記憶喪失二人組
再び投稿が遅れました。本当に申し訳ない……
一向に景色の変わらない森の中を、周囲を警戒しながらロズさんと一緒に歩く。景色が全く変わらないため、一体どれくらい歩いたのかがさっぱりわからない。
「あの、さっきのことなんですけど……」
延々と続く沈黙に不安を感じ、何か話をしようと先ほどの疑問を口にする。
「ロズさんが自己紹介をしたとき、どうして『だと思う』とか、『たぶん』とか、曖昧な回答だったんですか?」
前を黙々と歩いていたロズさんがペースを落とし、私の隣に並ぶようにして歩く。
「実は、わたし、記憶喪失」
……
「最初に、この森の、小屋の中で、目が覚めた。近くに、わたしに似た子が映った、写真が、あった。そこに、ロズっていう、名前が、書いてあった。狩人っていうのも、そばに、狩人の在り方? みたいな、本とか、いろんな、罠とか、置いてあった。だから、わたしは、たぶん狩人、だったんだと、思う」
この人も私と同じ、記憶喪失なんだ……
「質問に、答えた。今度はキミが、答える番……キミは、どうして、一人で、こんなところに?」
私のペースに合わせて隣をゆっくりと歩くロズさんが私に尋ねる。
「ざっくり言うと、人探しですね」
「人探し……そんなことで、ここに……」
質問に答えると、ロズさんの表情が曇る。何かおかしなことでも言ったかな?
「……誰かに、頼まれたり、した?」
「ええ、そうですね。私の主様からの命令で」
「……キミのことは、わたしが絶対に、守るからね」
……? 突然どうしたんだろう?
「キミの主人は、ひどい人。こんな子を、一人で、こんな場所に、来させて」
「……ミコト様がひどい人って、どういう意味ですか?」
突然ミコト様をひどい人呼ばわりされて、少し腹が立ってしまう。口から出た言葉に少し怒気がこもってしまったようで、ロズさんが少し戸惑ったような表情を浮かべながらも、私の質問に答える。
「気を悪くすること、言って、ごめん。でも、この森は、すごく危険。森の外から、中には、入れるけど、森の中から、外に出るのは、できない。一度入ったら、出られない森。それなのに、子供一人で、この森に入れるなんて、命を捨てさせるのと、同じ」
「中から外に、出られない?」
「この森は、さっきの、イノシシみたいなやつと同じ、赤黒い、へんな壁に、覆われている。穴を掘って、下から抜けたり、上空から、抜け出そうとしたけど、どうやっても、中から外には、出られない。そう書いてあったし、私も、実際に、見た」
「書いてたって言うと?」
「森の中に、落ちてた本に、書いてあった。この森は、おかしいから、外の人が、この森のこと、調べてるって。実際に、読んでもらったほうが、早い、と思う。ほら、着いたよ」
ロズさんが指さす方には、木造の小さな小屋があった。建てられてから長い年月が経っているのか、外装はボロボロだが、うっすらと木漏れ日が指していて、不思議と神秘的な場所に見えた。
「……ここは?」
「さっき言ってた、小屋。わたしの、家。最初に、目が覚めた時、ここに、いた。なぜか、あの赤黒いやつらは、ここに、入ってこない。だから、家として、使ってる」
小屋に近づくと、不思議と体が暖かいものに包まれているような感覚がした。感覚を研ぎ澄ますと、小屋周辺に霊力が集まっているのを感じる。妖力しかないこの森の中で、どうしてここにだけ霊力が集まっているんだろう?
「ココ、とりあえず、中に入って。それから、この森と、わたしについて、そして、キミについて、詳しい話、しよう」
ロズさんはそう言うと、小屋の中へと入っていく。私もそのあとを追って小屋へと入った。
今更ながら、twitter? X? はじめました。たまに何かつぶやくのでよかったら見てみてください。
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