がかな……」
「気付いてない訳ないよね? 凰樹君、わざと鈍いフリしてるけど、結構態度に出てるんだよ?」
クラスメイトの一部では凰樹は宮桜姫では無く楠木と既に付き合っているのではないかと噂されていた。
凰樹の事は割と知られており、今告白しても派手に玉砕するだけだと気が付いてる少女達は凰樹の気持ち、もしくは雰囲気が変わる時を待っている。
ハッキリ言えば何か大きな作戦に失敗し、落ち込んだりしている所を慰めて一番近い場所をキープできる瞬間を狙っていた。
「お姉さんたちを助け出すまで誰とも付き合わないって事、今も変わってないよね?」
「ああ、姉さん達を助け出すまでそれは変わらないよ」
「そうですか……、それじゃあ、竹中さんや、荒城さん、それに楠木さんがそれまでに告白してきても、断ってくれますか?」
「彼女達は全員その事位理解してるさ。それに、GEに敗れて石に変わる恐怖も全員味わってるから今後もAGEを続けるかどうかは分からないしな」
正直、先日の環状石破壊作戦時に全員石に変えられた事を、凰樹は苦々しく思っていた。
環状石内部の特殊な状況を知っていなかったとはいえ、部隊の隊長としてはあり得ないミスだ。
これがGE戦でなく、命の取り合いであれば三人を失っていた……、自らのミスで殺していたのだから。
最悪、次の部活の時に全員脱退届を出してもおかしくないとまで思っている。
それほどまでに石に変えられるという恐怖は人の心に重くのしかかり、石化から解除された人々がより安全な居住区域への移住を切望している事を見ても分かり切った事だった。
「甘いですね、甘々です。凰樹君は女の子の事を、ぜ~んぜん理解できてないですよ。頭で理解していても、心は納得なんてしないんです」
「特に竹中はお父さんも助け出せたし、もうAGEを続ける理由なんてないだろう? 自分を好きにしていいなんて言ってるけど、そんなのは一時的な気の迷いさ」
環状石の破壊に成功したあの瞬間から、竹中から凰樹へのアプローチは荒城や楠木が頬を引き攣らせるようなレベルだった。
小柄でありながら割と胸の大きな竹中はそれを武器とし、抱きついてきては二つの膨らみを思いっ切り凰樹に押し付け、柔らかいその魅惑的な感触で凰樹の心を陥落させようとしている。
「竹中さん……、そんな事まで言ってるんですね…………」
宮桜姫はその事を聞き、ある決意をした。
「あの……、凰樹君。今すぐとは言いません。お姉さんを助け出した時、まだ誰とも付き合って無ければ、私の事を恋人にしてくれませんか?」
「いや……、あの……、何年先になるか分からないし、もし助けられない時は、生涯環状石の破壊とそこに囚われてる人の救出にかけたいと思ってるから」
「そんな事は分かっています。もし助けられたらでいいですし、誰かと付き合いたいと思った時でもいいですから。口約束になるかもしれませんが」
「口約束か……。わかった、その時に改めてこの話をしよう。俺もGEに破れないとは限らないし、保留って形にしたいんだけどいいかな?」
宮桜姫はその言葉を聞いて微笑み、上目遣い下から凰樹の顔を見上げ。
「凰樹君」
「え?」
そしてそのまま凰樹の頭に細く白い手を回し、凰樹が何事かと気が付く前に柔らかい唇を凰樹の唇と重ねた。
急に重ねられた唇に戸惑い凰樹が困惑したまま数秒が経過してようやく唇を離す。
「口約束だけだと、凰樹君が忘れちゃいそうなので口で約束させて貰いました♡」
小悪魔的な笑みを浮かべて顔を真っ赤に染めながら、たった今まで重ねていた唇の端を指で撫でる。
「それじゃあ、凰樹君またね♪」
キスをしたのが余程に恥ずかしかったのか、それだけ言い残して宮桜姫は足早に部屋を後にした。
突然の出来事に凰樹は走り去る宮桜姫に声すらかけらず。
「な……、宮桜姫ってあんな性格だったのか?」
おとなしく控えめなイメージしか抱いていなかった宮桜姫の大胆な行動に、凰樹は戸惑っていた。
その時、莫大な戦果だった為に集計に数日の時間を必要としていた凰樹の戦果の計算が終わり、数日振りにランキング情報が更新される。
環状石の破壊ボーナス、百足型門番GE撃破ボーナス、支配エリア解放ボーナス、二十万人にも及ぶ石化していた人々の救出ボーナス、その他のボーナスもひっくるめて三十億ポイントが追加され凰樹は一気にランキング一位に躍り出た。
そのほかにも作戦に参加した凰樹輝、窪内龍耶、霧養敦志、伊藤聖華、竹中紫、荒城佳津美の六人には部隊ボーナスとして十億ポイントが加算され、六人全員が揃ってランカーに昇格し、一位から六位までを凰樹達で独占する事となる。
この時まで、凰樹の部隊は【永遠見台高校GE対策部】として登録されていたが、この日を境に、凰樹の部隊は【ランカーズ】と呼ばれる事になった。
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