表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

『迷惑な大地』 1920年~1933年

1920年

国際連盟が正式に発足



 ロシア国内で武装蜂起が起きる。政治的に決着が付かずテロルの繰り返しになっている現状を武力で打開しようとした勢力によるものだった。


 日米の監視団は、さすがに任務外である上にせいぜい盗賊集団程度を相手取る戦力しかない。監視任務と自衛以外は傍観するしかないが、国際的な問題になるのを恐れてか手を出されなかった。


 ロシア国内では対抗上立ち上がったいくつかの勢力が消え、また飽きずもせずにいくつかの勢力が出現した。ボリシェヴィキは弱体化し、残っていた主要メンバーの多くは暗殺されたか国外逃走をしていた。トロツキーはしぶとかった。しかし、国外逃走をした彼が表舞台に出てくることは二度と無かった。


 やがて1921年夏には3個の勢力となった。


 自由ロシア

 ロシア共和国

 シベリア共和国


 自由ロシアはロシア全土はおろかロシアから独立し国際的に認められている国までロシアであり統一するとスローガンを掲げている。

 ロシア共和国はとりあえず現状のロシアを統一するというスローガンだ。ベラルーシとウクライナはロシアと言っているが。

 シベリア共和国はモスクワ周辺の勢力争いに嫌気が差し、ウラル山脈以東の土地で自由にやろうと考えている勢力だった。そこから西は勝手にやれと。


 当然、国際連盟となった連合国中心の国々はシベリア共和国以外歓迎しない。そこでシベリア共和国には早々と国家承認を行ってしまう。シベリアの主張する範囲に自由ロシアの勢力もロシア共和国の勢力も居なかったからだ。シベリア共和国には知識階級が多く参加しており、連合国や国際連盟との折衝がスムーズに進んだ影響もある。

 エカテリンブルグとニコラエフスクにはモスクワから退避してきたニコライ2世を始めとする旧王朝一族多数も居るが、政治には関わらないとして生活をしていた。いやでも関わらざるを得ないだろうが今はおとなしくしている時期だと考えているか、もう二度とやるものかと考えているのかはわからない。


 シベリア共和国の早すぎる国家承認に自由ロシアとロシア共和国は文句を言うが、国際連盟は相手にしなかった。相手にしないどころか「どちらが正当ロシアなのか」と煽った。勿論、どちらにもウラル以東と独立国家への干渉と主権を認めなかった。


 ロシア国内の混乱はウラル山脈以西に限られていく。


 ロシア国内の混乱が落ち着いたのはされに2年後の1923年夏まで掛かった。

 ついに統合する勢力は現れなかった。

 姿勢を変えなかった自由ロシアはどの外国の支援も受けられずに衰退。勢力を弱め【 ロシアの風 】という勢力が自由ロシアの主義主張と内規を変えて組織を乗っ取った。自由ロシアは無くなった。新たな国家名は【 ロシア連邦 】と名乗った。

 ロシア共和国は支援を得るために、独立国とチュメニ以東に干渉もしないし主権を主張しないと表明し生き残った。

 ウラル山脈以西のロシアを2つの勢力が分割した。これは国連でも承認され多くの国から正式に国家として認められた。

 

 ロシア連邦の領土は、クルクス-ヴォロネジ-サランクス-ニジニ・ノブゴロド-コトラス-アルハン・ゲリスクが南とに東になる。

 ロシア共和国の領土はウラル以西とロシア連邦以外の部分となった。ロシア共和国がモスクワ周辺を手にしていないので不利に思われるが、ボルガ川流域のほとんどと黒海とカスピ海に面した部分を有している。ロシアの暖かい部分と重要な地点を占めていると言ってもいい。



 国際連盟は発足したものの当初より言い出しっぺのアメリカ合衆国が参加しないなど前途は多難だった。また参加国の足並みは発足時より乱れており「最大の功績はロシア分割だ」などと言われることもあった。人種差別撤廃を唱える日本とそれでは困る他の国では立場や考え方の違いは明白だった。

 また国際紛争に武力介入も辞さずの姿勢であったが、最大の経済力と軍事力を持つアメリカ合衆国が参加していないことで実効性が乏しくうまく機能しなかった。

 しかし、国際連盟が創設した様々な機関や主体となった国際条約は多大な功績を残すことに成功している。 


 

 アメリカ合衆国国内で赤狩りが始まる。赤狩り勢力に監視任務から帰還した陸軍兵を中心にボリシェヴィキの脅威と破壊活動が伝わり、厳しいものとなった。

 アメリカ合衆国国内でボリシェヴィキの社会主義勢力や共産党勢力は急速にしぼんでいく。

 日本にも伝わったが、表で活動している人間がそれほど過激でなかったことから盛り上がりはなかった。しかし、隠れて活動している人間に公安関係でかなり厳しい監視が行われるようになり衰退していく。

 ボリシェヴィキは勢力の中心であったロシアでボリシェヴィキ排除がされ、中心人物のレーニンも死亡しトロツキーも所在不明とあって国際的に求心力をなくし、各国独自の運動をするようになっていく。世界革命など戯言となった。



----------------------------------


1921年

日英同盟解消


 これは日本・イギリス・フランス・アメリカ合衆国の4カ国で結ばれた条約の関係で、表向きは太平洋の平和に関するもの条約であった。


----------------------------------


1922年

ワシントン会議


 ワシントン海軍軍縮条約交渉開始。


 世界初の糖尿病患者に対するインシュリン注射がカナダで行われた。


 江崎グリコ創設


 アメリカ海軍で空母ラングレー就役。給炭艦からの改造で新規建造ではない。


 鳳翔就役。世界で初めて空母として設計・建造された艦。この名を取るためにかなりの無理と実用性を考えない設計がなされた。


----------------------------------


1923年

ワシントン海軍軍縮条約成立


 

 未成戦艦の取り扱いで揉めるが、条約成立時の完成度で決めるとされた。具体的には公的試験完了と主要装備の搭載である。

 各国で条約型巡洋艦建造始まる。


 関東大震災起きる。


 陸奥は在日武官による国際視察団によって完成と認められず。世界の海軍で40センチ砲搭載艦は長門とメリーランドの2隻だけとなる。完成と認められなかったのは主要装備である測距儀の非搭載と公的検査の船舶検査未了が理由とされた。突貫工事でも間に合わなかった。アメリカはコロラドとウェストバージニアが工事中止となった。


 トルコ革命でオスマン帝国の帝政廃止とトルコ共和国の樹立が宣言される。国際連盟はトルコ共和国を承認した。


 国際刑事警察機構インターポール発足。日本から第四代銭形が派遣される。


 第1回ル・マン24時間レース。


----------------------------------


1924年

阪神甲子園球場竣工


 孫文が神戸市で大アジア主義講演を行う。


 岩国のシロヘビが国天然記念物に指定。


----------------------------------


1925年

水俣漁業組合、日窒水俣工場に工場廃水による被害補償要求


 細井和喜蔵『女工哀史』刊行。


----------------------------------


1926年

アメージング・ストーリーズ創刊

 

 世界初のSF専門誌であるアメージング・ストーリーズがアメリカで発刊。


 ゴダードの液体燃料ロケット発射成功。


 NHK設立。


 明治ミルクチョコレート発売。


 高柳健次郎、電子式テレビ受像機を開発。


 アガサ・クリスティ失踪事件。まさにミステリーである。


 大正天皇崩御。


----------------------------------


1927年 

[ 青い目の人形 ]アメリカから送られる


 日本からも答礼人形が送られた。


 中国で租界に対する襲撃相次ぐ。日米英仏とも軍を派遣。


 南京事件起こる。外国領事館襲撃で海外から蒋介石に対する不満高まる。


 日本で兵役法が発布。徴兵令廃止される。徴兵制が時勢に合わせて近代的になった。


 昭和金融恐慌起き、日本国内で取り付け騒ぎ起きる。 


 空母赤城、驚異の三段空母として竣工。イギリスもあっと驚く。このスタイルは後年様々な物語に導入され模型などで人気出る。


----------------------------------


1928年

岡部金治郎、マグネトロンの特許を取得


 キリンレモン販売開始。


 全府県警察部に特別高等警察設置。


 アレクサンダー・フレミングがペニシリンを発明。


 ドイツでヒトラーが労働党を率いて野党第2党に躍り出る。


 ラジオ体操、放送開始。


----------------------------------


1929年

アメリカ株価大暴落


 アメリカ株価大暴落は世界恐慌へと発達。


 花園ラグビー場開設。

 

----------------------------------


1930年

アメリカ発世界恐慌


 ロンドン海軍軍縮会議。

 各国とも世界恐慌の影響が大きく、概ね原案通りの結果となる。

 日本海軍内部で一部強硬派が騒ぐが、金(海軍予算)が無いから建造を抑えているのだ。造りたいなら俸給を全て建造費に捧げよと言われ大人しくなる。根性無しと見られ出世に響いた。


 統帥権干犯問題が発生も、統帥権保持者により否定される。問題と言い出した連中は勢力を弱める。


 ガンディーが不服従による抗議活動開始。


 アメリカで世界初のスチュワーデス誕生。


 第1回FIFAワールドカップ開催。


 『西部戦線異状なし』公開される。


 空母加賀竣工。1928年に赤城と同じく三段空母として竣工予定であったが、赤城が航空機にも乗り組み員にもあまりに使いづらく工期を延ばして設計変更。全通甲板を最上部に備えた空母である。20センチ砲は撤去された。赤城より使いやすく居住性も良いと評判。


----------------------------------


1931年

『のらくろ』連載開始


 新潟で水稲農林1号開発される。コシヒカリへの道は開かれた。


 エンパイア・ステート・ビルディング完成。


 国鉄、試験的にコンテナの取り扱い開始。


 中国各地で大規模洪水が起きる。死者は直接的な死者で推定20万人。その後の飢餓や疫病などで300万人前後が死亡したとされる。中国の統計は都合の悪い数を少なくするのが通例なので信用できない。死者の中に、それ以外の死者も混ぜているとの報告もある。 


 ヒトラー。労働党をナチス党と改名。野党第1党に。ナチス党提案の超高規格道路建設始まる。部分的に2キロもの直線を設けた全線上下三車線、計六車線とすることで通行の円滑化と高速化を図るというものだった。信号や交差点もなくしている。地域生活者のために跨道橋や地下道を多数設置し、地域が分断されないよう配慮もされた。


----------------------------------


1932年

五・一五事件


 海軍若手士官による反乱事件。犬養首相暗殺などが起きる。

 ロンドン海軍軍縮条約不満派が中心となるも、賛同者が少なく情報が漏れたこともあり直ちに鎮圧される。海軍条約派と政府高官は処分を軽く済ませようとする艦隊派や賛同者と対立。結局、厳しい処分を科したことで海軍内部の軋轢深まる。


 赤城、大改装に入る。全通甲板化と20センチ砲撤去など加賀と同じ内容になる。


 チャップリン来日。


----------------------------------


1933年

小林多喜二、特高により拷問惨殺される。


 小林多喜二惨殺事件を重く見た政府は、特別高等警察と上部機関である内務省解体を決定。


 中国で外国勢力排斥運動高まる。各地で外国軍隊との衝突起きる。


 アメリカで金本位制廃止。


 丹那トンネル貫通。


 国鉄、コンテナの種類を増やしコンテナ貨物の取り扱い増量。


 パレスチナでユダヤ人入植者と在住者が衝突。イギリスは介入し仲裁を図るが双方とも聞かず。イギリスはムスリム圏植民地の処遇に悩んでおり(主にスタン3国の影響)ユダヤ人の味方も出来なかった。ユダヤ人入植者は縁続きのユダヤ系アメリカ人を頼る。


 アメリカ合衆国、禁酒法廃止。


 ナチス党党首ヒトラー著『我が闘争』日本で翻訳発売される。ほぼ正確に翻訳されており、ヒトラーに対する嫌悪感出る。



次話投稿、5月04日05:00。

次話も年表風味。

5月05日投稿予約分は、③計画。

おかしくなった③計画です。


ロシアは3分割です。もっと増やそうと思いましたが作者では書き切れないはず。ウラル山脈から西が大雑把にシベリア。

この頃はまだシベリアの膨大な地下資源がそれほど意識されていなかったと思います。チュメニ油田も1953年以降とありますね。


ロシアがソビエトとならなかったために中欧から東欧・南欧は平和です。アゼルバイジャンも平和。

ロシアの脅威がほぼ無くなったので、朝鮮半島が金食い虫として日本の重しになってきています。満州にはロシアの脅威が無いので武力進出していません。満州事件は起こらず張作霖爆殺事件も起こしていません。満鉄は有ります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ