本気を見せ始めるファースト
リンゴの赤い髪がバサバサと動き始める‼ 首筋に筋肉の筋と血管がゴキゴキと浮き上がるとリンゴの左腕だけが、元の大きさの十倍に膨張した!
ドガッッ!
リンゴはその大型恐竜の大腿部のような腕を研究所の柱にめり込ませた! そしてコンクリートの砂煙を巻き上げながら、柱ごと研究所のビル本体から引きちぎった!
「な……なんだあれ……」
金児、ジョニー、ヒメーカは目をギョッとさせた。リンゴはビルの柱が突き刺さった自らの腕を振りかぶった! そしてそれは刹那だった。ビュンッと腕を振るとビルの柱は金児達のエネルギーの層にぶち当たった!
ドオオオオオオオン‼
コンクリートの破片が爆発と共に飛び散った! 味方ごと吹き飛ばすその威力はすさまじかった。金児、ジョニー、ヒメーカはほんの一瞬で弾き飛ばされた。金児は訳が分からないまま倒れていた。ゆっくり目を開けると、青い空があった。そしてハッとして立ち上がると、爆煙が空へ立ち昇っていた。その煙が徐々に薄くなっていく。パイン、ピーチ、ライムの姿が見え始めた。三人は、頭やら腕やら血を流して、ぜえぜえと肩で息をしていた。
「早く奴らを仕留めろ」
リンゴの冷酷な表情はもはや部下に甘えを許すものではなかった。パインはペッと唾を吐くと形相を変えた。そして前傾姿勢になるとゴゴゴゴゴと地鳴りが鳴り始めた。周囲の小石が浮き始めて、パインの首筋に緑の毛細血管が走った。パインの全身の筋肉が五倍に隆起した。
「よし、行くぞ」
パインがそうつぶやくと、パインに呼応するかのようにピーチとライムの体も元の体と比べ物にならないほど、大きく隆起した。特に両腕の筋肉が以上に発達していた。それを見た金児は恐竜と対峙しているような感覚に襲われた。
「あいつとあいつはすぐ捕獲できるな」
ライムはそう言うと両手にジェイルを持った。そして倒れているジョニーとヒメーカに向けた。起動ボタンが押されると、ジェイルはジョニーとヒメーカへ向かって空中を飛んで行った!