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帰省中

作者: 網笠せい

 もふもふとした毛に顔面を覆われて、目が覚めた。私の犬は、早起きである。休日にゆっくり眠ろうとしていた私にはお構いなしで「起きなくていいんですか!」とでも言いたげに尻尾をぶんぶん振っている。

 ベッドからのっそりと起きて水とエサを目の前に置くと、犬は大はしゃぎで右に左にとステップを踏んで身を低くし、満面の笑みを浮かべて「よし」を待った。

 私がいつまでも「よし」と言わないものだから、だんだんと犬の尻尾や耳が垂れ下がっていく。そっと私の顔色をうかがうようにして、鼻を鳴らしている。

 私は、もう犬を飼っていない。こいつは幽霊犬である。


「お盆に来てくれるとは、うい奴め」


 なでてやろうと手を伸ばしたが、なにせ幽霊なので触れることができない。

 犬は「ワン!」と一声鳴いたあと、すっかり姿を消してしまった。

 犬に供えた水が、わずかに波打っている。

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