表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

データ供養所

スライム観察日記

作者: まい

 際どい表現を使用しております。


 苦手な方は回避を推奨致します。




 それと話的に日記を書いている者は子供なのに、文章がしっかりしすぎている疑問につきましては、学校へ行き出す前に家で家庭教師による教育済みだからと思って下さい。

 又は平仮名片仮名ばかりだと読みにくいので、翻訳したとかでも良いです。


 日にちも同様。 地球(の日本)換算での表記です。


4月10日


 今日は国立学校に入学して始めて宿題が出た。

 クラス全員にプチスライムの核が配られて、コレを復活させて育成する宿題。


 物理を始めとした複数の耐性を持って、人間を溶かせる酸を持つとても危険なスライム種の中で、例外的に弱いのがプチスライム。

 耐性を持ってなくて、酸は人間への危害をほぼ加えられないほど弱い。

 攻撃方法は体当りだけで、それも木の薄板でべしべし叩かれるくらいの痛さ。

 平民の子供でも問題無く倒せる、ほぼ無害なスライム。


 でもそんなプチスライムだけど、核が残っていればソレに水と野菜くずをちょっと与えるだけで、簡単に復活する特性を持っている。


 そんなプチスライムを復活させて育成して、一()月後にみんなで学校に持ってきて、一斉に倒してみようって宿題。


 その為の、ちゃんと育てられているかの観察日記も宿題の内。



 それで今日は、もらった核を眺めてみた。

 他の生徒達がもらった核より少し凸凹(でこぼこ)していて、赤みもある。

 けどそれ位の違いは良くあるものらしいので、気にしないことにした。


 寝る前に小鉢へぼくの水魔法で出した水と野菜くずを入れてから、プチスライムの核を放り込む。

 おやすみなさい。




〜〜〜〜〜〜




4月11日


 朝見たら、水と野菜くずが無くなっていて、薄い赤色のプチスライムが小鉢に入っていた。


 本当に復活していた。

 プチスライムの生命力には驚かされる。


 両親に見せたら懐かしいと笑ってくれて、飼うときのコツも教えてくれた。

 エサも水と野菜くずで良いらしい。

 でもプチスライムはなんでも食べるらしく、エサを変える事で、特別なプチスライムに育つ事も有るそうだ。


 何か面白そうなエサが無いか探してみよう。




〜〜〜〜〜〜




4月14日


 やってしまった。



 自室で勉強を真剣にしていて、トイレの気配に気付いていなかった。

 気付いた時には、もう部屋の外へ出ようと扉に力を入れた瞬間にマズい事となる。


 それでも何とかしようと辺りを見回した時、見付けてしまった。


 復活してから数日で、人の頭の半分くらいに成長したプチスライムを。


 プチスライムは何でもエサにする。




 少しの罪悪感と背徳感を得た代わりに、ぼくの尊厳はなんとか守られた。




〜〜〜〜〜〜




4月20日


 あれからのぼくは、プチスライムが気になって仕方がなくなった。

 プチスライムをトイレ代わりにした時に、ぼくは変な感じがしたのだ。

 なんとも言えない、クセになる感じが。


 なので、部屋にいる間は服の下にプチスライムを入れておく様になっていた。

 するとプチスライムのエサが出る所が分かるのか、あの場所に自然ととどまってモゾモゾする様になった。



 多分ぼくは今、やってはいけない事をしているのかも知れない。

 でもクセになっていて、やめられない止まらない。

 特にプチスライムに肌を吸われる感じが、本当にたまらない。


 もういっそ、部屋だけでなくずっとプチスライムを服の下に入れたまま生活してしまおうか。



 そういえば最近のプチスライムは、ピンク色になってきている気がする。


 核の形も変わってきている。





〜〜〜〜〜〜




4月25日


 プチスライムもぼくの服の下で一緒に授業を受けるようになったけど、両親になぜか心配された。

 ぼくがやつれてきているらしい。


 知らない。

 そんなことよりプチスライムだ!


 ぼくの弱い所を的確に刺激してくるプチスライムが本当に愛おしい。


 ピンク色の発色が強くなってきて、可愛らしさが増してきている。


 核の形がハッキリとハート型に育っていて、そこもまた素晴らしい。




〜〜〜〜〜〜




5月 1日


 プチスライム! プチスライム! プチスライム!


 ぼくが教えた事は一発で覚えてしまう、賢くて愛らしいプチスライム!


 大好きだ! プチスライム! ああ、あぁ!


 プチスライム! お前を倒したくない!


 ぼくのプチスライム! 君はぼくの服の下から出てきちゃダメだ、良いね?




〜〜〜〜〜〜




5月 5日


 両親にスライムの育て方がバレた。


 両親が専門家を家に呼んでぼくのプチスライムを鑑定させた所、フェチスライム又はサキュバススライムだと言われた。


 プチスライムから別のスライムになっていた事に驚き、ぼくは大発見だ! と叫んだ。

 大発見なんだから、倒しちゃだめだよね。

 しっかり保護して大切に見守らないとね。


 そう主張したけど、鑑定人は冷たい事を言った。


 それらの種類のスライムは研究が完了していて、危険だから発見後即座に討伐が義務らしい。



 そんなのはぼくが認めない!


 だからこの観察日記とプチスライムだけを抱えて、家を飛び出した。




〜〜〜〜〜〜




〜〜〜〜〜〜




 月  日


 今日は記念すべき日だ。


 逃亡して十数年。

 余裕がなくて観察日記がつけられなくなってしばらく()ったけど、今日から再開できる。


 大切に育てたぼくのサキュバスクイーンスライムが、大嫌いだったぼくの国の女王陛下に即位した。

 種族名だけじゃなくて、名実共に女王(クイーン)になった素晴らしい日。


 あれから沢山の愛を注ぎ、人の形をとれる様になり、言葉を覚え、目覚ましい成長をした。

 身長だっていつの間にか抜かされて、今は陛下の方が少し高くなった。


 今のぼくは女王陛下の犬。 飼い主とペットとの立場が逆転してるけど、愛があるから問題無い。


 陛下はぼくをバターと言うけど、なんの意味だか分からない。

 分からないけど愛情を持って呼んでくれているのは分かる。

 だからぼくはバターだ。


 それと陛下はぼく以外にも犬を沢山飼ってるっぽいけど、ぼくの愛情を受け取ってくれているなら、それでぼくは満足だ。


 陛下万歳!

 陛下万歳!


 サキュバスクイーンスライム最高!

 ぼくのスライムは世界一!!

 国はこのまま拡大して行き、世界の支配者はスライムとなった。


 人々は女王から分裂した、ピンク色のスライム達のエサの供給源となる。


 だがそれを嘆く者は居ない。


 なぜなら全ての人類はスライムが幸福に導いているから。


 それを別世界から見たものが居るなら、暗黒時代と名付けるかも知れない。


 が、どれだけ暗かろうが、どれだけ歪んでいようが、どれだけおぞましかろうが、その世界には幸福に満たされていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] あ‴あ"ぁ″ぁぁーっ! なの? [一言] 駄目じゃん、これっ! いや、面白かったけど、アウトですよね? 良いのこの位なら? (。-`ω-)ウーム
[良い点] 初めは学校で家畜を育てて最終的にお肉にし、世間の物議をかもした例の学校の話のような、生命と道徳を考えさせられる話かと思った。違ったw 先に警告文があったので身構えたのですが、ほどよく裏切っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ