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ダークエルフの召喚士 ~精霊の森の生き残り、魔法学校へ行く~  作者: しゃぼてん
5章 白装束の共犯者

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62 図書館

 次の日の昼休み、イーア達はグランドールの校舎のもとになったお城について調べるため、図書館にむかった。

 図書館に入りながら、イーアはユウリにたずねた。


「なんていう本を探せばいいかな?」


「まずはグランドールの歴史がわかるような本かな。<検索の書>を使おう」


 そう言いながらユウリは、図書館の入り口近くに何冊か置かれている大きな本のところへ行った。これが<検索の書>らしい。

 ユウリは<検索の書>を開いた。中は白紙だった。

 ユウリは<検索>と魔導語で言った後で「グランドール、歴史」と言った。

 するとさっきまで白紙だった<検索の書>の右側のページに、いくつかの本の題名と、番号が浮かんだ。

 その中には、「グランドール魔術学校の歴史」という題名の本があった。

 ユウリが本の題名に触れると、左側のページに図書館の地図があらわれ、本棚の位置が示された。


 イーアは<検索の書>を使ったことがなかったので、おもわずつぶやいた。


「へー。便利だね。これ、こうやって使うんだ」


「うん。本を探すの、これを使わないと大変だよ。さ、行こう」


 イーア達は「グランドール魔術学校の歴史」という本を探しに本棚のところへ行った。


「グランドール魔術学校の歴史……あった!」


 イーア達は本を取ってテーブルのところに移動した。

 グランドール魔術学校の歴史という冊子には、学校の創設以来の歴史が書かれていた。

 グランドール魔術学校はおよそ150年前に設立されたらしい。

 本のページをめくりながらユウリは言った。


「グランドールは名門魔術学校の中では比較的新しいんだよ」


「そうなの? 150年も前からあるのに?」


 おどろくイーアにユウリは説明した。


「うん。もっとずっと古い魔術学校もあるんだ。でも、古くからある名門は、貴族や魔導士の家に生まれた人しか入れなかったりするから。グランドールは誰でも入れる魔術学校としては一番古い学校なんだよ」


「へー」

 

 そういえば、以前そんなことをキャシーも言っていたような気がする。

 ユウリは、ページをめくる手をとめ、本の中の文章を指さした。


「ここ。建物についての説明があったよ。グランドール魔術学校は、1000年以上前からこの地にあった古城を修復、改築して校舎とした……」


 でも、その古城について、それ以上何も説明は書かれていなかった。

 ユウリは本から視線をはなし、考えながら言った。


「帝国の歴史は帝国になる前のノルマート王国時代から数えても約1000年。1000年以上前からある建物っていうことは、ノルマート王国ができる前に建てられたんだ。まずは、この地域の歴史を調べる必要がありそうだね」


 ユウリは立ち上がると、歴史の本が並んでいる棚へまっすぐに移動していった。

 ユウリは歴史の棚からいくつか本を選んでとってくるとテーブルに本を置いた。

 そのうちの一冊を開くと、ユウリはページをめくりながらイーア達に説明した。


「まず、大昔、このあたりに文明はなかった。最初に文明がさかえたのは、今の帝国領南部のバララセ大陸だったんだ。2000年前くらいまでは、今の帝都の辺りは野蛮人の住む未開の地だと思われてたんだよ」


 イーアは感想を言った。


「へー。今は南部の方が野蛮だと思われてるのに。逆だったんだね」


「うん。そうだね。そして、バララセ大陸のメラフィス砂漠にあった古代王朝が倒されたのが約1800年前。メラフィスの古代王国滅亡後、今の帝国にあたる場所にはいくつもの国ができたんだ」


 ユウリは歴史の本にのっていた当時の地図をイーアに見せながら言った。


「この地図によると、この辺りを支配したのはギアラド王国。ギアラド王国は、その後、ノルマート王国に滅ぼされたけど、それは約700年前。つまり、ここにあったお城は、ギアラド王国のお城だったんだ」


「じゃ、地下にはギアラド王国のお宝があるんだな?」


 オッペンがわくわくした様子でたずねたけど、ユウリは冷静に言った。


「お宝があるとはかぎらないよ。それに、もしあったとしても、ギアラド王国の時代のものではないかも。この辺りがノルマート王国領になってからも、王国が発展して帝国になってからも、このお城の建物はここにあったんだから。でも、まずはギアラド王国時代のこのお城について調べよう」


 昼休みだけでは時間がたりなかったので、その日の放課後、イーア達はまた図書館に集まって、一生懸命、このお城について調べようとした。

 でも、何も見つからなかった。

 ギアラド王国についての本も、ノルマート王国についての本も、この地域についてくわしく書かれている歴史の本や地図も探したのに、何もわからなかった。

 途中で先生たちにも聞いてみたけど、だれもお城の名前を知らなかった。


 閉館のアナウンスが響く中、たくさんの本の山の中で、イーアとユウリは頭を抱えていた。

 オッペンはとっくにあきてどっかに行ってしまったから、今はいない。

 ユウリはしかめっ面でつぶやいた。


「変だな。どうして、城の名前がわからないんだろう。こんなに古いお城だから、きっと何か記録があるはずなのに。どこにもお城の名前は出てこない……」


「うん。近くの駅の歴史までわかったのにね。このお城のことだけは何にもわからないよ。まるで、誰かがこのお城のことをかくそうとしているみたい……」


 何気なくそうつぶやいた時、イーアは気がついた。


「……かくされたのかも!」


 きっと誰かがわざと隠しているのだ。

 ユウリはうなずいた。


「うん。きっと、隠されたんだ。でも、なんでだろう?」


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