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プロローグ  2022.10.31

 ピンポーン……。


 インターホンが鳴る音が聞こえた気がした。俺は布団から腕だけを出し枕元にあるはずのスマートフォンを手探りで探す。そして、無事スマートフォンを見つけ出し画面を点灯した。


 眩しい。真っ暗な部屋の中、煌々と光るスマートフォンの画面に目がやられる。苦しみながらも確認した時刻は朝4時43分。


 何だ。気のせいだったか。

 疲れているせいで幻聴が聞こえたのだろう。こんな時間に訪問者がいるはずがないのだから。


 俺はふーっと深く息を吐き出すと布団に潜り直した。


 しかし再び眠りに落ちようとしたその瞬間だった。


 ピンポン! ピンポン! ピンポン!


 インターホンが勢いよく連打される音。


 ドンドンドンドンドン!!


 次いで玄関扉を乱暴に叩く音。


 俺はむくりと起き上がった。どうやら気のせいではなかったらしい。俺は寝ぼけた頭でゆらゆらと玄関へと向かった。


 こんな時間に一人暮らしの男の家に訪問するなど、一体どんな用件があるというのだろうか。非常識にも程がある。不愉快な気持ちのまま、俺は雑に鍵を開けて扉を勢い良く開けた。


「いい加減にしろ! 新聞はいらないし、インターネットの乗り換えも結構だ。宗教にも興味は無い。神なんかクソ喰らえ!」


 俺は怒りに任せ、怒鳴り散らす。しかし、怒鳴り散らした後で異変に気がつく。目の前に誰もいない。


「……?」


 俺は目を擦った。寝ぼけすぎて見えていなかったのだろうか。まさか幽霊……? 心霊現象……? そんな発想が浮かび背筋が凍る。


 しかしながら直後。


「おい」


 それは少女の声だった。その声は視線よりずっと下の方から聞こえた。俺がゆっくりと視線を下げると、そこには小柄な6歳程度の少女が立っていた。


 緩く巻いた金髪のショートヘアー、つり目、深緑色の瞳、色白の肌。それらの雰囲気から明らかに海外の人間の血が混ざっていそうだと俺は感じた。また、顔はとても整っていて将来は非常に美人になるだろうと直感的に分かるほどだった。上半身は黒のタートルネックのニット。下半身はベージュのハーフパンツ、そして黒のタイツを履いており、年相応の服装を身に纏った少女ではあった。


 しかしながら、俺が最も意識を持っていかれた物、それは、少女が手にしていた物だ。少女が手に持っていた物は、少女の身長よりも遥かに大きな大鎌。


「貴様を殺しに来た! 覚悟しろ!」


 その瞬間、俺は勢い良く玄関扉を閉め鍵をかけた。


 全く変な夢だ。勘弁して欲しい。


 俺は部屋に戻ると布団に潜り込み、直ぐに深い眠りへと落ちていった。

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