『迷惑な大地』 荒れ狂う世界1943年前半
ゆるゆるザルザル(ザルと言うよりも枠)な歴史創作になってきました。
火葬戦記のお時間です。
1943年は前後二話。
ちょっと修正。5月11日。エセックスがいなかったので大西洋に。
1943年
イギリス参戦
ドイツ支援で石油を中東から運んでいたイギリス船籍タンカーがドーバー海峡で攻撃を受ける。幸い沈没こそしなかったが航行不能になり漂流した。攻撃してきたのはフランス空軍機。これに対して厳重な抗議を行うが、フランス政府からはドイツ支援物資の輸送を許さないとの返答。
2月、イギリス、フランスに対して宣戦布告する。
ヨーロッパで大戦争再びかと緊張が走る。
台湾防空戦終了。フィリピンから飛んでくる機体が尽きたためと思われる。日本側の機体性能に問題多数出る。いかに米軍でもB-17のような大型機と補給物資をフィリピンまで届けることが出来なかった。それなりの妨害もしたし。
⑥計画策定。戦時急造計画であり、精緻な高性能艦艇よりも量産が効く艦艇が優先される。
日本、フィリピン対策は占領せずに戦力を奪うだけとする。具体的には軍港の無力化と航空機の排除。海に囲まれた遠隔地であり、それで無力化できる。
アメリカ合衆国、フランス支援のためイギリスに軍需物資のドイツ提供を中止するよう強く言う。
イギリス、断る。
3月、イギリスとアメリカ合衆国、断交。
アメリカ合衆国、フランス支援のためイギリスに宣戦布告する。
イギリス、アメリカ合衆国に宣戦布告する。
両国とも戦闘を避けるような行動を取っており、戦闘が起こらず疑われている。
4月、フィリピン無力化完了。
フィリピンのアメリカ軍航空機稼働機無くなる。
アメリカ海軍アジア艦隊半減。残存艦はフランス領仏印のサイゴン港に逃走。日本、フランスと戦争状態になく攻撃できない。しかし、戦争当事国の海軍艦艇だから、日本と交戦していない国の港に入ればと国際法上問題が出る。そして3日が過ぎた頃にフランス仏印総督はアジア艦隊を拿捕し乗組員を拘束したと言っているが、アジア艦隊の方が出航しないようにしているだけだろう。アジア艦隊残存艦はフランスが日本に宣戦布告するまでサイゴンでのんびりしていた。
アメリカ合衆国発中華民国支援物資、届かなくなる。満州国防衛は可能に見える。
アメリカ海軍、フィリピン戦での輸送船損害に対して護衛能力不足を実感。護衛駆逐艦増産と護衛空母増産を始める。1年後には日刊駆逐艦、週刊護衛空母と言われた艦艇群が就役を始める。
メッスの戦い。
仏独戦はドイツがやや押し込んでいる。決定的な戦力差がないためにじりじりと押し続けている。兵器は大砲以外ならフランス製よりもドイツ製が優秀だ。しかし、押し込めない。それもこれもアメリカ製兵器のせいだった。M3中戦車に正面から勝てない三号G型はH型に変わり正面装甲および砲塔装甲の増厚と主砲が60口径という長砲身砲になりようやくある程度近づけばM3中戦車の正面走行を抜くことが出来るようになった。戦闘機はMe109Eが弱武装過ぎてフランスに供与されたP-40やP-39をなかなか墜とせない。P-40は速度的にも同じくらいで、優位なのは高空性能と機動性だけだがP-40が低空では侮れない機動性を発揮するのであった。短い滞空時間の問題もあり、Me109Eはポンコツ*呼ばわりされた。
メッスの戦いで勝利したドイツ軍が次に向かうのはあのヴェルダンだった。忌まわしき地である。しかし、ここを抜けばパリまで遮る要衝はない。
5月、フローレス島沖海戦*。
密約有りかと疑われていた英米間で、フランスに仕向けた陸軍兵と軍需物資とレンドリース物資を運んでいたアメリカ船団にイギリス海軍が攻撃を仕掛けたもの。護衛部隊と襲撃艦隊の間で起きた海戦。アメリカ海軍の護衛作戦は失敗した。輸送船各種42隻中26隻が沈没。11隻が降伏拿捕された。5隻は残存艦隊と共にアメリカに帰ることが出来た。ユトランド沖以来の戦艦同士が砲戦という接近戦となった。
アメリカ海軍、空母増強に踏み切る。エセックス級増産と引き換えにアイオワ級戦艦2隻の建造中止とモンタナ級戦艦全艦の建造中止になった。
イギリス海軍、空母増強をしたい。正規空母量産は無理なので、大型軽空母で勝負をかける。
日本近海で潜水艦被害と目撃情報増える。マリアナ諸島から出撃しているようである。不発魚雷が多く刺さった魚雷は簪と呼ばれる。
グアム島アプラ軍港攻撃を決定。対潜警戒網の構築と対潜部隊編成を急ぐ。
アメリカ西海岸通商破壊戦を決めるが、距離が遠すぎ効果が疑問視される。
7月、グアム島沖海戦*。
日本海軍、7対4という数の優位で空母航空戦を勝つ。
アメリカ海軍、再び建艦計画の見直しをする。いくらアメリカといえど正規空母と戦艦の量産を両立するのは難しい。
イギリス海軍、グアム島沖海戦の結果を受け再度アメリカ海軍との交戦を目論む。今なら勝てる。
アメリカ海軍、フローレス島沖とグアム島沖の海戦で立て続けに負け大きな衝撃を受ける。失われた人材はベテランが多く、海軍拡張に伴い人材難になっていく。
アメリカ海軍、時間稼ぎに潜水艦による通商破壊戦の強化を図る。
日本潜水艦、アメリカ西海岸沿岸で通商破壊戦を開始。年末までに14隻の商船を沈める。アメリカ海軍の警戒強まる。投入した潜水艦は延べ8隻で未帰還1隻。アメリカで撃沈の報道がされたので確実だろう。遠距離出撃の手間と戦果を考えると今後は警戒が強まり戦果も減るだろうということから中止となった。
代わりにハワイ周辺の監視とハワイ-マリアナ間の通商破壊に精を出すことになった。
アメリカ海軍、エセックス級空母量産の規模を再度変更。4隻減らし、アイオワ級戦艦2隻の建造に踏み切る。モンタナ級は造らない。週間護衛空母と日刊護衛駆逐艦の規模は変わらず。
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Me109Eポンコツ
独仏戦開始時のMe109Eは機首に7.92ミリMG17を2丁と主翼に同じMG17を2丁だった。元々、主武装はプロペラ軸を通して発射される20ミリモーターカノンの予定だったが、開発に失敗。機首の7.92ミリ2丁だけでは心許ないと無理に主翼にも装備した。しかし、重防御のアメリカ戦闘機には相当量打ち込まないと撃破できず、また航続距離が主翼に燃料タンクを設置できない関係で短く戦場での滞空時間が短いことから地上襲撃に来たP-39を追い払うことが難しく、味方地上部隊からは頼りにならないポンコツと言われた。P-39とP-40はだいたいセットで飛んできた。
Me109E3からは機首機銃がMG131に変更され大口径化と炸裂弾の威力でP-40を撃墜できるようになった。E4からは主翼にエリコンFF20ミリ機関砲も装備されたが、航続距離は変わらず上空支援時間の短さからポンコツ呼ばわりは変わらないのだった。
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フローレス島沖海戦
アメリカ海軍はアメリカからフランスに向けた陸軍兵を乗せた兵員輸送船を含む42隻の輸送船団を空母レンジャーと戦艦ペンシルバニア・アリゾナ、重巡オーガスタ・チェスター、軽巡4隻、駆逐艦16隻で護衛していた。
イギリス海軍は、空母2隻、戦艦4隻、重巡3隻、軽巡4隻、駆逐艦12隻で襲撃。
損害はイギリス海軍が、空母フューリアス、戦艦ウォースパイト、駆逐艦3隻を喪失。
アメリカ海軍は輸送船の他、空母レンジャー、戦艦ペンシルバニア、アリゾナ、重巡オーガスタ、軽巡ミルウォーキー、フィラデルフィア、駆逐艦4隻を喪失。
空母が遣り合っている間に行動自由度の低いアメリカ海軍護衛部隊にイギリス海軍襲撃部隊が襲いかかり、ペンシルバニアとアリゾナがクイーン・エリザベス級戦艦4隻から集中砲撃されたもの。ウォースパイトは砲戦で受けた損害が酷く帰還途上で浸水が止まらず行動不能になったことから自沈。
世界初の空母戦でもある。
イギリス艦載機の性能が低いことと2隻でレンジャー同等という艦載機の数で、アメリカ側の損害が限定された。レンジャーはその弱防御を破られて轟沈。フューリアスは雷爆撃を受けて沈んだ。
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グアム島沖海戦
アプラ軍港攻撃を意図した日本海軍と迎え撃ったアメリカ海軍の戦い。
日本海軍はサイパン島航空戦力を潰してから、グアム島に攻撃を開始した。小笠原に控えの機体と搭乗員を配置し、補給も万全のはず。
赤城・加賀・蒼龍・飛龍・翔鶴・瑞鶴・龍驤の7隻に対して、サラトガ・レキシントン・エンタープライズ・ホーネットの4隻で迎え撃つ。ヨークタウンとワスプに最新鋭大型空母エセックスは大西洋にいる。
日本側は赤城・蒼龍が沈没。サラトガ・エンタープライズ・ホーネットを撃沈。レキシントンはテニアン島海岸に着底。と全滅に追い込み、水上砲戦で残った戦艦と重巡の砲撃でマリアナ諸島全ての飛行場を使えなくした。軍港は後で使いたいのか破壊が中途半端であった。
水上砲戦は、アメリカ空母全滅後に起きている。マリアナ諸島砲撃を目論む日本海軍と迎え撃つアメリ海軍の図であったが、グアム島の基地航空隊だけで艦隊防空は無理(それ以前に消耗している)で、小笠原に控えを置き呼び寄せた日本海軍空母艦載機から水上砲戦発生前にかなりのダメージを追わされていた。
ワシントン・ノースカロライナ・サウスダコタ・コロラド・テネシーが沈没。巡洋艦6隻と駆逐艦8隻が沈んでいる。
砲戦での日本側喪失艦は、扶桑(爆沈)日向、高雄、熊野、五十鈴、神通、他駆逐艦4隻だった。連合艦隊ほぼ全力出撃であった。
日本側は「こんなことになるなら占領すべく上陸部隊を編成しておけば良かった」と後の祭りだった。損傷艦も多く、航空機の消耗も多いことから最低限の戦力を揃えての最出撃には2ヶ月以上掛かるものと思われる。
アメリカ海軍は主力空母4隻と新鋭戦艦3隻喪失のショックが大きく、建艦計画に大きな影響を与える。
次回更新 5月17日。05:00。
1943年後半部分です。




