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近未来の魔法世界に転生して最強ハーレムを作る  作者: ななお


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16話

 残り1日を残して演習は中止となった。スカルキングの予期せぬ出現により学院側の管理体制が問われることになりそうだ。フィリアやミアたちは医務室で処置を受けている。

クルトも診察の後、寮への帰り道を歩いていた。


 夕日が廊下を朱に染めている。

 今回も多くの人々に助けてもらった。未熟な自分が恨めしくもありありがたくもあり……複雑な心境だった。


 すると前方から聞き覚えのある声が響いた。


「クルト君」

「ソニア会長……」


 彼女は優しい眼差しでクルトを見つめている。


「無事でよかったわ。大怪我はありませんでしたか?」

「はい、おかげさまで」


 ソニアは慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。

 ソニア会長とは「フォン」を持つ家同士でパーティーなどで何度か顔を合わせていた。親密という程の間柄ではないものの、ある程度の交流はある。それでも学院では先輩後輩だというスタンスを保ってきた彼女だ。こういう時だけは妙に姉感が漂ってくるから困る。


「もう、決闘も今回も無理してっ」


 頬を突いてくる仕草は昔と変わらない。


「申し訳ありません、ご心配をおかけしました」

「まったく……」


 クスクス笑うソニア。その艶やかな唇から紡がれる声音はどこまでも甘く優しい。


「でも……本当によく頑張りましたね」


 その評価に思わず顔が熱くなる。


「ありがとう……ございます」

「ふふ、無茶はほどほどに頑張ってくださいね」


 そう言って去っていくソニアの背中を見送るクルト。

 美しくも厳しい言葉だった。



 今年の演習は例年と比べ魔物の数と質がとてつもなく高かった。それにより死者・負傷者数も例年の比ではなく、多数の貴族が死亡したことで学院長は国王からお叱りを受ける羽目となった。

 ツェラー家の兵の死体もあったことは、ツェラー家側の圧力もあり隠された。

 今回の件は学院にとっては非常に印象の悪い一件として残った。


 また、アルティのチームはエマを見捨てたことでかなりの減点となった。

 アルティがそのことで抗議したようだが、実際にエマは負傷してその場に置いてけぼりにされ、俺たちが彼女を助けたのだ。事実は変えられない。それでも減点がそのまま決定になったことに対して納得はいっていないようだったが、その抗議が認められるはずもなかった。



「ヘンドリッヒ=フォン=ツェラーも使えないな……」


 ザックは郊外の港で唾を吐いた。


「わざわざ撒き餌を使ってスカルキングまで呼び寄せたのに、殺されるなんてな。所詮は凡才以下か……いや~仕方ないなぁ」


 当初の予定であればスカルキングの脅威を利用してクルトを殺害するつもりだった。

 しかし、それはヘンドリッヒとザックでは理想の流れが少し違った。ヘンドリッヒとしては襲撃して殺せれば良し、駄目でも後続の魔物で仕留めるつもりだった。

 そう、ヘンドリッヒはスカルキングについては何も知らなかった。

 対してザックは撒き餌で魔物を寄せてクルトを殺すつもりだった。スカルキングが現れれば瞬殺できると思ったからだ。

 なら何故ヘンドリッヒとザックの思惑がずれたのか……。


「仕方ないだろう?何せ俺が潰したいのはエルスター家だけじゃないんだから……」


 ククク……と悪趣味な笑みを浮かべるザック。



 スカルキング事件から数日後。その間は学院全体が喪に服しているような静けさの中にあった、


「講義を始めます」


 教室に入って来た数学教師メイル教授が厳粛な表情で告げる。だがその後、突然生徒たちのほうを見て深く一礼した。


「まずは……不幸にも逝ってしまった諸君らのご同胞に祈りを捧げたいと思います」


 その言葉に生徒たちが一斉に席を立ち、黙祷を捧げる。葬式に参列した数々の顔が思い出されてしまう。その中にも将来有望な魔術師候補が多く含まれていたはずだ。


「……さて皆さん。学院理事会による公式声明によりますと当該演習において学院当局の管理監督体制に瑕疵があったことは否定できません。そのため――」


 メイル教授の解説が始まると同時に扉がノックされ若い女性職員が急ぎ足で入室する。彼女は教授のそばにメモを渡すとすぐ退出した。

 メイル教授の眉が僅かに動く。


「諸君に伝達です。本日の午後より教員全体会議が行われるために以降の授業は全て休校となります。また学生課からは“外部取材対応”のため寮を離れないよう通達がありましたのでくれぐれも留意してください」


 休校宣告に教室中がどよめく。当然だろう。演習中の死者発生はあっても、これだけの被害は学園史上類を見ない大スキャンダルなのだから。



 寮に戻ったところで既に玄関ホールに人が押し寄せていた。皆同じ情報を共有するために集まっているらしい。


「聞いた?王都新聞社だって」

「取材要請?そんなに大事扱いなの?」

「当たり前じゃないか!侯爵家のご子息まで亡くなったし!」


 そこかしこで噂話が飛び交う中、クルトは自分の部屋に戻った。机に向かって座ると自然と大きな溜息が出た。演習以前とは全く違う環境になっていることに改めて気づかされる。


「失礼します」


 ノックの音と共にミアが現れた。


「ちょっと話があって……」


 彼女は落ち着かない様子で室内を見回す。


「ミア?」

「いえ……それが、ハインリッヒ君が消息を消したという情報が……」


 思わずクルトは頭を抱えた。これはまだ面倒ごとに巻き込まれるパターンか?


「どういう意味?」

「文字通り。寮生に聞いても誰も見てないって。少なくとも今朝の寮朝食時は姿を見せていないらしいわ」


 クルトは深く考え込む。演習のチーム決めでハインリッヒを対立して、兄ヘンドリッヒを巻き込んで決闘。そのヘンドリッヒは演習にてクルトを殺害しようとしたが、その場にスカルキングが現れて逆に殺される始末。で、今はハインリッヒが行方不明……偶然にしては出来すぎた展開だ。最初に端を発したのがハインリッヒだったとしても、そこから先は別の何かが絡んでいそうだ。ツェラー兄弟が自分たちの手に負えない何かをしたのか?しかし今の段階では憶測の域を出ない。


「とりあえず私は学生課に報告に行ってくる。クルト君も用心してね」


 そう言い残しミアは部屋を後にする。ドアが閉まる前ににクルトは椅子から立ち上がった。


「俺も行くよ」


 ミアを一人にしてはいけない。直感がそう告げていた。

 スカルキング騒動の背景に何かがあると感じている。


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