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5章-1.自ら厄介ごとに首を突っ込む日がくるなんて 2022.12.24

 少女が動き出したのは、すっかり日が暮れた夜の20時過ぎだった。俺は少女に気が付かれないように、こっそりと少女の後をつけた。少女の言うアケボノという名の店はどんなに探しても見つける事が出来なかったため、少女を尾行する以外に方法は無かった。もしかすると、本当は異なる名前なのかもしれない。少女は器用に人気のない場所を進んで行く。細い路地裏を抜け、入り組んだ通路を迷いなく進んで行く。見失えば間違いなく迷ってしまうだろう。


 少女はまっすぐに店主とぶつかるという道を選んだ。その選択を俺は尊重した。何も言わずに逃げてしまうだとか、匿ってくれと泣きつくでもなく、自ら問題を解決しに行くという選択をした。それが上手くいくなんて、少女も思っていないだろう。少女の足取りは確かなものではあるが、緊張がこちらまで伝わってくる程だった。


 俺は店主について全くと言っていいほど情報を得ていない。万が一、少女の言う通り話が通じる人間で、少女の要求通り直ぐに少女を解放するのであれば、俺が間に入ったり手を出すのは悪手だ。その可能性がある故に、俺はこうして隠密をして後をこっそりつけるという方法を取ったのだった。


 しばらく進むと、少女は古びた4階建ての雑居ビルへと入っていった。そのビルを観察するに、とてもじゃないがまともな店が入っているとは思えない。建物全体の入り口を入ると幅2メートル程度の屋内廊下がまっすぐに続き、その両サイドにいくつか扉がある。それぞれがそれぞれ別の施設のようだ。少女が開けて入っていった扉は1階の端の区画に通じる扉だった。室内の様子が分からない状況で、後を追いかけるのは危険ではあるが、俺はその扉に近づき中の様子をドア越しに確認する。幸いドアは古びた板状の簡素なものであるため、扉の向こう側の音が十分に漏れてくる。どうやら近くに人間はいないようだ。物音もしない。俺は意を決して、扉に手を掛けた。音が鳴らないようにゆっくりと手前に引き、一気に室内へと忍び込んだのだった。


 室内は薄暗く雑多な印象だった。色々なものが無造作に置かれており、整頓されていない状態だ。埃が舞い、ねっとりとした空気がまとわりつく。室内に充満しているのはタバコの臭いだろう。不衛生な環境であるという印象だった。周囲に物が溢れているおかげで隠れる場所はたくさんあった。俺は息をひそめて少女の行く先を追った。

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