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11話:「―――五人抹消、結果は上々。だが、面白くも楽しくもない」

サラムコビナ地域フィルドライナ市内―――――

静寂と薄暗い空部屋の空間に歪みが発生した。ちりちりと焦げるような電流が空間一帯に広がる。

空間が陽炎のように揺れて弾けた。ぶれるような残像が一つのドアを結像させるまで、一瞬の時間もかかっていない。何もない空間に突然現れたドアの下の床には何か特殊なチョークで描かれた文字印が刻まれている。高度な特殊な魔術が掛かっているため能力の低い魔術師や一般市民では、その場所を目視しても描かれている印を視ることは出来ない。

そのドアがゆっくりと開き、中から人影がゆっくりと出てくる。

「「戦巫女」の綽名は健在なりか――――――。腕はまだ落ちてないじゃねぇか、エレーナは」

その人影はそう小さく呟く―――ドアから――――いや、もとい、テレポート・トンネルから出てきた人影は、高度特殊魔術が施された漆黒の野戦戦闘服を纏ったラインヴァルトだった。

左手には「黒のアヒル武器・防具店」が販売している「黒のアヒル炭酸ジュース」の瓶を持っている。

中身は蒼い。半分までしか飲み干してはいない。

「ラインヴァルトから各メンバーへ。攻撃位置に到着した。これより実行に移る」

「黒のアヒル炭酸ジュース」の瓶を床に置き、ポケット型トランシーバーで各メンバーに連絡する。

作戦内容説明から一週間ほど立っている。その間に、実行指示をする事になったラインヴァルトは、まず最初に直ちに兵站補給の処理に着手した。今回の与えられた工作準備資金で食料その他の必需要品を念入りに準備をした後、特殊能力者専用作戦基地で特殊工作実行部隊の「結団式」が行われ、各メンバーの任務分担は、ラインヴァルトの手で割り振られる。

各メンバーの任務分担はラインヴァルトの手で割り振られ、トール、クラウディアは前線基地の建設と作戦行動に向けてサラムコビナ地域一帯の徹底した偵察活動を行い、工作準備資金で各市内に数カ所の非合法基地を手に入れた。

ベルナルドは作戦地域一帯で特殊長距離魔術テレポート・ゲートの出入口の構築が容易な場所を探索するため、特に念入りな周辺の地形の偵察及び、ポートリシャス大陸連合警備隊サラムコビナ支部(連合警備隊と冒険者管理局の建物は別々に建ってある)の懐中に飛び込み諜報活動を開始をし、エレーナとラインヴァルトは、トール、クラウディアが各市内に数カ所に建設した非合法基地の全てを標的ギャング組織や連合警備隊に突き止められたとしても安全に潜み作戦遂行が出来るように、サラムコビナ地域の北のうらさびれたサンモニカ地区の郊外に堅個な後方防衛基地を設営する(ノバーグ市の特殊能力者専用作戦基地は、本格的な工作実行するにはやや不向きがあるため彼等は使用はしない)。サンモニカ地区の郊外の大半は水没しているか泥土で覆われた湿地地帯であり、この湿地地帯で棲息している魔物も存在している。車両関係は行動出来ず、徒歩の者もはぐれたら深い沼地に引き込まれるか、この湿地地帯に棲息している魔物の餌食になる可能性がある。数十年前まで、この地域は反体制組織や武装盗賊が暗躍した拠点であった。その者達が使用した小道や倉庫、すでに使用していないアジトが存在している。エレーナとラインヴァルトは、すでに使用もされていないアジトの中で、居心地の良いアジトを使用し、ラインヴァルトはその周辺に対人・魔物防衛兵器の敷設を前提に周囲の地形の偵察と、各メンバー用の使用する重火器と弾薬の召喚、目標ギャング組織の主な活動拠点に対する破壊工作計画に着手し、エレーナは高度魔道特殊結界保安システム、特殊魔道結界解除システム、特殊長距離魔術テレポート・ゲートの開発に着手した。

そして作戦実行日――――先陣を切るのはラインヴァルトだった。

まず最初の標的は表向きは許可を受けた金融会社だが、標的は法律の盲点を利用して糞を洩らしそうなほどの高い利子を取る。法律ではどうすることもできないため、幾らの一般市民や冒険者パーティーが地獄を見ているのかは確認する必要はないだろう。ラインヴァルトは金融会社の四階建て正面ビルの空部屋に陣どり、三角測量で距離を二回ほど計った。狙う標的はギャング組織「セルジオ・フレンキファミリー」に属している。目標は五人、前後数分の違いはあるが、ほぼ六時に会社を回り下っ端の所から集金するのだが・・・今日からはそれは出来なくなる。

――――十五分後、空部屋の窓を開けてラインヴァルトがその前に陣どる。

前に右手を延ばすと、静寂する薄暗い空間に歪みが発生した。ちりちりと焦げるような電流が空間一帯に広がり、空間が陽炎のように揺れて弾け、ぶれるような残像が、一つの物質を結像させた。現れた物は以前迷宮で召喚した全長は1、3メートルほどの機関部は通常より倍ほどある大口径弾を使用するのは明白な、龍、悪魔系の大型魔物専用の長距離自動装填方式特殊スナイパーライフルだった。それに手にする。左手に持っていた「黒のアヒル炭酸ジュース」の瓶の中身をゆっくりと口に流し込み終えると床に置き終えた直後に金融会社の建物から五人の標的が出てくる。建物の前には車が停まっている。

標的の五人の内1人が運転する事は確認済みだ。五人とも種族はドワーフ、ノーム、リザードマン、人間、エルフといった感じであるが、誰も彼も欲望に満ちた凶々しい目付きだ。身成を高級なスーツを着込んでいるが、彼等の身体から醸し出している殺伐とした雰囲気までは隠せない。

ラインヴァルトは、スナイパーライフルの安全装置を解除しスコープを覗き込むと、スコープの中に標的の1人の頭が写るが、まだ引き金を引かない。標的の五人は車の停まっている側に立ち止まった。

ドワーフとリザードマンが卑猥なジョークを言って笑い、エルフが道へ下り車の反対側に回ろうとしている。

スコープの中で標的の1人、エルフの頭がクローズアップされた瞬間――――ラインヴァルトはなんの躊躇も戸惑いもなく、無表情でライフルの引き金を引いた。引き金を絞ると、人の聴覚では聞き取れないほど低い炸裂音が響き終え、エルフの額が割れ後頭部が飛び散る。一体何か起こったのかまったくわからないため、残り四人の標的と付近の歩道にいる一般市民もただ、脳味噌を飛び散らしてエルフが倒れるのをただ呆然と見る。二人目の標的リザードマンが狙撃されている事にやっと気づき、魔術の詠唱を始める。恐らく補助魔法結界を張り弾丸を防ごうとしているのだろうが、リザードマンは最後まで唱える事は出来なかった――――いや、もとい特殊結界を素早く張り、目には見えないシールドを張ったがラインヴァルトが放った弾丸は、そのシールドを紙の様に貫きリザードマンもエルフと同じ様に頭が破裂し脳味噌を撒き散らして路上に倒れる。

「銃使い」ラインヴァルトが召喚する銃火器類は、魔術などの特殊結界で弾ける代物ではない。

銃器と銃弾には特殊結界を貫く事が出来る魔術が施されているため、特殊結界を張っても無意味である。

ドワーフ、人間は恐怖と混乱に歪んだ表情を浮かべ、意味不明な喚き声を上げて駆け出そうとし、ノームはリザードマンと同じように補助魔法結界を唱えようとするが、そのノームもラインヴァルトの長距離自動装填方式特殊スナイパーライフルで頭部を吹き飛ばされ歩道に転がる。

ドワーフ、人間はようやく駆け出そうとする。人間の方は車に乗り込もうとするが、ラインヴァルトは

ドワーフ、人間の頭部に銃弾を撃ち込む。

五人の標的全員が路上に脳味噌を撒き散らして倒れると、ようやく付近にいた一般市民ら事態を把握し、悲鳴をあげる者や驚愕して腰を抜して失禁する者、地面に伏せる者、または警備隊へと知らせに走る者が出る。

「ラインヴァルトから各メンバーへ、第1標的を排除した。繰り返す。第1標的を排除した。これより別の戦域へと移動する。通信終わり」

ポケット型トランシーバーで再び各メンバーに連絡するが手元には、たった今、使用したスナイパーライフルがすでにない。姿形もない。まるで煙の様に消えている。

床に置いていた「黒のアヒル炭酸ジュース」を取ると、喉に流し込む。

「――――五人抹消、結果は上々。だが、面白くも楽しくもない」

ラインヴァルトは不機嫌な声で呟くと、テレポート・トンネルのドアに向かう。


ラインヴァルトが先陣を切って数時間経った。

次の目標工作地点は、サラムコビナ地域のオーリンズ市内――――

オーリンズ市内にテレポート・トンネルが構築された場所は、目標地点から2ブロックの距離にある駐車場付近だ。

駐車場の暗がり付近で空間に歪みが発生する。ちりちりと焦げるような電流が空間一帯に広がり、空間が陽炎のように揺れて弾けた。ぶれるような残像が一つのドアを結像させる。

そのドアから出てきたのは魔道変装装身具「モノマネ」で、変装を施したトールだった。

魔道変装装身具「モノマネ」は、この世界の魔道装身具の中でも滅多に手に入れる事が出来ない代物で、市場で流通していても非常に高価な装身具なのだが、なぜその様な物を一介の特殊能力者のトールが持ち使用しているのか?、それは今回の工作作戦で必要なため実行指示役のラインヴァルトがヘイデンに魔道変装装身具「モノマネ」を実行メンバー分を揃えるように要求したためである。

だが、揃えられたのはわずかに2人分。「ポートリシャス大陸連合警備隊特殊能力者管理保安部」の組織力を持ってしても2人分だけしか揃えられなかったため、ラインヴァルトは残り3人分を揃える要求は渋々取り下げるしかなかった。

2人分のうち一つをトールが手首につけて使用して今現在トールは、ただのみずぼらしいアル中に変装しながら、路地を移動している。

現場へ向かう間、ローテンリッツ公国国王直属元特殊部隊「ネルガル」の元隊長であったトールでも、

緊張していた。着けばすぐに落ち着くのだが、着くまでトールにはローテンリッツ公国時代の極秘奇襲作戦実行寸前と似て、つい未知のあれこれと思考してしまい、落ち着けと自分自身を言い聞かせてはいるが、貌を無表情はどうにか保てるが、手袋の中の手が少し汗ばむ。

「へいっ、おっさん!!」

移動途中、若い声が呼びかけてくる。年齢は十代後半の各種族の3人組だ。冒険者パーティーでもなく、かといってギャング集団にも見えない。恐らく、その間の半端者集団だろう。

ドワーフ、ホビット、人間だ。フェンスに腰をかけて火酒を飲んでいる。トールは3人組から少しでもへだたりを置こうと路地の反対側へ寄るが、そうはさせてはくれる様子はまったくなかった。

まったくの予想外の展開なため、トールは内心彼等を罵った。

3人組の1人、ホビットがフェンスを飛び降り、トールの方にやってくる。

「なにを探しているんだよ?――――うぇっ!!、臭ぇなぁ!!、ママに風呂の入り方を教わらなかったのかよ」

若いホビットが酷薄さと傲慢さを響かせて言ってくる。

トールは怯んだそぶりだけで、見向きもせず歩き続ける。

「(こっちは遊んでやる時間はないんだよ、間抜け共)」

と内心呟き、トールはうつむいて横に並んで歩く若者からやや貌を背けるが、相手は老浮浪者を嫌がせる計算ずくの足取りでついてくる。トールの実力ならこの3人をいとも簡単に排除する事は可能だが、

余計な問題を好き好んで起こす訳にもいかない。実行指示のライヴァルトからも「これは絶対に守れ」

と言われている。下手に問題を起こしたら、ライヴァルトは容赦なくトールに鉛の弾丸を撃ち込むだろう。トールは、ワインのボトルを別の手に持ち変えた。

「一杯飲ませろよ、おっさん」

ホビットの若者が傲慢な声で言いながら、ボトルに手を延ばしてくるが、トールはそれを渡さなかった。路上のアル中は絶対に渡さないからだ。ホビットの若者は足をかけてトールを路面に倒し、左側のフェンスに押し当てた。

「(いい加減にしろよ・・・この糞餓鬼が)」

極秘工作中ではなかったら、トールはたががこのホビットの若者1人の無様な仕打ちを黙って受けてはいない。ホビットの若者はゲラゲラ嘲笑いながら仲間の所へと戻って行き、トールはヨロヨロと起きあがって歩き出す。

「二度とここへ来るんじゃねぇぞぉっ!!」

その声を耳にしながら、ブロックの端まできた。

「(言われなくても二度とここへは来るつもりはない)」

それから10分の間に、三度ほどその様な若者グループ及び冒険者パーティに行き会ったが、どちらも笑う以上の事を仕掛けるに価いせぬ相手と見たため、特に何もしては来なかった。

工作実行区域の路地に近づくと、ポケット型トランシーバーを取り出す。

「トールから各メンバーへ。侵入成功。だだいま工作実行区域地点。これより実行に移る。」

そっと囁いた。

工作実行区域の通りを横切り、通りと平行する路地の続きに入った。工作実行区域の標的2人組が標的組織の中で繁盛している。

トールは暗がりから極力出ないようにふらふらと、極力足音すらも忍ばせて歩く。

この界隈の低い家屋がならぶ長方形のブロックを拵えており、つらなるブロックの多くはなかほどに屋根のある通路を通じており、路地に出る便になっている。

それは標的に取っても良い退路になっており、標的の仕事中その通路からあまり遠くまで離れる事はなかった。

トールは大型のガレージに張り付いて、標的の2人が見ていない事を確かめる。

ビールの空き缶を2つほど拾い、細紐の両端にくくりつけ、通行入口のセメントのたたきの左右に置く

「(これで背後から人が来れば、かならず音が出る・・・)」

そうして置いて、トールはゆっくりと忍び足で路地裏に入っていきながら、ラインヴァルトが召喚した

消音付きの銃に手を延ばす。足を引っかけそうなもの派手な音を立てそうな物はないか、トールの目は路地地面を注視する。新聞紙やガラス破片をよけて通り、ようやく通路の反対側に近づく。

側で見る標的の印象はずいぶん違って、2人とも何処か問題を起こしそうにない者に見えた。

1人は人間もう1人はエルフだ。エルフは茶色の煉瓦壁にもたれて煙草を吹かしている。

人間は誰かの車のフェンダーに腰かけて、やはり煙草を吹かしながら通りの向こうに眼をむけている。

十秒おきぐらいに煙草の火が明るくなり、2人の視界を妨げている。

トールからは2人は見えるが、標的2人からトールの姿は、距離的には見えない。

「動くんじゃねぇ」

標的の1人、人間に聞こえればいい声で囁く。魔道変装装身具「モノマネ」の効果なのだろう。

本来のトールの声音ではなく、中年男性のアル中の様な声だ。

驚愕というより、煩わしげに振り返ってくるが、標的の視界に消音付きの銃が見える。

眼がちらりともう1人の標的を見る。エルフはまだ向こうを向いたきり、何か流行の歌を口ずさんで、

さっぱりとやってこない客を待っている。

「おい」

囁き声でだが、街の薄れる音の中ではよく通る。トールの方を見た標的の1人のエルフは、もう1人の標的の人間の頭に銃口を突きつけられているのを見て、驚愕の表情を浮かべる。

そのエルフは動くなと言われるまでもなく居竦んだ。拳銃と金と薬のほとんどは、銃を突きつけられている人間が持っている。エルフは、トールの手招きを見て、他にどうすることも出来ないため、恐る恐る側にやってくる。

「よう、今夜の景気はどうだ?」

トールが尋ねる。その口調は、今夜の天気を尋ねる様な気軽さである。

「まあまあだ・・・・で、あんたは何をどうしようと言うんだよ?」

標的の人間は落ち着いて尋ねる。

「何だと思う?」

トールはにいっとナイフの様な鋭い笑みを浮かべて聞き返す。

「あんた、警備隊かよ?」

標的のエルフが震える声で間抜けな質問をする。北部地域出身者の訛りだ。

「警備隊がこんな荒っぽい事をすると思っているのか?――――少なくとも逮捕はしない。そこに入りな。

うつむいて、早くしろ」

トールはそう言い、通路を指した。外から見えなくなる距離所で止めるが、外からの光が届かない距離ではないため、互いに姿が見える。トールは標的2人の武器を調べた。人間の方が銃を持っていた。

次にトールは腰に巻いていた電気コードを外す。一般市場に流通している電気コードだが、それにエレーナ・カスバートが拘束特殊魔術を施した代物である。標的の2人が解除魔術などを拾得しており、その魔術を唱えて解除しようとしても出来ない。エレーナ・カスバートは並の魔術師では決して太刀打ちできない実力を保持している。

トールは電気コードをそれぞれの手首にきっちり縛り、2人をうつぶせに寝かす。

「なかなか協力的で結構だ」

「てめぇ・・・何処の組織の者だ?」

殺意の篭もった声で告げる。エルフも何か罵り声を上げる。

「何処の組織にも属していない一匹狼だ。しいて言えば善良な市民に雇われているとも言おうか。

お前等は一般市民や冒険者を薬を売り捌いているな?」

「こっちは商売ってもんだ。だから何だ!」

「つまり、罪悪感はまったくないと言うことか?」

「それよりこんな事をして、生きてこの地域から出られると思うなよ!、俺等はセルジオファミリーに属しているんだっ!、わかっているのか?」

標的の人間が憎々しげに言い放つ。トールの返答は―――銃口を少しだけ動かして、標的の人間の頭部に鉛の弾丸を2発撃ち込む。身体が激しく痙攣し鮮血が迸るが、不思議とトールにはかからなかった。

その変わりに、標的のエルフの顔面に飛び散る。そのエルフは発狂寸前の表情になった。

「そんな事は十分知っている」

「畜生・・・・なんてことを・・・おまえ・・・正気かよっ!?」

標的のエルフが絞り出すように声を出す。

「ああ、正気だ」

トールはいぜん穏やかな口調で言いながら、標的のエルフにも鉛の銃弾を撃ち込み、人間の後を追わせる。トールは標的らのポケットを素早く探ると、紙幣の固まりと麻薬の入った小さい袋がまだ幾つもあった。麻薬の入った小さい袋は獲らずに紙幣だけを獲り終えると、2つの死体を注意してまたぎ、血だまりを踏んでいないか振り返って確かめてから路地へと向かう。その途中でポケット型トランシーバーを再び取り出す。

「トールから各メンバーへ。第2標的の排除に成功。繰り返す、第2標的の排除に成功する。これより別の戦域へと移動開始する」

ポケット型トランシーバーを仕舞うと、空き缶の紐をほどき、缶を元に戻すとまた酔漢の歩き方に戻り考えている通りに一歩一歩と動き、テレポート・ゲートへの回り道を辿っていく。

戻る途中、トールはやれやれと思った。

「(これで、まだ前哨戦だからな。まったくラインヴァルトさんは・・・本気で戦争するつもりなのか?)」





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