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4章-2.誰かと食べる飯は意外と美味い 2022.12.13

「おぢ! 飯を作ったぞ! 直ぐに食べるのじゃ!」

「あぁ、今行く」


 俺はパソコンをシャットダウンすると、居間の椅子に座った。テーブルの上には、食事が二人分綺麗に並べられていた。少女はドヤ顔だ。ほめて欲しいのだろうと思う。


「凄いじゃないか」

「当り前じゃ! 佐藤に教えてもらったのじゃ!」


 少女はたまに部屋からいなくなることがあった。何をしているのかと思えば、大家の佐藤の家に行って色々と教えてもらっていたようだ。料理だけでなく掃除の仕方等、生きる上で必要なスキルを佐藤が教えているようなのだ。佐藤の教え方が上手いのか、少女の呑み込みが早いのかは分からないが、あっという間に俺の生活スキルレベルを超えていった。基本身の回りの事は自分でできるようになっていたし、俺が仕事している間は部屋を綺麗に維持するために必要な事を自主的に行っているようだった。佐藤の入れ知恵なのかもしれない。


 もし少女が来なければ、半年以上は何もせずに暮らせるところだったのだが、流石に少女が居候するとなれば経費が掛かるため、貯金は既に底をついてしまっていた。恐らく少女はそのことを気にしていたのだろうと思う。お金の事など、子供は考えなくても良いのにと思うが、少女は妙に敏感だった。何かできる事を探して懸命に取り組んでいるところを見ると、健気で可愛らしいと思う反面、何か闇を感じた。


 ここを追い出される事を恐怖しているのかもしれないし、施しへの対価に対して異常に敏感なのかもしれない。子供らしからぬ行動を見る度、俺は不安になった。


「頂きます」

「いただきます!!」


 俺は早速食べ始めた。誰かに飯を作ってもらうなど、20年以上無かったように思う。不覚にも何だか幸せな気持ちになってしまった。


「我が作った飯は美味いか?」

「あぁ。凄く美味いよ」


 少女は嬉しそうに笑った。このまま本当に姪として育ててしまおうかとそんな考えがよぎる。今ではすっかり俺を殺そうとする素振りもなければ、大鎌を返してくれとも言わない。何か少女の中で考えが変わったのだろうなと察する。少女は悪い人間を殺すと言っていたのだ。俺の事を悪い人間ではないと判断したのかもしれないと考えられる。元より、手当たり次第に人を殺すような殺人鬼の類ではなかったのだから、少女は自身の信念に従って、俺を殺害対象から外したとみるのが一番可能性として高い。真相は分からないが、こうして平和に暮らすことができるのであれば、このままずっとこうしていても良いかもしれないと俺は思い始めていた。

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