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7章-4.やるべき事をやり遂げろ 2022.12.24

 少女にここまで買われているとは予想外だった。本当にこのまま連れて行ってしまいたくなる。だが、今の俺の状況で少女を連れていく事はできない。


 これから待っているのは地獄の逃亡生活だ。すでに俺に10億という莫大な懸賞金を掛けた大規模組織の人間達が動き出している事だろう。今までは死んだ可能性が高いと思われていたからこそ、比較的平穏に過ごせていた。しかし、生存がバレてしまったのだから、今後は何処へ行っても周囲を常に警戒しなければならない。一体何十人規模で追いかけてくるのやら。気が重くなる。


 また、逃げながら生きるための資金を稼ぐ事は非常に難しい。警戒されている中で、身分を完全に隠したまま受けられる仕事は非常に限られている。故に、そこに少女を連れてなど行けるはずがないのだ。姿を変え生活圏を変え、のらりくらりと逃げる際に、少女を連れていれば一瞬でバレてしまうだろう。目印もいいところだ。だから連れていく事はできない。ここでお別れである。これは覆しようのない事だ。


 だからこそ俺はここで、少女を縛るものを全て終わらせるのだ。俺自身との事も含めて。


「俺はな、これから地獄のような逃亡生活をしなきゃいけないんだ。ぜーんぶお前のせいだ。静かにひっそりと暮らしていただけなのに、お前がその生活を壊したわけだ。そのままであれば、こうやって人を殺さずに済んだし、今後も平和に暮らすことができたのにだ。逃亡生活ってどんなものか分かるか? 毎日毎日、昼夜問わず自分を殺しに来る人間を殺し続けて、休める時間なんて1秒たりとも無い。逃げても逃げても追われ続ける。そんな生活だ。お前はこれに対してどうすべきと思う?」

「我も一緒に戦う!」

「アホか。お前なんて足手まといだ。こんなポンコツで何ができる。必要ない。むしろ、俺の生存と素顔を知るお前は生かしておけないわけだ。だから今ここで殺さなくちゃいけない」

「……」

「ガキだから見逃してやっていたが、もう駄目だ。お前もここに転がる死体と一緒にしてやる」

 

 俺は少女の答えも聞かないままに、踏み込んだ。正直時間が無い。すぐにでもこの場を離れなければ、追手が来てしまうだろう。幸いまだ周囲に気配はない。他の人間が隠れている様子もない。だがそれも時間の問題であると考えている。その限られた時間の中で、少女に大鎌の使い方を見せて叩き込まなければならない。1度見た動きならきっと自分の物にできるはずだ。少女にはそれを可能とするだけの才能がある。俺は記憶にある限りの全てを少女に叩き込んだ。

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