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イケメン部  作者: 凪 °
2/6

弐の章

自宅から学校への登校時、海空零和はずっと朝流れていたニュースのことを思い浮かべていた。

『国立鷹坂高等学校の2年男子が誘拐』

それは昨日から行方不明になっている、同じ伝統部の先輩である西条永利と重なるのではないだろうか…と。



…*…



教室に着いた零和は何時もと何も変わらないクラスの雰囲気に少しだけ心を落ち着かせた。

…そうだよね、まさか西条先輩がそんな事件に巻き込まれるなんてこと、ないよね…

そう思っていた矢先、

「なぁ、そういえばさ、今朝のニュース見た?」

クラスメイトが急にその話題を出してきた。

皆の反応は、見た人見てない人でバラバラだったが、零和だけは何も答えなかった。

……やっぱり見たんだ…

見たというならその話題を持ち掛けても仕方がない。


結局その日、零和のクラスで二度とその話題が挙がることはなかった。



…*…



授業終了のチャイムが鳴った。

これから先は、部活動の時間だ。

零和は少し早歩きをして伝統部の部室へと向かった。

ドアを開けると――

「…あ、零和ちゃん。早かったね♪」

首だけを此方へ向けた部長―佐々木教芳が声を掛けてきた。

室内には佐々木の他に、御影や城津の姿も見える。

「…ほら、そんなところに立ってないで、もっとこっちにおいでよ?」

佐々木は笑顔で零和の腕を引き寄せた。

「……でも」

一方の零和は罪悪感に訪われ、中々笑顔を返すことが出来ない。

そんな零和を見て、御影誠が口を開いた。

「…海空。お前は何か勘違いをしてないか?」

「……え?」

突然声を掛けられたので、零和は少し反応が遅れる。

御影は小さくため息をつき、

「西条が行方不明になったのは別にお前のせいじゃない」

「でもっ…でも私があの時ちゃんと送っていれば、あんなことには…」

零和はまた下を向く。

「大丈夫、キミは悪くないよ」

城津も零和の頭を2、3回撫で励ます。

…伝統部の皆は温かい……

零和はこの時、伝統部の温かさを改めて実感した。


零和が少し心を落ち着かせた時、騒がしい足音と共に誰かが室内に入ってきた。

「部長っ!大変です!!」

桐神時雨だ。

「どーしたの、時雨君~。そんなに慌てちゃってさ」

血相を変えている桐神に対して佐々木は至って普通に対応する。

桐神は一旦呼吸を整えた後に口を開く。

「…さっ、西条君がっ、き、来ました…!」

「……………ッ!!!???」

その言葉にその場にいた全ての人が驚愕した。



…*…



「失礼します!」

場所は保健室。西条はここで寝ているらしい。

零和たち一行は急ぎ足で保健室へと向かい、勢いよく扉を開けた。

保険の先生は不在のようで、ベッドの上には上半身を起こした状態の西条がいた。

「永利君っ!」

佐々木は西条の方へと走り、彼を勢いよく抱き締めた。

「う、わ…部長!なんすか、ホモ!?」

西条は力づくで佐々木の腕から逃れ、奥にいる零和へと目を向けた。

零和は一瞬目を反らしてしまったが、すぐに西条の方を向き、

「西条先輩っ…あのっ…私のせいで…」

おどおどとしながら、

「本当にすみませんでした!」

謝罪をした。

西条は少し言葉を失った後に、静かに微笑み、

「いや、お前のせいじゃない。心配すんな。俺が悪かったんだから…」

零和に声を掛けた。

「……西条。何があったのか詳しく教えてくれないか?」

二人の間に入り、西条に問いたのは御影だ。

西条は頷き、事件の経路について語り始めた。

「あれは俺と海空が別れたときのことだ――」


俺は電車に乗り込み、新厘駅へと向かおうとした。

…と、その電車の中で急に人が倒れたんだ。

俺は急いでその人の許へ駆け寄った。そしたらその人が言ったんだ。

「病院まで付き添ってほしい」

って。

その人は老人だったし、本当に具合が悪そうで心配だったから俺はその人の言う通りにしたんだ。

近くの駅で降りて、病院へ向かう、その通り道でまたその人は倒れた。

もはや一人で歩けない状態になったその人を抱えて俺は病院へ駆け込んだんだ。


「…で、そこで一夜を過ごしたってわけ。別に誘拐でも何でもねーよ。たまたま病院への通り道に俺たちの姿を見た人が、勘違いして通報しちゃったってわけ」

西条の話を全て聞き終わった時、伝統部の部員は皆安堵の表情を浮かべ、それと同時に呆れたような顔をした。

「なんなのもー、心配かけちゃってさぁ」

「ただの勘違いとは腑に落ちんな」

「でも良かった」

「本当にご無事で良かったです!」

零和を含めた4人は自然と笑みをこぼす。

西条は軽く頭を掻き、

「心配かけてすみませんっした」

照れたような顔をした。

「まぁ、ひとまず西条君は無事だったって訳で…、亘君たちにも伝えないとね♪」

佐々木はそういうと、踵を返し、

「よし、じゃあ皆帰るよ~。部活部活~♪」

保健室から出ていった。

そして全員が室内から出たのを確認して振り返り、

「…あ、もちろん永利君も復活できるよね?」

「え、あっ、はい!」

「じゃあ…おいで?」

西条を連れて、部室へと向かっていった。



…*…



「大変ご迷惑をかけました。ほんと…さーせん…っした」

「ふざけた謝り方するね。まぁどーでもいいけど」

「…あ、さーせん」

「でも、怪我もなくて元気そうで良かったよ」

「…さんきゅーな」

部室へ戻った零和たち一行は、部室内にいる楠見薙早と城津亘の前に立っていた。

二人に全てを話し、謝罪する西条。

「まぁ皆あんま責めないであげてね?誤解まみれの事件だったんだしさ♪」

佐々木は一人、いつもの調子で喋り、コーヒーを飲む。

楠見は小さくため息をつき、

「間違ってもコイツを責めたりすんなよ。…コイツのせいじゃないから…」

零和をチラッと見た。

「……っ、責めてなんかないっすよ!全然っ、ほんとにっ」

西条は全力で言葉を発する。

「だろうな」

楠見は笑みを溢し、西条に背を向けた。

「……っ」

零和の気持ちは複雑だった。

確かに勝手に付いてきた西条も悪いが、家までとは言わずとも最寄り駅に近い駅まで送っていけば済む話だったからだ。

そんな零和の心を読み取ったのか、城津は零和の頭を撫でてきた。

見上げると、彼は優しい笑みを浮かべていた。

「……っ」

その二人の様子を恨めしそうに見ている影が2つ。

「亘君、いつから零和ちゃんとあんな仲になったのかな…?」

「ほんっとムカつくっすよね…」

怒りを抑え、震えた声で会話しているのは勿論、佐々木と西条だ。

「羨ましいんだよぉぉぉ――!!」


部室外にこの叫びが届いたことは多分、間違いないだろう。



…*…



部活が終わり、帰路に帰る楠見と御影。

「………先輩」

沈黙を破るかのように御影が話し掛ける。

「…もしかして、あいつのこと好きになったんですか?」

只の質問。だが御影の目はただならぬ鋭さを帯びている。

「…あいつって?」

楠見は面倒くさそうに返事を返す。

御影は小さくため息を付いた後、

「…海空ですよ」

零和の名を口にする。

途端、御影と並んで歩いていた楠見の足が止まる。

「……はっ」

少し俯き、息を溢す楠見。御影も立ち止まり、楠見の返事を待った。

楠見は暫く黙っていたが、顔を上げ、

「…んなわけないだろ。じゃ、俺こっちだから」

そのまま駅のある方角へと曲がっていった。

「………。」

一人取り残された御影は楠見の姿が見えなくなるまで、ずっと彼を見つめ続けていた。

File.2

御影誠[ミカゲ マコト]

身長;182㎝

体重;73㎏

特技;琴、勉強

other;無口で人が寄り付きにくいが、中に秘めた熱は熱い

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