表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/38

6章-1.―――――― 2022.12.24

 俺は地下の扉の前に来た。扉は重厚な造りだった。力業で破壊するのは難しいだろう。内側から少女の声がひっきりなしに聞こえてくる。出してくれと、男は殺してはダメだと、ずっと叫んでいるようだった。恐らく縄で縛られた状態のまま暴れているのだろう。地下室の奥の方から声が聞こえてくるような印象だ。


 扉の近くには少女の大鎌が立てかけられていた。俺はそれを手にする。使うならこれだろうなと何となく思ったのだ。俺は、その大鎌を振るって、地下室の扉に付いていた南京錠を破壊した。これで縄さえ自力で解くことができれば、少女はここを逃げ出せるはずである。俺がここへ来た事は少女には知らせるべきではないだろう。


 俺は小さく息を吐いた。覚悟を決めるしかない。もう全てを諦めて逃げ続けるのは辞めろという事なのだろうと何となく思う。何年も何年もあらゆるものを捨てながら、自分の命を狙う人間達から逃げ続けてきたが、それももう終わりのようだ。逃げるのではなく戦えと、これは諦めるべき事ではないのだと、そう神にでも言われている気分だ。きっと、少女が店主へまっすぐに向かって行った姿を見たからだろうと思う。逃げる事の方がよっぽど楽で安全であるにも関わらず、少女は逃げずに店主を説得しに行ったのだ。そんな姿を見てしまったから、触発されたに違いない。


 大鎌を握る手に力が入る。大丈夫だ問題ない。そう自分に言い聞かせながら俺は建物から出て夜空を見上げた。キンと冷たく刺さるような空気に身が引き締まる。キラキラと輝く星が鮮明に見えて、自分が置かれた状況とのあまりにも大きな差に笑えて来る。俺は大鎌をくるくると回し手に馴染ませた。懐かしい感覚だ。昔触った物より二回りも小さいが問題はないだろう。


 ここで少女を縛るもの全てを終わらせる。


 俺は気配を消し、闇に紛れて店の人間達が出てくるのを静かに待った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] よっしゃ、腹ぁくくったな。 [気になる点] >触発された うん。だが、お前が人生と向き合う気力が湧いたもう半分は、ちゃんと食うもん食うようになったからだと思うぞ……(食生活大事) どっち…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ