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イケメン部  作者: 凪 °
3/6

參の章

 桜もすっかり散ったこの時季――

 伝統部部長である、佐々木教芳は一人、教室の自席に突っ伏していた。



「……部長、遅いっすね」

「もうそろそろ来るんじゃないか?あいつのことだ、多分女をナンパしてるんだろ」

「うっわ、海空一筋じゃないんすか!?サイッテー…」

 先に部室に来ていた西条と楠見は机の上に置いてある週刊雑誌を手に取り、読みながら他の部員が来るのを待っていた。

「すみませんっ、遅れましたっ」

 息を切らしながらやって来たのは御影だった。

 制服には何か動物の毛らしきものが沢山付いている。

「おぃっ、ちょっ、お前きたねーだろ!!」

 動物が苦手な西条は顔を真っ青にして御影を見遣る。

 楠見は暫く見つめていたが、

「…ネコ?」

 毛を見て判断したのか、口を開いた。

 御影は驚きの表情を見せ、

「先輩、凄いですね。正解です」

 毛を手に取った。

 西条はというと、まだ真っ青だ。

「おぃおぃ…そんな震えるほどか?たかがネコだぞ?しかも毛」

 楠見は半ば呆れているようだ。

 そんな三人の許に、また誰か来た。

「遅れてすみませんっ、委員会長引いちゃって…」

 零和だ。

 零和を見て、西条は完全復活した。

 勢いよくパイプ椅子から立ち上がると、

「部長まだみたいだから、なんか食べるか?ほらっ、お菓子も持ってきたし!」

 鞄の中から沢山のお菓子を取り出した。

 それと一緒に如何わしい本も出てきたのだが。

「お菓子ですか!?食べます食べますっ」

 零和がお菓子に釣られ、西条に近付こうとした瞬間、御影が口を開く。

「海空を傍に行かせるのは、まずその如何わしい本を片付けてからだな」

「……うっ」

 西条は如何わしい本が飛び出ていたことに気付いていなかったのか、慌てて鞄の中に隠した。

 楠見は汚らわしいものを見るような目をし、

「え、なに…、そういう趣味だったの?」

 西条に問いかけた。

 御影も便乗し、

「そうみたいですね。何冊か持っているみたいですし」

 西条を見る。

 西条はというと、半べそ状態になり、必死に抵抗した。

「ちげーよっ、俺じゃねぇよ!クラスの奴が欲しいっていうから買ってやっただけだよ!!」

 楠見は怪しげな笑みを溢し、

「怪しいな、コレ」

 御影も嘲笑し、

「何も言い訳なんかしなくても良いんだぞ。正直に話せば良いんだ」

 零和はさすがにこの会話にはついていけないので、

「ちょ、ちょっと部長の様子を見てきます!」

 そう言って、部室を出ていくことにした。

「えっ、ちょっ…海空っ!!??」

 西条の悲しそうな声を聞き、楠見と御影は笑いを堪えるのに必死だった。




 …*…




「あ~もぅっ、なんで僕がこんなこと……っ」

 すっかり静まり返った3―Dの教室で、佐々木は手に持ったプリントをピラピラとさせている。

 ガラッ…

「失礼します。…あの、部長…」

 零和は扉を開け、すぐに佐々木の姿を確認した。

 佐々木は窓側の席で、机の上に沢山の書類のようなものを乗せた状態で突っ伏している。

「……え、その声、もしかして零和ちゃん…?」

 零和の声に反応し、佐々木はゆっくりと頭を上げる。

「えとっ…、大丈夫…ですか?」

 駆け寄ってくる零和の姿を見て、さも満足そうに微笑む。

「零和ちゃんは優しいね♪ほんと可愛い。大好きだよ」

「そんなことよりっ、部活、今日はないんですか?」

「……そんなことよりって…」

 告白をあっさりスルーされた佐々木は少し口を尖らせ、

「…部活なんて、僕がいなくても出来るでしょ?」

 不満そうに答えた。

 零和はふと書類に目を遣り、

「……もしかして、コレのせいで来れなくなったんですか?」

 書類に書かれた文字を指差した。

 そこには――


 停部書

 氏名;佐々木 教芳


 と書かれている。

 つまり、佐々木は部活に来ることを停められているのだ。

「そ、それは…」

 目を泳がせる佐々木。

「なんでこんな事になったんですか?何かやらかしたんですか?」

 問い詰める零和。

 佐々木は暫く黙っていたが、もごもごと喋りだした。

「……僕が、生徒会の仕事サボってばっかだったから…」

 ……そうだった。佐々木はこう見えても生徒会の副会長なのだ。

「零和ちゃんに会いたくてたまらなくてさ、会議サボって部活行ってたら、こーなっちゃったよ~。いやぁ、参った参った」

 笑顔で頬を掻く佐々木。

 零和はため息をつき、

「だから、反省書とかこんな山積みになってる訳ですね」

 机の上の書類を見渡した。

「困ったなぁ、当分部活に顔出せそうにないんだ。零和ちゃんと一緒にいる時間が限られてきちゃうね」

 心配する佐々木に、

「余計な心配はいいですから。とにかく早くこの反省書を書いて、これからはちゃんと会議に参加してくださいね?」

 零和は腰に手を当て叱り、教室から出ていった。

「……零和ちゃん、大人っぽくなったなぁ…」

 教室に残された佐々木は、反省の色も見せず、ただただ零和の姿を見送るだけであった。



 …*…



「はっ!!??停部!!??」

 部室に戻るや否や、西条は事の一部始終を身を乗り出して聞いた。

「退部よりはマシだろう。暫くすれば、また戻ってくる事になっているのだよな?」

 御影の質問に零和が頷く。

「まぁ、アイツらしいっていえばらしいけど。…それにしても、ほんっとバカだよな」

 楠見は制服の袖元で口を隠し、爆笑する。

「笑い事じゃありませんよ…っ。部長不在の間、誰が代役をするんですか?」

 真剣な眼差しの零和。

 楠見は首を傾げ、

「誰もやらなくても良いでしょ」

 零和はこんな答えなんか望んでいない。

「だって、部長っていっても何も部長らしい仕事なんて、この部活にはないじゃん」

 楠見の付け足しに皆が納得する。

「……確かに。今まで自然すぎて気付かんかったけど、部長っつっても他の部員とやること同じだったっすね…」

 「言われてみれば、そのような気も……」



 ということで、部長不在の伝統部が何日間か行われることになったのである。

File.3

西条永利[サイジョウ ナガトシ]

身長;176㎝

体重;65.3㎏

特技;横笛、如何わしい本を集めること

other;とにかく零和を愛しまくる。零和なしでは生きていけない

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