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3話:「 「やっと主役が来たって所か、戦友!!」

「こちら「戦狼」より本部へ、応答されたし。繰り返す、「戦狼」より本部へ、応答されたし」

ポートリシャス大陸連合警備隊冒険者管理局識別遺跡ナンバー「00-991」内――――

ベルナルドとラインヴァルトは、約100体に及ぶ獣系と異種蛮族系の魔物と交戦している。

ヘルメットに内臓されているマイクで、掠れた声で淡々と本部に通信しているのは、ベルナルドだ。

ラインヴァルトは、「特殊能力」で召喚した銃器――――以前のスナイパーライフルではなく、自動小銃らしき物で、銃弾を浴びせている。手を延ばせば届くような距離から、獣系と異種蛮族系の魔物に向けて

小銃をぶっ放している。凄まじい威力だ。支給されている銃器とは比べ物にならないほどの威力だ。

獣系と異種蛮族系の魔物達は、その威力の前に、派手に血肉を撒き散らしながら倒れているが、数が多い。

「(こちら本部・・・「戦狼」・・・どんな状況だ?)」

ヘッドホンから雑音混じりの声が聞こえてくる。

「識別遺跡ナンバー遺跡「00-991」地上付近で、遺品回収時に、大多数の魔物の襲撃を受けて現在交戦中、繰り替す。遺品回収時に、大多数の魔物の襲撃を受けて現在交戦中把握数は約100体だ」

「(本部より・・・「戦狼」へ・・・状況を把握した・・・識別遺跡ナンバー遺跡「00-991」地上付近にて、回収作業をしている班を応援に・・・向かわせる・・・)」

飛び掛かろうと獣系の魔物に、フルオートで弾幕で包み込んだラインヴァルトが言う。

「それじゃあ、間に合わないぞっ!!、ベルナルド!!、上空から支援要請を出せっ!!」

使っていた小銃を投げ捨てると、前に右手を延ばす。空間に歪みが発生した。ちりちりと焦げるような電流が空間一帯に広がる。空間が陽炎のように揺れて弾けた。ぶれるような残像が、一つの物質を結像させるまで、一瞬の時間もかかっていない。同じ様な小銃らしき物が出現した。

一つ二つではない。十丁近くの全て銃弾を装填された銃器だ。一つの銃器を取り、安全装置を外すと、

ラインヴァルトは、獣系と異種蛮族系の魔物に向けて掃射をする。銃弾に撃たれて奇声と雄叫びが響く。

「「戦狼」から本部へ、状況的にはそれでは間に合わない。至急上空からの支援攻撃を要請する。

繰り返す、至急上空からの支援攻撃を要請する」

ベルナルドは、淡々と掠れた声で告げる。

「(本部から・・・「戦狼へ」・・・了解した・・・上空支援課へと繋ぐ・・・)」

しばらくして、ヘッドホンから雑音混じりの腰部にずしんとくるような艶のある声が流れてくる。

「(・・・・こちら・・・・。上空要撃支援課・・・了解・・・「戦狼」状況を説明を・・・)」

「 識別遺跡ナンバー遺跡「00-991」地上付近で、遺品回収時に大多数の魔物の襲撃を受け、現在交戦中、繰り替す。遺品回収時に大多数の魔物の襲撃を受けて、現在交戦中。緊急に上空からの支援攻撃を要請する。以上」

「(上空支援課・・・了解・・・・攻撃座標位置番号は・・・そちらに向かわせる支援攻撃隊に直接指示を・・・以上。)」

「「戦狼」了解した。――――ラインヴァルト、もうすぐ支援が来るぞ」

「だが、正確に位置は伝えてくれよっ、巻き添えで殉職は嫌だからな」

銃弾をばらまきながら告げる。



上空要撃支援課の職員待機所では、ポーカーゲームや軽食を食べている職員がいた。

ここの職員も、人間の他に、ドワーフ、エルフ、ホビット、フェアリー、フェルパー、ラウルフ、そして混血種族らが待機していた。だが装備服は少し違う。保温性、実用性、耐久性、耐魔法性にに重きが置かれている飛行服を装備している。背中の後ろには「ポートリシャス連合警備隊冒険者管理局上空支援課」の文字が書かれている。

突然、職員待機所の天井付近に設置されているスピーカーから声が響く。

「上空支援攻撃待機部隊に告げる。上空支援攻撃待機部隊告げる!、上空支援攻撃要請ありっ、上空支援攻撃要請ありっ!!、担当要員は全員、戦闘部署に出頭されたし!!」

そして信じられないほど喧しいクラクションが鳴り響く。

担当要員の職員らは、飛行服のジッパーを上げて即座に出でいく。担当要員の職員らが支援攻撃待機場所に着くと、そこには4機・・・いや、機ではない。4匹の中型飛龍がいた。森や丘、沼地、火山などに棲息する赤い鱗を身に纏っている、生態系の頂点に君臨していると言っても良い、「空の王者」

の飛龍だ。飛龍には、龍系の生物が装備出来る装備鎧を装着している。龍の鱗は鎧よりも堅いが、この世界じゃそれすらも撃ち破る事が可能な兵器が普通に存在している。

連合警備隊が所持し、血と汗が滲むような育成と調教した飛龍をそうほいほい使い捨て出来るものではない。まず森や丘、沼地、火山などに棲息する野生の飛龍の卵を獲ってこなくてはならない。

文字通り命賭けだが、連合警備隊飛龍育成部門に取っては重要任務の一つ。後は雄と雌のつがいで繁殖させたりする事もある。育成と調教も非常に時間もかかる。馬の調教より大変かもしれない。

あと、その飛龍に搭乗して乗りこなす搭乗員の職員を育てるのも時間がかかる。

4匹の中型飛龍の付近には、整備班がいる。

搭乗員らは、それぞれの飛龍へと向かっていく。五段の搭乗梯子を登り、さっさと飛龍の背中に設置されている座席へと乗っかる。

手袋をはめ、袖を下ろし、ジッパーをきちんと閉め直し、襟を立て、ヘルメットの顎紐を締める。

飛龍らは、その場の空気を震動させるような、静かな唸り声を響かせる。冒険者や他の職員が聞けば何処か警戒するような響きがある。

だが、搭乗員にすれば、この声を聞くと何処か安心するのだ。

搭乗員には、こう聞こえるのだろう。「さあ、戦友、準備は出来たか?」と。

4匹の中型飛龍の中に、一つだけ指揮官機らしき印を付けた飛龍がいる。その飛龍だは体格的にも大きい。2人ぐらいは搭乗出来るほどだ。現に2人ほど搭乗している。

2人のうち1人がこの部隊の隊長各だろう。ヘルメットに仕込まれているマイクで連絡している。

「上空要撃支援課地上管制、こちら「ガルーダ」、準備完了。離陸許可を要請する」

「(上空要撃支援課地上管制から・・・「ガルーダ」へ・・・風は平穏なり・・・及び、護衛隊「ウィングマン」は上空にて待機中・・・離陸を許可する・・・)

「ガルーダ」は、支援攻撃待機における彼等の部隊のコールサインである。ヘッドホンからは雑音混じりの声が聞こえてくる。

「「ガルーダ」、了解しそれに従う――――行くぞ!」

飛龍の手綱を軽く引っ張る。それを合図に飛龍が大きく吠えると、飛び立つ準備に入る。

飛龍の雄叫びの吠え声を見計らって、発進係の職員が合図の旗を振った。

同時に隊長機の飛龍は翼をはためかせ大空に向けて飛び立つ。それを順番に残りの飛龍が飛び立つ。

整備係の職員が手や帽子を振って見送る。

「(護衛隊「ウィングマン」より・・・「ガルーダ」へ・・・貴官の部隊を確認した・・・どうぞ)」

隊長機の職員のヘルメットに仕込まれているヘッドホンから、雑音混じりの声が聞こえてくる。

「こちら「ガルーダ」、我々も貴官の部隊を確認した。どうぞ」

飛龍隊の付近に人影が見えた。上空を飛べる人間などいるわけがないが、この世界には背中から翼が生えた亜人系有翼人族がいる。連合警備隊が支給している亜人系有翼人族専属の装備服を着ている。

背中には「ポートリシャス大陸連合警備隊冒険者管理局上空護衛課」と書かれている。

護衛隊「ウィングマン」らの職員を確認すると、挙手の敬礼を互いにする。


冒険者管理局識別遺跡ナンバー「00-991」の地上付近で交戦を続けているベルナルドとラインヴァルトは、上空支援部隊の到着を待っていた。四つ目の小銃に手を延ばしたとき、待ちに待った連絡がヘッドホンから聞こえてくる。

「(上空支援攻撃隊「ガルーダ」・・・「戦狼」・・・応答されたし・・攻撃指定範囲座標位置番号を言ってくれ・・・)」

「こちら戦狼。了解。攻撃指定範囲座標位置番号は201-798だ。繰り返す、201-798だ」

ベルナルドが掠れた声で応答する。

「(ガルーダ・・・了解・・・これより・・・攻撃支援を開始する・・・以上」

「ラインヴァルト、待避しろっ!」

銃弾をばらまいていたラインヴァルトが、ゆっくりと後ずさりする。

「やっと主役が来たって所か、戦友!!」

ラインヴァルトがそう言い終えると同時に、もの凄い龍の雄叫びと同時に4匹の上空支援部隊が、

ラインヴァルトとベルナルドの上空を低く飛び、目標の攻撃指定範囲座標位置番号位置に向けて、

灼熱の炎を撒き散らす。凄まじい熱だ。まともに浴びると一溜まりもないだろう。

攻撃指定範囲座標位置番号位置には、獣系と異種蛮族系の魔物のリーダー格の魔物がいた。

それを確認して、支援要請を出したのだ。もちろんその付近にいた魔物も灼熱の炎を浴びて転げ回っているが・・・。

上空支援部隊は、急上昇しては宙返りする。

「(ガルーダより・・・「戦狼」へ・・・支援攻撃を終了した・・・状況を説明してくれ」

「戦狼」より「ガルーダ」へ、支援攻撃に感謝する。攻撃は成功した!。繰り返す、攻撃は成功した。

本部に帰還したら、貴官の部隊にお礼の酒を送ろう。以上」

「(ガルーダより・・・「戦狼」へ・・・・わかった。楽しみに待っている・・・以上)」

通信が切れた。

「ベルナルドっ、さっさと今のうちに撤退だっ!!、回収も終了したっ」

ベルナルドは頷き、煙幕玉を魔物の群の手前に投げる。白い煙が付近を包み込む。

約100体に及ぶ獣系と異種蛮族系の集団に煙幕玉を投げても無意味だ。出来るだけ人数を減らしてからでないと駄目である。

ベルナルドとラインヴァルトは、その場から撤退していく。



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