ハーレム
◼️四天王を殺して二日経ち、アリシアと添い寝を始めて三日目の夜の事だ。いつも通り背中に抱き付こうとしてたら、海斗がアリシアの方を向いて、海斗の方から抱き締められた。一瞬困惑したアリシアが声を上げたのは次の瞬間である。
「だ、だ、だ、団長!どうしたんだふか?」
◼️いつもの倍は緊張してしまい語尾がおかしくなる。それからの返事も答えも少し変になっていく。
「アリシア、一度しか言わないが聞いてくれるか?」
「ふぁい!!」
「お前から言ってもらって、男の俺が言わないのは違うならな、アリシア、俺と……結婚してくれ」
◼️緊張の糸が切れ、思考が一時停止してから嬉しさが溢れてくる。
「本気ですか?」
「本気だ。俺はお前が好きだ。俺の妻になって欲しい」
◼️アリシア目から涙が溢れる。海斗は面と向かって言うのは恥ずかしいからアリシアを抱き締めたから顔は見えてない。
「アリシア?」
「団長……嬉しいです……七つの大罪に入れた時以上に……私は……貴方を目標にして今までやってきました……でも……今回……四天王が現れた……何も出来なかった……好きな人を見送る……それしか出来なかった……私は弱いから……」
「お前は弱くない。シルフィーから聞いた。お前、セフィーロで俺を知ったんだってな」
「はい」
「シルフィーの考えとな違ってな、今超天使であるお前が数年前とは言え、セフィーロで起こった事件で捕まってたとは俺は思えなかった。真相は、お前は捕まる下級天使達を助ける為にセフィーロに行き、ゼロフィールドに捕まってしまったんじゃないか?」
「凄いですね……団長は……その通りです……なんで……わかったんですか?」
「アイツらは、幾つもの天使対策をしてたからな、その中にゼロフィールド、天使限定で通用し一時的とは言え強制的に魔力をゼロにする魔法だ。一度入れば、自らの身体能力で出るしか方法はない。アリシア確かにお前は短剣使いだが、本質は天使属に良く見られる魔法系、魔法系の天使属は魔法が絶対と思って疑わない場合が多い。今では短剣と魔法両方を同じくらい使えるが、当時のお前がそうだった可能性は低い、実際七つの大罪に入ってからの特訓は魔法だけに奢らず、短剣の訓練が多かったのがその証拠だ」
「私……嬉しいです……団長は……私を……女としても……団員としも……見てくれてない……そう思ってました……。団長は……この三日間……手を出してくれなかったし……団長は強い人にしか……興味がないから………でも……私の訓練内容まで覚えていてくれたなんて」
「なめるなよ。俺は七つの大罪の団長だぞ。俺がもの覚えが悪いとは言えな」
「でも……セフィーロで合ってたのに……最初団長と話した時……私の事……忘れてましたよね?」
「それは……だな……」
「初めまして……そう……言われました」
「……なんか……どうも戦闘モードになると周囲を見る能力が下がるみたいで……あの……すまん」
「知ってます……良いですよ……許してあげます」
「あのアリシア、俺の告白の返事聞かせてくれるか?」
「はい……私を団長の……海斗さんの妻にして下さい……」
◼️抱き締めていたアリシアを少し放して、唇を重ねようとしたまさにその時、シルフィー、ガークス、サイゼルが扉を付き破って入ってきた。
「良かったねアリシア、団長も褒めて上げます」
「シルフィー!?」
「シルフィー、なんのつもりだ!二人を連れていきなり来やがって!!」
「私はこの時を待ってたんです!!」
「はぁ!?」
「団長も私の作戦には気づかなかったようですね」
「作戦……だと……なんの!?」
「私達は、今サイゼルにある命令件を使います!!」
「意味がわからんぞ!」
「私とガークスの命令件が亡くなったのは想定外でしたが、今はいいです。サイゼル命令を!!」
「オッケー!団長!!」
「なんだよ!」
「第二婦人シルフィー、第三婦人をガークス、第四婦人を私にしなさい!!!」
「てめぇー真顔で何言ってんのかわかっとるのか!?俺は王族じゃねぇーぞ!一夫多妻制なんて認められてる訳ないだろうが!!」
「それは問題ありません。団長、私確認しましたから」
「何を確認したんだよ、シルフィー」
「七つの大罪の組織図と誓約書を!」
「七つの大罪の組織図と誓約書?確かにあるが、それがどうした?」
「団長貴方は組織図上ではここの主となっている。七つの大罪は組織で、誓約書上は組織の頂点の団長、貴方つまり王族と同じ権限を持つと!!」
「持ってる訳ないだろ!」
「いいえ、持ってます。団長が知らないだけです。国王陛下にも確認済みです。ここを作る時そうしたと」
「……本当に?」
「じゃあ、おかしいとは思いませんか?単なる組織でしかない七つの大罪が国王陛下から命令を無視出来る事が!」
「……あの誓約書か!!」
◼️ここを作り際にある幾つもの誓約書にサインさせられ、一枚だけ魔法の刻印でサインさせられた誓約書を思い出した。当時海斗は誓約書の内容など見てはいない、ただサインしただけなのに、何故か一枚だけ魔法刻印でのサインでしか受理されないからサインをした記憶がある。
「どうやら思い出しましたね。だから貴方は言わばここでは王族の権利を持ち、一夫多妻は可能!!」
「お前、さてはこれの機会を狙ってアリシアを差し向けたな。最初からこれが狙いで、二人の命令件があれば何かしらの命令をって考えていたんだろ」
「団長は頭の回転が早いですね。何故わかったんですか?」
「お前がアリシアの気持ちに答えてあげて欲しいって言いに来た日、俺の部屋から出る時、お前はこう言ったな、私達の命令はまた後日ってな。その時点で気づくべきだった。あの日アリシアの事で頭が一杯だったから、スルーしたと言うか、そうなるようにわざと言ったんだろ」
「正解です、団長」
「シルフィー」
「ごめんね。アリシア、利用する形になって、でも第一婦人の座を譲ったんだから許して頂戴」
「シルフィーは海斗さんが好きだったの?」
「そうよ」
「だったら、なんで私に協力してくれたの!?」
「貴方が純粋で引っ込み思案な性格だったから応援したくなったの、でも自分の気持ちにも嘘はつけなかった。私は団長を最初から見てきたんですから、それも冒険者で、アイスドラゴンを倒した時から」
「?ちょっと待て!なんでお前が知ってんだ!」
「海斗さん、どうしたの?」
「確かに、アイスドラゴンは倒した。でもな、それはシルフィーの国に行く前、ブリューマウンテンを越える時だ。あの時お前はいない!合ってもいない筈だ!」
「確かに合ってはいません。直接はですけど」
「おかしいぞ、直接合ってないのになんで」
「アイスドラゴンを倒す前、ある魔物を助けませんでしたか?」
「魔物?……そんな事……あった……か?」
「クワトロスを助けませんでした?」
「クワ……トロス?……思い出した。四つの頭を持ってた魔物だ。なーんか生態系に合ってないのに、ブリューマウンテンで死にかけてて、助けてやったらしつこく付いて来てて、いつの間にか居なくなってたヤツだ」
◼️召喚魔法で部屋に四つの頭を持つ犬が召喚された。
「一番右の頭の目に傷、そいつだ!」
「私はこの子の眼を通じて、団長貴方を見ていた」
「シルフィー俺は魔物との視界共有か、リンクかわからんが出来るなんて初耳なんだが?」
「言ってませんから、女には秘密が付き物ですよ。この子の助けてくれた事にも感謝してます。ブリュードマウンテンを越え、私の国に来るまでこの子に見張らせました。そのうちに私の心は高鳴っていった。人属なのに強く、どんな種属、弱い相手には力を貸し、強いものから守り魔物にも手を貸してしまう貴方に」
「ブリュードマウンテンでは見られてた事は理解した。越えてから見られたなら、そのクワトロスが俺の感知に引っ掛からない筈がない。それは何故だ?」
「クルン変化!」
◼️吠えて一回転すると人形の姿に変わり、魔力も人とそっくりになった。
「なるほど、それで俺の感知に引っ掛かからなかったのか、当時の俺は敵意のある者や、強力な魔物を対象にしてたからな。その魔力、殺気もなければ、気配すらあやふやになった、なら引っ掛からないのも当然だ。にしてもこの世界の魔物はわからんな、転生者の俺でも良くわからんことのオンパレードとは、何が何やら、取り敢えずそれはわかった。なんで、シルフィーの企みにガークス姉さんとサイゼ姉さんまで参加してんだ?」
「だから団長はにぶちんだって言ったんですよ。ガークスとサイゼルも団長が好きだった。それだけです。強い者に引かれるのは、この世界の種属の本能かも知れませんね」
「俺の知らない内にこんな企みまでするなんてな、サイゼル姉さんはともかく、シルフィー、ガークス姉さんといつの間に仲良くなってたとは、それが驚きだ。まぁ、一番と驚いたのは俺が王族と同じ権限を持つとは……」
「団長の事ですからちゃんと見もせずにサインだけしたんでしょ!それが仇となりましたね」
「でもな!」
「往生際が悪いですよ団長、裁定時団長が出来る事なら何でもいうことを聞くとしたのも全ては、アリシアを主体とした。この時の為!」
「あぁー頭痛い、こっちも褒めておくぜ。自分の欲望を、叶える為には手段を選ばない。流石アヴァリーシアクライムだけあるわ」
◼️その言葉に三人が驚きをアリシアが声を出した。
「海斗さん待ってください。シルフィーの罪はグラ暴食です。アヴァリーシア強欲でないです」
「そうだな。これはシルフィーと俺しか知らん話だ。シルフィーの適正が一番高かったのは、虹色を示した強欲だったんだよ。だけど、シルフィーは拒否して二番目のグラをえらんだ」
「なんで?」
「シルフィーには触れた瞬間気づいたのさ。強欲が自信を壊しかねないってな。今でこそおとなしいが、シルフィーの欲望は、強欲の魔力結晶に匹敵するくらいの欲深さを持ってた。それこそ誰をどう使っても、自分の強欲を晴らす為に手段は選ばない。本当の目的は俺との結婚か?それとも今言ったアリシアを含めのハーレムか?」
◼️クワトロスを消してから自分の身体を抱き締めたはじめた。
「半分正解、私は最初団長、貴方を私の物にしたかった。でも、女心がわからず、にぶちんの団長には気づかれる事はなかった。機会がなかったら、諦めようとも思ったんですが、七つの大罪が出来て女性団員が三名で、最後にアリシアが入ってきてから状況は変わった」
「私が入って?」
「そうよ。貴方が入ってきてわかったわ。貴方が団長が好きだって」
「それを利用しようして、姉さん達も俺が好きだったから、どうにかしようって企み、お前は見事にこの状況を作りあげたって訳?」
「その通りです。私達の命令件が残っていたら今日確実に貴方を私達の者に出来た。あの日言いすぎたのを後悔してます。でも貴方は断れない!!」
◼️サイゼルとガークスが海斗好みの可愛らしい顔を作って、ダメですか?みたいな感じて見てきたので、今までバラバラだった物が一つに繋がった。
「よーくわかった。シルフィーお前能力と、この計画が、ガークス姉さんと喧嘩した時から始まってたとはな」
「その理由聞いてもいいですか?」
「勿論、なーに合ってるから心配するな、お前はガークス姉さんが俺を好き事を、赤犬の酒場の件で知ったんだろ。それで猫派か犬派かなんて嘘の理由をでっちあげた。それに当時の入り立てのサイゼル姉さんも俺の事が好きだった事から、計画進んでいった。でも俺がにぶくて、女性関係に疎いから全く進まなかった。違うか?」
「当たりです。何故そう思ったんですか?」
「何故?何故ならサイゼル姉さんなら兎も角、ガークス姉さんみたいな、頭に筋肉詰まってて不器用な女が不覚にも、俺がグッと来るそんな顔、一年やそこらで出来る訳がない!!」
「頭筋肉ってなんだ!団長!」
「黙ってろ!!」
「すいません!」
「どうだ、合ってるだろ」
「はい」
「極めつけにはお前の能力とクワトロスの変化、今回は人形だったが、俺の眼は誤魔化せないぞ、お前は召喚したふりをしてクワトロス呼んで消した!それに視覚を共有、リンク出来るなら、五感全てつなげられても不思議はない。なら簡単だ。視覚を共有した時、記録結晶にあの記録を移した。お前!聴覚共有、リンクもできるな!!そうでもしねぇーとあの角度で記録は出来ないし、お前らが入ってきたタイミングの話がつかん!!追加で言うなら俺が魔法書好きだって知ってるから、魔法書なら気づいた。でもな、クワトロスをそこの本棚の上にでも小物として置いて置いたんだろ!小物の一つや二つ増えてようが、減ってようが気づかない確信があったんだろうが!!」
「……そこまで行くと恐ろしいですね。団長の常時発動のスキル、絶対感覚でしたよね。それで私とクワンの能力と、この作戦を仕掛けていた時期までばれるなんて、思ってませんでした。絶対感覚は未来しに近い確定結果でしたよね?」
「そうだ。俺のスキル絶対感覚は俺の思考の範囲で理解、想像、実戦出来る内容を元に計算された。例外は……」
「団長が想像も出来ない事までは、その感知には引っ掛からない」
「よくわかってるな、それで何故今日この日になったのか、前々回の戦闘においてお前にとって転機が訪れた」
「海斗さん転機って?」
「アリシアそれはな、俺が魔剣握った事だよ」
「海斗さんが魔剣を握るのがわかってたの?」
「違うな、魔剣を握るの事態は想定外だろ?シルフィー」
「そうですね。まさか団長が魔剣を使用者になり、支配下にするなんて想像できまんでした」
「それがお前にとって今日この日を作る為の口実になった。何故なら、普段絶対ない七つの大罪団長の俺に四名が六つまで命令できる権利を得たんだからな。これをお前は見逃さなかった。保険までかけてな」
「保険?なんの事ですか?」
「今さらだな、シルフィーお前惚けるのは相変わらず下手なところは昔からかわらんな。何故六つにしたか、お前は自分達の心の内を暴露する事で、純粋なアリシアに残りの命令件を使わせようとしてるんだろ。アリシアなら同じ気持ちのお前らの頼み事を断らない。いや断れる筈がない。そう言う優しい心の子だ。だから六つにしただろ?訂正があるなら聞くぞ」
「訂正はないですね。本当に団長を欺くなんか不可能だと思い知りました。絶対感覚は本当に恐ろしいですね。入ってきて二人とも」
「?」
◼️ガルルとリュウジが入ってきた。
「シルフィー!お前なんなの、マジ泣きそうなんだが俺は!!」
「話はそれますが、前回バーニングの入手に失敗したのは、その絶対感覚が効かなかったからですよね」
「それがどうした?」
「それはつまり……団長の想定外の事が起こったんでしょ、それも一瞬の内に」
「そうなるわな」
「では副団長として提案致します。訓練項目に、七つの大罪六名と、団長一人の模擬戦闘を組み込むべきと!」
「俺とお前らとの模擬戦闘……」
「私は、私達は、前回みたいに足手まといになりなくない。だから、団長に私達を鍛えて貰いたく思います。既に、ガルル、リュウジ、サイゼル、ガークス承認は得てます。アリシアはどう思う?また団長の足を引っ張りたい?」
「……引っ張りたくない、私は同じ歩幅で歩いて行きたい」
「なら強くならなきゃ、また足手まといになるのはわかるわよね?」
「そうだね……うん!海斗さん、私を、私達を鍛えて下さい!」
◼️アリシアの眼は本気で、立ってる五名は頭を下げていた。
「お前ら……わかった、副団長の進言を受け、次回から団長と団員五名との模擬戦闘を訓練項目に追加する」
『了解!!』
◼️手を叩き、ガルルとリュウジに部屋を出ていく様に言う。
「もういいわよ。二人とも部屋に戻って」
「わかった、またな団長」
「失礼するでごさる」
◼️二人が部屋を出ていったのに三人は出ていかない。
「さて、アリシア、サイゼル、ガークス、私も団長が好きなの、だから副団長としてでなく、女としてのお願いしたい。サイゼルの命令と、貴方は残り二つの命令件を私達の為に使って欲しいです。お願いします」
『お願いします』
◼️三人が頭を下げるなか、アリシアは考え出すのを止める。
「アリシア、冷静に考えてくれ、俺が言った気持ちに嘘はない。だからシルフィー達の頼みをきく必要はないんなぞ。お前も一夫多妻は嫌だよな……えぇーあぁー、そのーだな」
「海斗さんは少し静かにして」
◼️真剣な表情で考えてるアリシアに止められ、返事を返すしか出来なかった。
「シルフィー、二つ質問していい?」
「何?」
「私はシルフィーから勇気を貰った。だから海斗さんとベットの中に入れる。感謝はしてる。だけど、それは私を使って海斗さんを夫にしようとしたからなの?」
「そうなるわね。私最初は王族の責務で、団長が強いから近づいた。強い祖先を残すために、でもガークスとサイゼルを見てると、それは揺らいでた。本当に合ってるのかって、頭がぐるぐるし始めた時、アリシア貴方が団員になった」
「私が?」
「えぇ、そして思ったの、貴方は純粋に海斗が好きで気づかれたくてアピールしてるのを見たら、私の考えは崩壊した。こんなの間違ってるって、確かに強い祖先は残さないといけない、でもそこに愛がなかったら意味がないって思った。そう思ったら私は自信が惨めだと思うようになってた。だから純粋で団長が好きな貴方には第一婦人になって、うんん、第一婦人が相応しいと思ったの、だからこの日を待ってた」
「だから私に力を貸してくれだんたんだ。私が勇気を出せる為にそうでしょ?」
「そうよ。お願い、アリシア私……私は……」
◼️海斗は、ベットを出て泣いているシルフィーの頭に手を置いて撫でる。
「団長……」
「お前が泣くのを見るのは二度目か、他の人の前なら初めてだな。お前は一人で泣いてる時の方が多かったからな。やっと泣けたのか?」
◼️サイゼルが聞いてきた。
「団長どういう意味ですか?」
「シルフィーはな、普段しっかりして頼れる女風に装っているも、実は泣き虫なんだよ。七つの大罪を集めてる話はしたな」
「聞きました」
「シルフィーは最初は俺の部屋に来た時、泣いてたんだよ。力が欲しいってな、旅を始めたら、木の上やとんがってる岩の上、次は確か、風のあたる草原だったな。エルフの種属上、風が好きなのかいつも風の当たる場所で泣いててな。その後も今日まで、人気のない所で良く泣いてんだよ」
「団長、なんで知ってるですか?」
「俺はお前の言う通り、女心はわからんし、にぶちんで色々ダメなんだろうよ。お前らにも言っとくぞ。俺は七つの大罪団長としてお前らを見てきた自負がある。団員である以上、一人、一人事はよーく知ってる。本当の家族くらいにな、魔法で擬装されてたとしも、俺はお前らを本物か偽物かも見抜ける自信がある。それは団長としてお前らとの付き合いが長いからだ。シルフィー特にお前の事は知ってる」
「団長……」
「お前の弱点を教えてやるよ。強欲すぎて今回みたいに先を読みすぎるんだよ。本来先を読むのは好ましいが、お前は一本決めたら、そこに辿り着くまで六本以上考える。そんな事をするから、今回自分が泣く羽目になったんだよ。お前が俺……その……好きなんだとしよう。気持ちに気づいた時点で、素直を好きって言えばよかったんだよ。俺がそれに何も答えず、有耶無耶にする人属に見えるのか?」
「性格上ないですね。団長ならちゃんと答えをくれます」
「だろ。お前はアシリアをみらなって自分の気持ちに素直をなれ、そうすれば解決するよ。今回みたいに変に手を回すより確実だ。だから強い祖先の事にも頭がいって、頭がぐるぐるするだよっと!」
◼️シルフィーに海斗がデコピンをする。
「イッターイ!何するんですか」
「罰だよ。泣き虫の癖に無理してる副団長殿へのな。これですむだけありがたく思えバーカ」
「団長……ありがとうございます」
「ガークス姉さん、貴方が俺を好きになったタイミングはリュウジの刀を作って貰うよう依頼した頃ですね」
◼️当てられて少し驚いた。
「正解です」
「サイゼル姉さんは七つの大罪に入ってきて、俺が風魔法で盗賊を吹っ飛ばしたタイミングってところですね」
「凄い、正解です」
「はぁー四人に言うぞ。お前らは俺を散々に言うが、お前らも人の事言えんぞ。七つの大罪団長から見たらわかりやすいんだよ。何処でなんでそう言う気持ちになったか位わかるよ。一人の例外を除いてな」
「団長その一人って誰ですか?」
「ガルルの馬鹿だよ。アイツは馬鹿過ぎて、いくら俺がバトルジャンキーって言われてもな、あれは救えない程の馬鹿だ。あそこまでいくと俺でもガルルの思考がわからん」
【なるほど、確かにガルルは馬鹿すぎますね】
◼️四人が同時に同じフレーズを口にして納得する。
「アリシア、お前が俺を好きなのは気づいてた」
『えっ?』
◼️シルフィーとアリシアの声が重なる。
「シルフィー、なんでお前が驚く」
「だって団長!貴方は女心がわからない、鈍感なにぶちんの筈です!!」
◼️ムカついた海斗はもう一度額にデコピンお見舞いした。
「イッターイ!」
「お前の悪いところ言ってやろうか!?お前はいつもいつも相手に対して失礼な事を言いすぎなんだよ!!そのせいで、セフィーロでの仕事がやりづらくなったのを忘れたとは言わせんぞ!!!」
「それは……その……申し訳ありません!!!」
◼️またシルフィーが土下座をする羽目になった。
「海斗さん、セフィーロに来てくれた時にも何かあったの?」
「アリシアとサイゼル姉さんは知らないよな。ガークス姉さんは覚えてます?」
「セフィーロに入る時だろ?」
『入る時?』
◼️サイゼルとアリシアの声が重なる。
「そう、こいつセフィーロに入ろうとした矢先に相手を挑発するもんだから、相手がキレて俺らは追われながらセフィーロでの仕事をする羽目になった。やりづらいのなんの。ねぇガークス姉さん」
「だな、今回この日を提案してくれたシルフィーには悪いが、団長の言う通りだと思うぞ。私も動き辛くなったしな、作戦通り動けなくて」
「二人におかれましては私の行為で仕事に支障をきたしてしまい、申し訳ありません!!」
「全く、アリシアこんな情けない副団長だが涙に嘘はない。断言して良い」
「海斗さん、それは団長として見たって事ですね」
「そうだ。今のを見てしまうと気が変わった。一夫多妻でも俺は構わない。三人が本当に俺を好きならな。アリシア、お前が嫌なら一夫多妻制にする気は俺にはない。七つの大罪のルールを使えば、サイゼル姉さんの命令を無しにもできる。でもシルフィーの涙を見てどう感じて、どうしたいのかはお前が決めろ。俺はそれに従う、今回被害者とまではいかないが、シルフィーに踊らされたのはお前だからな。お前に決定権があると思う」
「私が……」
◼️アリシアもベットをから出てきて、シルフィーの目線まで足を曲げて目が合う位置に来る。
「シルフィー私の答えを出す前に聞きたい事が一つできた。聞いてもいい?」
「何?アリシア」
「シルフィーは海斗さんが好きなんだよね?」
「うん。最初は違ったけど、今は団長が好きなの、好きになった」
「シルフィーが俺を好きになったのは、アイアンマウンテンでお前が仕事を失敗したタイミングだな」
「!?きづいてんですか?」
「まぁな、シルフィー、アリシア、ガークス姉さん、サイゼル姉さんが好意を持ってくてれるのは絶対感覚でわかってた。でも人属の俺が誰かと一緒になれば、必ず三人がつらい思いをして、一人は後で泣く事になる。俺はお前らにはそんな気持ちにはなって欲しくない。だから知らないふりをしてた」
◼️携帯でまたステータスをオープンにしてスキル欄を見るように言う。
「不老不死」
「マジかよ」
「シルフィーと内緒って言ってたのはこのスキルなんですね。団長」
「そう、だからお前らにも同じ事を言う、他言は許さん命令だ」
『了解』
「結局どうするんだ?アリシア」
「私は海斗さんを独占したい気持ちはないとは言いきれない。でもシルフィー、ガークスさん、サイゼルさんが同じ気持ちで海斗さんを支えていきたいって強く思ってくれてるなら、一夫多妻でもいいと思う」
◼️シルフィー、ガークス、サイゼルの目は力強く海斗を視線に入れてる。
「本気なんだな、もてる男は辛いっての事か、まさか自分がそうなるとはな。最後に確認するぞ。アリシア本当にいいのか?」
「はい、それに私一人で海斗さんを支えられるか不安です。仲間が多い事にこしたことはないので、海斗さんには私も三人も良く困らさせられますから、貴方の綱を持ってる人は多い方がいいです」
「俺は暴れ馬か?」
「違います?合ってると思いますよ。海斗さん、私四天王と当たると知って心配したんですよ。わかってくれますよね?」
◼️アリシアが海斗を見るも、目をそらす、男でありたいから無茶はしてない。でも、心配させたのは事実である。
「そうですね……あのアリシア様」
「なんですか?海斗さん」
「貴方の父親にお会いしたく思います」
「パパにですか!?まさか、海斗さん、そんないくらなんでも早いですぉ~」
◼️嬉しくなって身体をうねうね動かし、手で顔を半分隠していた。
「デーモン達の動きが気になってな、大天使に支える、四大天使のお前の父親に合いたいんだ」
「……パパに合いたいのはデーモンの動きが気になるからですか?」
◼️凍てつく寒さへ変更された。
「それだけじゃない!挨拶もある、あるにはあるんだが、転生前でも好きな人の父親に合うなってなかったから……ましてやお前は四大天使の娘だからな、取り次ぎして欲しいなぁーと」
「そうですか、ならサイゼルさんの命令を無視はしないであげて下さい。今回はそれで許してあげます」
「わかりました」
「アリシア」
「良かったねシルフィー」
◼️シルフィーがアリシアに抱き付いて号泣を始めた。
「ありがとう、ありがとう」
「ちょっとシルフィー泣かないでよ。もう~」
「一件落着ってか、たいした副団長殿だよ。さて問題はこれからだな」
◼️七つの大罪は確かに実力がある。それは魔将レベルでの話だ。デモゴルゴンとの戦闘ではっきりした。魔将と四天王では力の差が開いていた。バーニング入手不可だった件も四天王や、魔人クラスなら人属である海斗が知らないスキルや魔法を使ったなら納得がいく、デモゴルゴンを殺したことにより、デーモン間のバランスが崩れた。二日経っても動きはないももの、それもどうも気になる。海斗自信が一番気になっているのは、アイスエイジとバーニングが一本になった時の魔剣の馬鹿げた性能である。進化した今の状態でも、自分が三種類の魔法を同時に発動するのは不可能だった。そんな魔剣になったデーモンが名も知られいないのも不可解である。ならば答えに近しいのは知られてないのでなく、年月を得て忘れられたのだとしたら、その可能性が出てくる。アリシアには悪いが、目的は大天使を引き吊り出す、四大天使の一翼と自分がやりあえば確実に天界を守る為に出てくる。正式な手段をとれば会えるには会えるが、時間が掛かりすぎる。七つの大罪の団長と団員一名が最低三日間は地上を開ける、そんな事、今の不安定な状況でやるのはリスクが高すぎる。なら、一番時間の掛からない四大天使と海斗がやり合って、大天使を引き吊り出す、これが最短な方法だ。