表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

『迷惑な大地』  風雲急を告げる1941年  

1941年は東西で緊張が高まり、風雲急を告げる。


1941年

アメリカ合衆国、対日禁輸政策開始


 日本へ石油と鉱工業製品の輸出を禁止した。



 自国主義のアメリカ合衆国と国際連盟遵守の日本で中国に関する何回かの交渉を行ったが、物別れに終わる。

 前年より国連決議に基づきアメリカ発中国支援物資の日本国内国際海峡通過を認めていないため、この解除を求めるアメリカ合衆国と過剰な支援を止めるように促す日本との対立だった。日本国内は千島列島から台湾までとなる。

 日本に言うことを聞かせるための対日禁輸政策だが、石油はシベリア油田があり南方からの輸入も可能で困らなくなっていた。満州油田から入手できる可能性すらもある。

 そのシベリア油田からアメリカ企業が撤退していく。投資した設備などは残った企業とシベリア共和国政府が買い取った。

 日本として屑鉄の禁輸は結構困るが、製鉄所の能力増強を行っている日本に対して切り札とはならない。

 一番困ったのは自動車部品禁輸であった。フォードとGMの日本国内製造が困難となった。日本国内で製造していない部品だけであるが、足りなければ完成しない。これにより日本国内のフォードとGMは操業停止に追い込まれた。両者で年間5万台を生産しており年産15万台という日本自動車産業にとって生産量が三分の二になる一大事だった。特に高級車と大型トラックの技術格差は歴然で輸送機器業界は困るのだった。両社がアメリカ政府の圧力にも負けず製造を続けていてくれたが、ここまでのようだった。関係者一同は残念だったが両社の努力に感謝する。

 両社工場を日本企業が買収するが両者の最新車両をそのまま製造することはアメリカ政府によって許可されておらず、旧型車のみ製造が許される契約だった。旧型車とはいえ日本製の部品では両社の要求水準を満たしておらず、車両の性能低下と故障率増加が予想された。

 高性能なアメリカ製タイヤも禁輸対象であり、電装品共々イギリス製やフランス製に切り替えるなどしていく。輸送費が掛かり値段が上がった。


 日本では大韓国にアメリカ陸軍が確認されたことから軍事支援であるとして、大韓国向け物資も日本国内国際海峡の通過を制限。

 大韓国には条約違反であるとして、大韓国とアメリカ合衆国にアメリカ陸軍の国外退去を求める。また、アメリカ陸軍の国外退去が行われない場合【 融資の停止と引き上げに大韓国が持つ日本国内資産の凍結をする 】という警告を、回答期限を年内12月01日に切って行った。 


 アメリカ政府、反発を強め自国内で反日キャンペーンを強化する。


 アメリカ海軍、両洋艦隊をさらに拡充する計画を立てる。


 日本海軍、危機感を強め⑤計画を企画。


 イギリス海軍、艦隊計画を見つめ直す。


 ドイツ、オーストリア併合をする。オーストリア側も受け入れてのことで武力で強制したのではないために国際連盟は文句も言えない。


 ドイツ、イタリアに接近するも同盟は結ばれず。


 スペイン国内安定する。が、すぐに大事件が起きる。


 フランス、突然革命が起きる。

 フランスで市庁舎や国会議事堂などが占拠される。レノー首相ほか首脳陣も囚われの身となる。

 新市民革命と名乗り、運動員は赤い腕章を巻いている。勢力がほぼ無くなったと思われたボリシェヴィキの復活だった。

 ただこれまでの強硬な主義主張を引っ込め、実に耳障りの良い主義主張を並べている。

 深く潜って時間を掛けたのだろう。左寄り傾向のあるフランス社会に浸透していたようで全土に革命運動が広がるのが早かった。内戦とまでは行かないが、武力衝突はそこかしこで起こっている。

 指導者は名をトロツキーと称しているが、本物かどうかは不明であった。

 イギリスは静観をした。様子見に徹するようだ。海があるからだろう。フランス空軍やフランス海軍なら圧倒できるから余計に余裕があるのかもしれない。

 しかし、陸で接するスペイン、ベルギー、ドイツ、イタリア、スイスにとってはたまったものではなかった。いつ自国に侵入してくるかわからないのだ。現に難民が多数発生し越境避難してきている。スイスとイタリアは難民対策として国境を閉鎖した。 

 フランスで新市民革命が成功した。しかし、体制が大きく変わっていない。共産主義や社会主義を前面に出してはいない。あくまでも行き過ぎる自由資本主義を社会主義概念により抑制し市民へ富の分配を増やすという主義主張だった。

 周辺各国とも今の内だけだろうという予測はしている。


 対フランス対策として独伊防共協定が結ばれた。後にベルギーも参加する。


 アメリカ合衆国、フランス新政権と国交開始。世界が驚いた。自由資本主義の牙城であるアメリカ合衆国がである。どういった思惑があるのかはわからないが、一大事だった。


 イタリア、リビア油田操業開始。


 イギリス、エジプトを始めとする中近東の植民地解放を始める。1948年に完了予定。インドも1948年に解放予定。ただし、様々な契約で縛りイギリスに不利にならないよう立ち回る。特に重要なスエズ権益と石油権益は死守する模様。

 これはロシア内戦後のスタン3国独立が強く影響した。イギリスの想定以上に独立気運が高まってきていたために、独立紛争という経済的人的損害が膨らむ前に損害をなくそうとイギリス政府が考えたためである。


 アメリカ合衆国、レンドリース法成立。


 大連発八幡行き日本船籍バラ積み貨物船とアメリカ海軍駆逐艦が黄海の公海上で衝突事故。調査の結果、事故当時は雨天の日没時間で視界不良の中、駆逐艦の見張り不十分とされたが日米の緊張高まる。

 駆逐艦はマニラから天津へ向かう商船団の護衛に付いていた。平時に不必要な船団と護衛であり、背景に不穏さを感じさせる。


 パレスチナで大規模な軍事衝突起きる。パレスチナ側に民間人犠牲者多数。アメリカ義勇軍とユダヤ人入植者は『誤射』と言い張るも、現地にパレスチナ側武装勢力が確認されておらず攻撃は故意と国際的に認定される。国際連盟加盟国のみならず非加盟国からも非難を浴びたアメリカ合衆国は孤立を深めていく。

 この事件をきっかけにヨーロッパでユダヤ人排疎気運が高まる。


 ロシア連邦から国際共同軍撤退。ロシア連邦の政治姿勢と統治姿勢の変換をやや強引に推し進め早めの撤退となった。ロシア連邦の軍事力は厳しく制限された。急いだのは国際共同軍内でのフランス軍の動きを警戒したためである。


 中国国内で国民党がアメリカの支援下であるが国土の7割近くを掌握。1940年初頭は5割程度まで減っていた。国民党からはアメリカ義勇軍、特に航空部隊フライングシャークスがかなり重要視されている。


 日満防衛条約成立。片務的では無く原則相互支援を基本とする。ただし、どちらかが相手に先制攻撃した場合は無効となる。要するに対中対米防衛体制の構築だった。満州は油田を狙われていと考えているし、事実だろう。

 

 アルザス・ロレーヌ地方で反革命勢力が独立宣言。ドイツに救援要請を出す。


 フランス、カサブランカとメルス・エル・ケビール(オラン)へのアメリカ海軍艦艇寄港認める。

 情報筋はイスラエル支援とフランス支援を強化するためと捉えている。


 大韓国、日本からの通告に対する回答を期限内にせず。日本は大韓国への新規融資停止と融資引き上げと大韓国が持つ日本国内資産凍結を実施。 


 大韓国、金融不安となり取り付け騒ぎ広がる。国内各所の機能が麻痺。政情不安に発展。

 大韓国駐留米軍、自国民保護のためとし事態沈静に動く。

 日本、アメリカ合衆国に大韓国内で米軍が活動をやり過ぎないように申し入れる。

 アメリカ合衆国からの回答は【 あくまでも自国民保護と自国資産保護のためであり、それ以上のことは行わない 】と返ってきた。


 大韓国日本大使館襲撃を受ける。時期を置かず釜山日本総領事館襲撃を受ける。

 相次いだ日本公館襲撃に、国際法違反であるから厳正に対処するよう大韓国に求める。

 大韓国の回答は【 融資の再開と資産凍結解除をするように 】かなり斜めの回答であった。

 日本国内では大韓国に対する政府の対応が甘いと騒ぎになる。

 日本、在留大韓国人に国外退去を来年1月31日までに行うよう命令する。既に帰化している半島出身者は除く。

 大韓国在留邦人に対して帰国命令を出す。企業・法人にも速やかに引き上げるよう命令した。


 12月。エルサレム郊外でユダヤ人入植者と支援のアメリカ義勇軍がパレスチナ武装勢力と大規模衝突。戦闘は拡大し現地住民にも多数の死傷者出る。双方で1000人以上の死者が出たものと報道される。ほぼ旧式小銃のみのパレスチナ武装勢力に対して、ユダヤ人入植者とアメリカ義勇軍は装甲車や重機関銃まで持ち出しての戦闘だったと写真付きで報道される。戦場を取材していた記者にも犠牲者が出た。

 装甲車がアメリカ陸軍で採用されたばかりの現行制式兵器M2A4装甲車なうえに星のマークが入っていたことから問題になる。アメリカ側は払い下げで消し忘れてしまったと苦しい弁明をする。誰が最新兵器を払い下げるのだろう。

 国際連盟のみならず国際社会がアメリカ合衆国に抗議と非難をする。

 アメリカ合衆国は抗議と非難に対して、自分は正しいキャンペーンを国内で展開。ユダヤ系資本が特に活発な動きをする。アメリカ合衆国では国内気運が急速に右傾化、対外戦争も辞さずの雰囲気になっていく。軍に入ろうキャンペーンも展開。新兵の獲得に躍起となる。

 各国ではアメリカ合衆国の姿勢とアメリカ軍が急速に拡張することで警戒感を強める。特にカナダとメキシコでは脅威と受け止められる。

 ヨーロッパ各国はこの事態にアメリカ合衆国へ抗議と重大な懸念を伝える。フランスも一応表明した。



次回更新、5月11日 05:00。1942年創りました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
迷惑な北米大陸w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ