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「はあ、なんでわざわざ日曜日にこんなところに来ないといけないんだよ……」


 と青空を見上げなら愚直を言う奏多。隣で同じように寝転んでいる隼人。


「しょうがないよ……」

 と諦めきった様子で答える。

 二人は陸上競技場のトラックを覆う芝生の傾斜に寝転んでいた。

【市街地飛行記録会】がこれから行われる。この大会は一年に一度の頻度で開催され、開催地は毎回県内の異なる競技場をスタートとし、市内を飛行する。この記録会は、全国スカイング駅伝の予選、いわば地区大会に出場する上で重要なレースの一つとなる。


 地区大会に出場するには、全日本スカイング協会が定める記録会で一定以上の成績を納めなければならない。今回の記録会では、参加部員上位五名の合計記録が良い学校、上位三校が地区大会への切符を手にすることができる。すでに出場を決めた学校が一位を獲得した場合、二位から四位の学校に参加権が付与される。スカイング協会指定の記録会は毎月行われている。そのため、地区大会間近では、全体順位が十位でも予選会に参加できることもある。


 バックストレートには、大型のモニターが一台置いてある。他にもカメラが設置されており、インターネット中継がされるようだ。高校の記録会でこれほど大規模に行われるとは、スカイングは想像以上に注目を集めているのだな、と隼人は実感した。


「なに、寝てるんですか? そろそろウォーミングアップを始めましょうよ」


 太陽を背景にサムが入り込んできた。


「なあ、本当に今日大会に出るのか?」


 奏多は嫌そうな表情をしている。


「はい」


 ———それは、昨日の夜だった。サムから突然電話がかかってきて、『伝えるの忘れてたんですけど、明日私達は記録会に参加します。朝の八時、総合運動場に来てください』と一方的に言うだけ言って電話を切られてしまった。脅迫されている身としては、行かないわけにはいかない。


「でも俺、まだ一度もフライヤーに乗ったことないぜ? 大丈夫なのか?」


 と心配そうに尋ねる奏多。


「まあ、大丈夫です。パッと飛んできてください」


 大丈夫なわけないだろ。と隼人は心の中でツッコんだ。

 文句を言う奏多の横でアレッタが芝生の上ででんぐり返しをして、傾斜を転がっている。かなりスピードが出ていて危ない。だが芝生の切れ目に差し掛かると、アレッタは足の裏を地面にくっつけて、勢いで立ち上がった。なにげきスゴイ技だ。しかし高校生にもなってよくこんな子どもっぽいことできるな、と隼人は思った。


「そうだ、忘れてたんですけど、隼人くん、実は大会登録に間に合わなかったので、今日は飛びません!」

「えッ!」


 隼人は思わず起き上がった。

「なら、俺が来る必要なかったじゃん!」

「いやあ、ごめんなさいね! 忘れてました!」


 わざとじゃないか? と疑うが、しかし疑ったところで、家に帰らせてくれるわけではないので、隼人は何も言わないことにした。


 葵は体育座りをしてスクリーンを眺めている。吉良はここにはいないようだ。一応大会には参加しているようだが、一緒にいると恥ずかしいという理由から、一人で来ているらしい。この恥ずかしい、という意味を隼人はようやく理解した。アレッタとかサムは変に悪い意味で目立つ。それが恥ずかしいのだろう。


 隼人は空を眺めなおした。


 奏多は大型スクリーンを眺めていた。そこでは、注目の選手がアップで映される。現在は柚月が映し出されている。昨日行われた【東京湾周回レース】で柚月は自己ベストを更新し、プロも参加していたにも関わらず、なんと全体の五位入賞を果たしてしまったのだった。これに、スカイング業界は大激震。柚月はさらに全国的に知名度のある選手となり、【神速の天使】という二つ名で呼ばれるようになっていたのだ。柚月が注目されないわけがない。が、隼人はスクリーンを見ていなかったので、柚月が映し出されているのに気がついていない様子だ。


 スクリーンを見ていた奏多が言った。


「なあ、新人」

「ん……どうした?」

「俺、今一目惚れした」

「はッ⁉ どうした急にッ———‼」 

「心臓が、ドキドキする。これが、恋なのか……」


 隼人は思わず奏多の顔を見た。やや頬が赤くなっている。奏多は手で胸を抑えて鼓動を確認している。その様子はなんだか少し気持ちが悪いと、思ってしまったらそれは奏多に失礼なので、中性的な顔の子が乙女になってしまったと、隼人は思うことにした。


 奏多は遠くを眺めている。


「見ろよ。めちゃくちゃ可愛いじゃないか。顔が整っていて、美人でそれでいてキュート。絶対性格もいいだろうなあ。背筋もいいし、きっと育ちもよさそう。あ、笑った。歯並びもいい。クールで可愛いなんて、最強じゃないか」

「ど、どの子?」

「スクリーンに映っている子だよ」


 次の瞬間だった。アレッタのでんぐり返し踵落とし、隼人と奏多の頭に直撃した。

 アレッタは傾斜を下るようにでんぐり返しをしていたため、踵はハンマーのように振り下ろされたようで、特にまともにくらった奏多は「ああああああああ……」と頭を抑えながら悶絶した。


「ありゃありゃ、ごめん」

「『ありゃりゃ』じゃないだろ、俺たちを殺す気か」

「ごめん、この犠牲を無駄にはしないよ。次こそは成功させる」


 アレッタはそう言うと、再び傾斜の頂上まで登った。

「いや、普通はもうやめるだえしょ」と隼人はブツブツ文句をいいながらも、奏多が惚れたという、女の子が映っているスクリーンを見た。


 そこには一人の女子高校生が映っていた。隼人が知っている女の子だった。

 金剛丸アケミ。

 身長、二メートル五センチ、体重百三キログラム。外見通りのパワーのある飛行が得意な一方で、繊細さも持ち合わせており、冷静に障害物をよけることができる。そのことから、【明鏡の金剛】という二つ名で呼ばれていた。スカイングの名門高、専法大付属柏高等学校の期待の二年生エースだ。


「え、スクリーンの子?」


 次の瞬間、アレッタの蹴りが隼人の頭に入り、隼人は崩れ落ちた。

 同時に奏多が起き上がり、スクリーンを見たとき、丁度スクリーンは移り変わり、そこには柚月がいた。


「そうだ。この子。めちゃくちゃ可愛いいよね? 絶対モテるんだろうな……ぎゅって抱きしめたくなる可愛さだな」


 隼人は頭を痛そうに抑えながら、立ち上がった。アレッタがいない。後ろを振り返ると、再びアレッタが坂の頂上から今度はバク転をしようとしていた。

 ここで寝転んでいたらいつかアレッタに殺される。隼人は少し遠くへ避難した。

 そして、横で乙女モードになっている奏多を眺めた。


 可愛いのか? 奏多は体が華奢で背も低い。一歩で金剛丸アケミは超弩級。もし、彼女に抱きしめられたらその力で締め落とされちゃうんじゃないだろうか。握力は二百キロ、ベンチプレスは三百キロを超えていると、言われても平然と信じてまうレベルの恵まれた体格をしている。それが可愛いのか? 理解できない世界がそこにはあるんだな。と隼人は思った。


「正直思うんだが。俺は可愛いというよりかは、勇ましいの方が似合うと思うけど」

「まじで? めちゃくちゃ可愛いいじゃん。でも顔が整っているから、クールな感じもしていていいね」

「まあ、そうだな。少なくとも俺の好みじゃないね」

「でも、絶対彼氏いるんだろうな……」

「そ、そうなの? 俺はいないと思うけど。あと、俺小学生の頃、話したことあるよ」

「本当にッ———ッ‼ いいな……どうだった? やっぱり小っちゃくてかわいかった?」

「いや、意外と……意外じゃないかもしれないけど、大きかったよ。すごく(身長が)」

 隼人が小学生の頃、あまりにも巨漢な女の子が大会でいたので、柚月と一緒に身長が何センチか尋ねてみたのだった。

「意外と大きいい⁉」

「でも、今のほうがずっと大きいと思うけど。成長してるからね」

「せ、成長……」


 そんなに彼女を好きになったのか。隼人は以前、柚月に言われたことを思い出した。『他人の価値観をなんでも否定するのは良くないんだよ』と。


「なあ、奏多。正直、俺はお前が気になっている子を可愛いとは思えない。価値観の違いってやつだ。でもな、俺は例えお前が、男を好きでもゴリラを好きでもおかまが好きでも、俺はその恋、応援するよ」


 隼人は親指を立てて『グッ』とした。


「お前って、もしかして極度のビー専?」奏多は真面目な表情で尋ねた。

「え?」

 この勘違いは後に、大きな災いを及ぼすことを隼人はまだ知らない。





 レースは三つのグループに分けて行われ、堀上高校は二番目のグループだった。なんと運が悪いことに、蘇我東高校も同じグループだった。


 静寂の中、雷管の弾ける音が鳴り、同時に歓声が沸きあがった。スタンドでは吹奏楽部が演奏を始めた。スタンドの下で、吉良以外の堀上高校のメンバーは集まって、円のように座って作戦会議をしていた。


「コースは以上となります。とりあえず、皆さんが一位になることはないので、前にくっついていけばいいと思います」


 地味に酷いことを言うなと隼人は横に座っているサムを見た。

「作戦は簡単です。最初に全力を出し過ぎないこと。皆さん初めての大会だと思いますので、まずはビリにならないことを目標にしてください」

「わかった! 絶対に勝とう!」と明るく返事をするアレッタ。


 奏多はゲームをしており、話を聞いているのかどうかわからない。じっと固まっている葵。表情が相変わらず、無表情だが、彼女の膝が震えているのを、隼人は見逃さなかった。


「一応、同じ第二グループの強豪校を紹介しておきます。まず、蘇我東。今最も注目を集めている走水柚月の他、真田葛粉、水島栄太など全国レベルの選手がゴロゴロいます。政情院千葉もなかなか強く全国に何度も出場しています。注目選手は短距離の部門で全国入賞を果たしたことがある【緑のイナズマ】三田本葉です。この二つの学校が一位から十位くらいまで独占すると思います。ここにどれくらい食いつけるかが、勝負になってきます」

「まあ皆にとっては初めての大会なんでしょ? そう緊張しないで気楽にいこう。楽しんで」


 と隼人は声をかけた。


「お、いいこと言うじゃん新人くん!」

「いいじゃん新人!」


 奏多とアレッタは緊張しているようには見えない。


 隼人は周囲を見た。視線を感じるのだ。やはり、ちょくちょく周りの人がこちらを見ているようだ。理由は簡単、大会だというのに、学校の体操服とジャージを着ているのは、堀上高校だけだからだ。どこからどう見ても、素人集団にしか見えない。しかし、隼人以外、誰もそれを気にしていないようだ。隼人は少しそれがうらやましかった。 


「では、第二グループの皆さん、そろそろ競技を開始しますので、こちらに集まってください」


 拡声器で、アナウンスが入ると、選手はユニフォーム姿に着替え、ぞろぞろ集合し始めた。堀上高校のメンバーもジャージを脱いで体操服姿になった。


「あれ? 体操服俺たちだけ? なんかカッコ悪くないか?」


 今頃になって奏多が違和感に気がついた。いやいや遅いよと、隼人はツッコミを入れようとして控えた。


「では、皆さん、ご武運を。私と隼人くんはスタンドから見守っています」

 





 陸上競技場のホームストレートには、出走する選手が一本のフライヤーを手に続々並び始めている。中でも目立っているのは、先頭藤色のユニフォーム、蘇我東。次に並んでいる政情院千葉。体操服で出場している堀上もある意味目立っているが、配置は後方スタート。 


 コースは陸上競技場を一周してからスタート、高度二メートルを維持して市街地を飛ぶ。市街地を抜け、高度を二十メートルまで上げる。その後、東関東自動車道上空を北上し、利根川で進路を東に転換、利根川上空から、ルート一二六を南下、高度を千メートルまで上昇させる。その後、太平洋を背に、ルート二九六から競技場のある西へ、高度を下げながら戻る。総距離は約百二十キロ。


 堀上高校のメンバーも、スタート位置に並び始めた。


「すごい人だね~あれ、キラーちゃんユニフォーム持ってたんだ」


 赤と黒のウェアに身を包んでいる吉良を見てアレッタがうらやましそうに言った。


「ユニフォームじゃないよ。練習着だよ。この学校はユニフォームすらないんだから」と不満を言う吉良。

「そういえば、あのバカは?」

「バカ? あ、ほんとだ。カナチーがいない。どこ行っちゃったんだろう? あおちゃん、知ってる?」


 葵は首を横にふった。

 メンバーが並び終えている中、奏多は列の先頭をうろついていた。なにかを探している様子だ。「あ」と声を漏らすと、奏多は藤色の集団の方へ向かった。


 奏多はフライヤーが何かに当たると、手からそれを落とした。奏多のフライヤーは地面に置かれていた別のフライヤーにあたると、音を立てた。奏多はすぐに、「ごめんなさい」と言ってフライヤーを拾った。


「こちらこそ、ぶつかちゃってごめんなさい」


 謝ったのは柚月だった。奏多は無意識にニヤリと笑みを浮かべると、


「蘇我東の走水さんですよね?」

「そうですけど……」

「俺、堀上高校の城ケ崎奏多っていいます。いつも応援してます!」

「ありがとうございます。私、何人か知り合いが堀上にいるんですよ」

「え、そうなんですか!」

『まもなく、スタートします!』とアナウンスが入った。これ以上、ここにいるわけにはいかない、と奏多は仕方なく撤退することにした。すると、柚月は、「お互い、頑張りましょうね」と笑みを投げかけた。

「はい!」


 奏多は堀上のメンバーと合流した。


「どこ行ってたの? もうスタートするよ? だからあんたたちと一緒にレースに参加したくないんだよ」

 と吉良は青筋を立てた。


「別に俺の勝手だろ」

「そういえば、準備運動もしてなかったみたいだけど、大丈夫なの?」

 と葵。


「うん、大丈夫、大丈夫」

『では、スタートします』


 合図と共に騒めきが収まり、静かになった。選手はとフライヤーに乗ると、空中で静止した。

 乾いた雷管の音が、競技場に響いた。





 スタートから三分後、競技場を抜けるころには、細長い長い行列が形成されていた。先頭集団には、蘇我東のメンバー、政情院の数人、そしてさらに他の学校のエース級の選手が飛んでおり、その中には吉良もいた。堀上高校は後方スタートだったが、吉良は上手に選手を抜かしていき、なんとか先頭集団に合流することができたようだった。


 先頭集団はかなりハイペースで飛んでいるため、すぐに二位集団との差が大きく開き始めた。

 二位集団の後方には、アレッタが飛んでいる。その表情には余裕が見られた。隼人は、この前の吉良とのレースが終了したあと、アレッタが易々と二人をして飛んでいたのを思い出した。「なんとなく、感じてたんだけど、アレッタって運動神経結構いい方だよね?」

スカイングの二人乗りはそう簡単にはできない。


「はい、アレッタは全体的にスペックが高いですよ。体力もパワーもかなりあると思います。ただ、技術力は全くありませんが」


 アレッタが二位集団にいるのも、なかなかすごいことだ。少なくとも大会に初めて参加しているとは思えない。


 さらに後方に、葵がいる。後方とは言え、全体的に見ると、半分よりも前を飛んでいる。そこまで悪くない。サムによると、葵は唯一まともに練習に参加していた部員らしい。以前はからっきし飛ぶことができず、完走すら難しい状況だったが、練習の成果が着々と現れ、上位を狙える選手になりつつあると言う。


 思っていたよりも、堀上高校の合計順位は良いのかもしれない。と隼人は関心した。しかし、なかなか奏多が見えない。どこにいるのだろうかと探してみる。奏多は片思いをした相手に良いところを見せるため、本気で一位を狙う、みたいなことを言って息巻いていたが……


「あ、いた」


 なんと奏多は最後尾を飛んでいて、スクリーンにドアップで映ってしまったのだ。

 おそらく、ジョギングよりも遅いぺースだろう。最後尾から二番目の選手からも絶望的に距離があるようだ。まるで、別の競技をしているかのようだ。もし、昔のように、順位を人の目で確認する手法でレースを進行させていたら、きっと最後尾は奏多ではなく、その一つ前を飛んでいる選手だと、誤解されていただろう。


 奏多は今にも倒れ込んでしまいそうなほど、ふらふらな状態で飛んでいる。フォームが崩れているというより、体がねじ曲がってしまっている。整っていた中性的な顔は完全に崩壊し、引きつっている。涙を流しているのか? よだれか? わからないだ彼の顔はぐちゃぐちゃだった。


「おい! 奏多!」


 隼人は思わず叫んでしまった。

 金剛丸アケミにカッコイイところを見せるのではなかったのか? それどころか、完全に醜態を晒してしまっているぞ!


「なにあれ、よくあんなんで大会に出ようと思えたよね」

「シッ! そんなこと言ったら彼に失礼でしょ」


 クスクスと知らない人の笑い声がどこからか聞こえてきた。


「まあ、初めてだししょうがないですね」


 とのんきに言うサム。


「奏多がこんな遅いって知ってたの?」

「いえ、知りませんでした。なにせ彼がフライヤーに乗っているところをみたことがなかったんで。練習に誘っても一度も来たことがありませんでしたから」

「だからって、これはちょっと可哀想でしょ?」

「これを機に、奏多くんには頑張ってもらいたいですね」


 二十分後、奏多はレースから脱落してしまうのであった。 

 レースは終盤に差し掛かかった。


 一位は柚月の独走状態。連日の大会にも関わるこの快調ぶりにスタンドの観戦者は驚いた。その後ろ、二位集団は混戦だったが、なんと二位集団を引っ張っていたのは吉良だった。

 しかし、ラストスパートで大きく失速、三人かに抜かれてでフィニッシュした。


 アレッタは前から三つ目の集団の先頭を引っ張っていた。素人とは思えない快挙に隼人とサムは盛り上がった。


「頑張れアレッタ! そのままキープだッ!」

「いけますよ!」


 続々選手がゴールしていることもあり、競技場は歓声で大盛り上がりだった。二人も負けじと、声を張り上げてアレッタを応援した。アレッタの表情やスカイングを見る限り、まだまだ体力には余裕がありそうだ。上位は固い。 


 しかし、ここで問題が発生してしまった。

 なんとアレッタは曲がらなければならない道を直進してしまったのだった。誘導員が曲がれの合図を出し、さらに大声で叫んでいたにも関わらずだ。しかも、しばらくそれに気がつかなかった。アレッタは背後に選手がいないことに気がつき、「やべッ」と笑いながら道を引き返した。


「「うそでしょッ!」」


 結果大幅に遅れを取り、葵よりも下位でゴールした。

 葵も後半失速し、半分より下位の三十位でゴール、しかしサム曰く、彼女にしてはまずまずの結果らしい。


 総合結果では、蘇我東が一位、専法大付属が二位、政情院千葉が三位をつけた。隼人たちの堀上高校はゴールした人数が五人未満のため、記録が無効とされた。


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