大天使の妻、姉達
◾扉を押して入り、感想を言う前大きな声でアリシアを呼ぶ声がしたかと思うと海斗の絶対感覚に何かが引っ掛かり、チェンジの魔法で自分の位置とアリシアの位置を入れ換えた。
「え?ごふっ」
◾何かが飛んできて、アリシアへぶつかり扉がしまった。
「イッターイ」
「アリシアちゃん!アリシアちゃん!」
◾背後を見るとアリシアより少し年上の印象を受ける姉の用な人が抱きついて、何度もアリシアの名を呼んで頬ずりしている。アリシアに誰か聞く前に答えはでた。
「ちょっとママ、苦し離れて!」
「いやよ~久しぶりのアリシアちゃんだも~ん」
「苦しいから!と言うか団長、ママが飛んでくるのわかってて、私と自分位置を入れ換えましたね!?」
「団長?へぇー貴方が」
◾抱きついてる母が海斗を見た。
『どうも、アリシア一つ訂正だ』
「なんですか!?」
『確かに、声のした瞬間何かが飛んでくるのはわかった。それは認めよう』
「でしょうね!!」
『それが、お前を傷つけたりする害意のある物ならしなかった。でもそうじゃなかった。それがお前の母親で、ましてや、アリシアと叫んでるのに、俺に向かって飛んでくるなんて思ってなかった』
「え?団長に向かって?」
「ありゃ、バレちゃってるのか、流石七つの大罪の団長さんね。アリシアちゃんが惚れて、夫にするだけあるわ~」
「ちょっとママ恥ずかしいから、どう言う事団長に抱き付くつもりだったの!?」
「そうね。息子になった子とのスキンシップよぉ~まさか、交わされるとは思ってなかったけど」
「ママ!」
「さて、行きましょ。ここじゃリヤン君も顔を見せれないのは、アリシアちゃんから聞いてるから、私の部屋に行きましょう。他の子もよんであるから、ささこっちよぉ~」
◾何か一方的に主導権を握られ、アリシアの母親が背を向け付いてくるように促した。
『なんか、お前の母親別の意味でスゲーな』
「ごめんなさい。あんなママで」
『にしても、そこに実力もあるとは恐れ入る』
「どういう意味ですか?」
『俺がチェンジでお前と位置を入れ換えた時、お前の母親は反射的にか反応して、俺に抱きつく事はできた』
「本当ですか?」
『あぁ、アリシアって叫んでなかったら、チェンジで入れ換えても避けれなかったかもな』
「そうですか……」
『安心しろ、それはあくまで進化する前の俺ならの話だ』
「え?じゃぁ団長は、その先もわかってたんですか!?」
『勿論、その場合一番遠くにいる使用人とチェンジするつもりだった』
「団長、相変わらず貴方感知は人どころか天使やエルフを越えてますよ。恐いですよ」
『嫌いなっても良いぜ?』
「そんなことはありえません。行きますよ」
『はいはい』
◾招かれて入った部屋は全面ピンク、それも照明から飾られてある絵すらピンクだった。
『お前の母親若いな、俺こんな部屋初めて見た。壁紙や天井に床は兎も角、絵もピンクってあんな絵あるんだな』
◾アリシアは恥ずかしいのか手で顔を隠して謝る。そして母親の横にアリシアが座り、対面する形で海斗が座った。
「これで顔を見せてくれるかしら?」
『その前に、リヤンフィールド』
「団長それは!!」
『黙れアリシア』
「くっ」
「どうしたの?アリシアちゃん」
「ママこれは」
『お母さん俺が説明します。この魔法はこの中にいる者の魔力を強制的にゼロにする』
「魔力を?」
『えぇ、そこにいる執事みたいに』
◾母親とアリシアの間に執事服を着た天使が姿を現した。
「気がついていたの?」
『勿論、お母さんに言っておきます。俺の顔を見れるのは限られた者だけ、そこに執事は含まれない。今回はアリシアの両親と他の兄妹か姉妹達だけです。部外者は出ていって貰おう』
「私は!!」
「セバス、下がりなさい」
「ですが奥様」
「もう一度言うわよ。セバス、下がりなさい。以降私の部屋に入るもの許可を出すまで許さない」
「わかりました。失礼します」
◾執事が出ていった。
「これでいいかしら?それにこの魔法今言った効果だけではないわよね?」
『お母さん流石です。効果は此方が主体です。この魔法の領域にいる以上魔法は使えません』
「魔法が使えないって貴方も?」
『勿論例外はありません。俺も魔法は使えません』
「そんなの貴方がふりになるんじゃないの?」
『いえ、この魔法では魔法は使えませんが、スキルは使える。それにこの魔法には俺のスキルを加えてあります。ですから、外にいるアリシアに似た魔力の二人がいる事も気がつきました』
「この魔法は貴方感知能力と繋がっていて発動した貴方自信が感知できない事はない。それに魔法の領域に侵入された場合は察知もできるのかしら?」
『ご明察です。魔法の領域範囲は言えませんが、今この場にいる以上、俺の感知に引っ掛からない者はない。もし感知に引っ掛かった場合、お母さんと言え罰則を化せられる可能性があるとご理解ください』
「なるほどね。慎重なのかそれとも臆病なのかしら?」
『ご自由にお考えください。外の二人はおいておいて、では、四大天使の妻、アリアリア様改めてまして、七つの大罪リヤン事、表の名は工藤海斗と申します』
◾仮面を机において素顔をさらした。
「凛々しい顔をしていたのね。アリシアちゃんが惚れたのもわかるわ」
「ママってばー!」
「恐れ入ります。それで外にいる二人は何者なのでしょうか?アリシアに魔力が似ているようですが、アリシアから聞いた家族の数と外にいる二人がアリシアの言っていた事と矛盾するんですが?」
「魔法は少なくとも、この家は包まれているようね。凄いわ」
「アリシアから聞いてるのは兄が二人、妹が二人のアリシアをいれ、五人、妹さんらしい二人は感知してます。アリシアの兄は父親に支えてるから、いるはずがない。なら、この二人はだれか?これが違和感の正体でしたか」
「違和感?」
「アリシアの説明ではこの本邸以外の両サイドの家は妹や兄の家だと聞いてます。それなら五件でいいはず、なのに七件あった。つまり、何故かアリシアは俺にこの二人の存在を隠している事になります」
「そうですか、リヤン、いえ工藤海斗、勝負をしましょう」
◾目付きが鋭くなり、魔法を発動出来ない筈が、少し出ている気がする。
「勝負?闘うのですか?」
「いえ、貴方の実力はわかりました。私では適わないでしょう。だから外にいる二人を呼んで勝負をしたいの」
「二人呼んで?どういう意味ですか?」
「断っておきます。外にいるのは、アリシアの姉二人です。れっきとした家族です。家族と思ったから、貴方の顔を見られても問題ないと顔を明かしてくれたのでしょう」
「ですね。勝負には必要なら呼んで貰って良いですよ」
「ありがとう、少し目を瞑っててくれるかしら?」
「目を?」
「えぇ良いと言うまで開けないで」
「わかりました」
◾目を瞑ると母親に招かれて二人が入ってきて、アリシアも立って三人の足音が重なって数分したら、母親から目を開けて良いと言われた。
「え?」
◾目の前に服、顔、髪型も同じアリシアが並んで立っていた。
「三つ子ですか?」
「そうよ。勝負の内容はこの三人から一度でアリシアちゃんの手を取る事、私はね。アリシアちゃんを愛してる。だから、本物のアリシアちゃんを見極められない男にアリシアちゃんはあげられない」
「なるほど、アリシアが隠していたのはこの勝負をするためですか、お母さんは俺が人属だから反対しないんですか?」
「私は主人より人属は嫌ってはないわ。それに自分の娘の見る目は信じている。後姉二人も私と同じ意見よ。もし外したら別れてもらいます」
「そうですか、俺的にそっちが良いんですが本気で言ったらアリシアに怒られますね。受けましょう、その勝負を」
「質問は三つまで許可します」
◾海斗はそれを聞いて笑ってしまう
「どうかした?」
「いえ。俺もなめられたモノだと思いましてね。質問は一つで充分ですよ。それに既にわかってますし」
「一つ!?本当にいいの?」
「かまいませんよ。俺は臆病なんで念のためです」
「じゃあ初めて頂戴」
「はいアリシア」
〖はい〗
◾海斗は返事に少し驚き椅子が少し後ろに下がった。
〖団長?〗
「悪い悪い、三人ともアリシアのていなんだから同時に返事をするのは当然だ。それに声も似てるとは二重の意味で驚いた。三人にする質問は一つ、御姉様方にいっておきます。この質問の答えは覚えています。とアリシアなら答えます必ず」
「そんな事教えちゃってもいいの?」
「かまいませんよ。お母さん、言ったでしょ。既にわかっていると」
「そう続けて」
「遠慮なく、アリシア、俺がシルフィー達に言った事覚えているか?俺が個人でなく七つの大罪としてのプライドみたいなものだ」
〖覚えています〗
「なるほど、なるほど、流石三つ子ですね、面白いですね」
「じゃあ手を取って貰えるかしら?」
「わかりました」
◾迷わず立ち上がり、真ん中のアリシアの手を取った。
「お前だアリシア」
「団長」
◾アリシアの目が少しうるんだ。
「何故その子だと思ったのかしら」
「確かに足音、魔力、体型、顔からの区別は不可能でしょう。この三人はかなり似てますから流石三つ子ですね」
「じゃあどうして?」
「愚問ですね。それは俺が七つの大罪としてプライドがあるからですよ」
「七つの大罪としてのプライド?」
「えぇ、俺は七種属を纏める七つの大罪の長、リヤンでもあります。俺が団員を見間違う事はありません。それが例え三つ子の御姉様達であれ、例外はありません」
「そう」
「答えは?聞くまでもないでしょうが」
「正解よ」
「なんなら、御姉様方も当てましょうか?」
「できるの?」
「ここからは、アリシアの話と家系の噂を信じるならの話になってきますけどね」
「やってみて頂戴」
「わかりました。アリシアの右が長女、左が次女ですかね?」
◾母親は見事に当てられ、言葉をなくしていた。すると左のアリシアが笑いながら床を転がりだした。
「凄い、凄いよ弟君、なんで、なんでわかったの?」
「あー」
「ん?そっか名前か、私は次女のスティシア、長女はサティシアよ」
「スティシア姉さん。簡単ですよ。サティシア姉さんの立ち姿はキレイすぎた」
「立ち姿?」
「団長、それじゃ私の立ち姿がキレイじゃないみたいじゃないですか!」
「サティシア姉さんと比べたら汚いなお前の立ち姿はな」
「ちょっと!」
「それは悪い意味じゃない」
「ならどういう意味ですか!!」
「それは重心って意味でだよ」
「重心?」
「サティシア姉さんは弓の使い手だろ。重心がしっかりして、頭の位置もブレを感じなかった。アリシアお前の戦闘スタイル上、そんな事はまずあり得ない。何故なら、短剣使いは必ずどちらかに重心がよるからだ」
「なるほど、そう言う意味でしたか」
「じゃあ、サティシアお姉ちゃんの事はわかった。私とアリシアを見分けたのは?それも重心なの?」
「そうですね。基本武器を使い闘う者に良く見られるんですが、利き手、または利き足の方に少しですが偏りがあるんです。スティシアお姉さん。貴方は左利きですね」
「大正解」
「アリシアは右利きです。そうなると一人しかいなかった。極めつけは質問ですよ」
「ん?ちゃんと答えた筈だけど?」
「そうですね。同時でタイミング、声量、完璧でした」
「じゃあどうして?」
「俺を見る目ですよ。その質問をした時のアリシアの真剣な目で確信しました。真ん中がアリシアだと」
「そっか、それは無理だわ。私やサティシアお姉ちゃんにそんな目は出来ない。にしも、まさか、三人とも当てちゃうなんて、凄いよ弟君。ねっサティシアお姉ちゃん」
「だね。正直驚いた。アリシアちゃんと私達を見分けたのは当然かもだけど、私とスチィシアちゃんまで見分けるなんて」
「サティシアお姉さん。これは俺のかなり興味本意な事なんですが、手を見せてくれませんか?」
「手?いいですけど」
「では、失礼して」
◾迷わずサティシアの手を取りじっくり観察を始め次の言葉はアリシアを含め全員を驚愕させた。
「なるほど、サティシアお姉さんは聖弓の使い手ですか」
◾全員が言葉を失っていた。